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古河電気工業が、世界初Co-Packaged Optics向け外部光源を開発

データセンタ/LAN 無料

データセンタにおける次世代ネットワークスイッチ装置の実現に貢献

 古河電気工業は3月7日、データセンタにおける次世代のネットワークスイッチ装置に導入されるCPO(Co-Packaged Optics)に必要とされる外部光源(ELS: External Light Source)を世界で初めて開発したと発表した。

背景

図1:データセンタの構成

 クラウドサービスや5Gなどの新しい情報通信サービスの普及にともない、通信トラフィックは増大し続けている。さらなるビッグデータを処理するハイパースケールデータセンタおよびBeyond 5Gに必要とされる低遅延を実現するエッジデータセンタにおいては、使用されるネットワークスイッチ装置(図1)の大容量化と消費電力の削減が課題となっている。

図2:CPOを用いたスイッチ装置の上面概略図

 現在、ネットワークスイッチASIC(Application Specific Integrated Circuit)の容量は25.6Tbpsに達しているが、さらに大容量の次世代版51.2Tbpsの導入に向けては、装置内の電気配線の一部を光に置き換える新しい装置アーキテクチャであるCPOの導入が期待されている。これにより通信速度の向上及び30%以上の大幅な消費電力削減を期待できる。なお、CPOは、IOWN構想において光電融合の第1フェーズと位置付けられている。
 CPOでは、一枚の基板の上でスイッチASICの周りに高密度にシリコンフォトニクス光トランシーバが実装される。スイッチASICの発熱により化合物半導体であるレーザ光源をシリコンフォトニクス光トランシーバに搭載すると、高温環境で駆動することになり、特性が劣化して信頼性にも影響する。ELSは熱による特性劣化などを避けるため、レーザ光源を光トランシーバから離して、環境温度が低い躯体の外部にあたるフロントパネルに移動させたものだ。光は多芯偏波保持ファイバケーブルによってELSから光トランシーバに供給される。(図2)

内容

 古河電気工業は今回、高出力化合物半導体レーザと光パッケージングの技術を活かし、光トランシーバ用に標準化されているQSFPを用いて、世界で初めてとなるELSの開発に成功した。
 QSFP ELSを筐体のケージに挿入することで動作するホットプラガブルに対応している。また、8芯の偏波保持ファイバコードを用いたピグテイルによりCPO用光トランシーバへ直線偏波を供給でき、ファイバ端末はMPOコネクタがついている。
 8芯それぞれの光源波長には2つのオプションがあり、1311nm(Oバンド)またはCWDMに準じた4波長(1271nm、1291nm、1311nm、1331nm)を2波ずつ出力することができる。動作ケース温度範囲は0ºC~55ºCで、チャンネル当たりの光出力は100mW以上だ。

 同製品は2022年4月からサンプル出荷、2023年末から量産開始を予定している。
 古河電気工業は「CPOの導入に必要なELSの提供を通して、大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献していく」との考えを示している。

図3:ピグテイル付QSFP ELS