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メラノックス、ストレージおよびネットワークアプリケーション向けのプログラミング機能を備えたSystem-on-ChipプロセッサBlueFieldシリーズを発表

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ConnectX®の業界トップレベルのネットワークアクセラレーションおよびEZchipのマルチコアARM®テクノロジーを組み合わせた拡張性の高いプロセッサシリーズにより、次世代システムにおいて柔軟性の高いサービスの提供が可能に

 クラウドおよびストレージ向けのハイパフォーマンスネットワーキングソリューションを提供するトップベンダであるメラノックステクノロジーズ社(Mellanox® Technologies, Ltd.,)は6月15日、ネットワークおよびストレージアプリケーション向けのプログラミング機能を備えたBlueFieldプロセッサシリーズを発表した。BlueFieldデバイスシリーズによって、業界において高まり続ける綿密なSoC(System-on-Chip)統合のニーズに対応し、システムデザインの簡素化、総消費電力の低減、総合的なシステムのコスト削減が可能になる。

 BlueFieldには、メラノックスのConnectX®ネットワークアクセラレーションオフロードテクノロジーおよびEZchip®社買収に基づくTileraコヒーレントメッシュインターコネクトテクノロジーを活用するハイパフォーマンスの64ビットARMv8 CPUコアが多数組み込まれている。この結果、NFV(Network Functions Virtualization)向けのデータプレーンオフロード、先進のネットワークおよびセキュリティ機能をはじめとする複数アプリケーションのこれまでにないレベルの統合を実現し、多数のソリッドステートFlashドライブを制御するストレージ用組み込みコントローラとして機能するデバイスが誕生した。

 「BlueField SOCでは、業界最先端のメラノックスのConnectXテクノロジーが活かされている」と、メラノックステクノロジーズ社マーケティング担当副社長のケヴィン・ダイアリング氏は述べている。「メラノックスのConnectXアダプタテクノロジーはネットワーク接続の業界標準となっており、業界全体でその活用が広がっている。今回のEZchipのマルチコアテクノロジーとの統合によって、ソフトウェア制御によるデータプレーンアクセラレータのビジョンの実現が可能となる」

 BlueFieldシリーズでは、多数のハイパフォーマンスの64ビットARMv8プロセッサコアおよびInfiniBand/Ethernetをサポートする複数のバーチャルプロトコルインターコネクト(VPI)100Gbpsのネットワークポートと統合されたメラノックスの最新世代ConnectXネットワークアクセラレーションテクノロジーが活用されている。複数世代のTileraプロセッサにおける実績を誇る先進のSkyMeshコヒーレントオンチップインターコネクトにより、パフォーマンスの拡張性および最先端の優れた電力効率が実現される。

主な特長

  • Ethernet/InfiniBand両方をサポートする業界トップレベルのネットワークI/O
  • 10、25、40、50、56および100Gbpsをサポートするマルチレート対応ポート
  • VXLAN、NVGRE、GENEVEオーバーレイネットワーク、RSS、TSS、HDS、LRO、LSOv2、RDMAおよびRoCEをはじめとする包括的なネットワークオフロード機能
  • PCI ExpressおよびEthernet/InfiniBand間における低レイテンシーのNVMe over Fabricトランスレーション
  • Gen3/Gen4およびSRIOVに対応する広帯域PCIeコントローラ
  • 仮想メモリシステムと統合された多数のタイル状ARMv8プロセッサコア
  • 拡張性の高い分散ハードウェアコヒーレンシーによる3レベルのキャッシュ階層
  • ECC機能搭載の複数のDDR4メモリコントローラ、最高2667MT/sをサポート
  • IPsec、SSL/TLS、DTLSをはじめとするプロトコルおよび保存データアプリケーション向けの統合セキュリティ機能アクセラレーション
  • AES、SHA、RSA、DSA、Elliptic CurveおよびDiffie-Hellman向けのハイパフォーマンス暗号化アクセラレーション
  • 統合されたコアは、開発ツールおよび事前ポーティング済のアプリケーション向けの膨大なARMソフトウェアエコシステムを活用(*代表的なランタイム環境は、KVM/Linux、およびDPDK、OVS、Cephなどの標準フレームワークおよびアプリケーションを基盤としている。)
  • Accelerated NFVおよびOVS(Open Virtual Switch)オフロードをサポート

 BlueFieldデバイスシリーズにより、クラウド、ビッグデータ、ストレージ、エンタープライズ、HPC、NFVなど幅広いアプリケーションにおける先進的なサーバオフロードに対応するプログラミング機能を備えたインテリジェントなPCI Expressアダプタに理想的なソリューションが提供される。またスケーラブルな新世代ソリッドステートストレージアプライアンスにおいては、綿密に統合されたストレージコントローラSoCとして組み込むことが可能で、最新のFlashベースドライブで要求される高スループットおよび低レイテンシーとともに最適なI/O機能が提供される。

 メラノックスは、最初のBlueField SoCデバイスを2017年第一四半期に、その他のシリーズ製品を2017年後半にサンプル出荷する計画だという。

BlueFieldに対する業界の声

 「Flashによって、ストレージアーキテクチャは大きく変化しつつある。ストレージにおける新たなニーズにネットワーク帯域幅を対応させるために、ストレージシステムのベンダ各社はNVMeベースの新しいハイパフォーマンスシステムの本格展開をすぐに開始することになるだろう」と、ウィキボンのシニアアナリストであるステュー・ミニマン氏はコメントを出している。「メラノックスは低レイテンシおよびハイパフォーマンスの製品を提供し続けてきた豊富な実績を誇っており、RDMAおよびNVMe over Fabricによる高速パスを実装するストレージコントローラであるBlueFieldの発表によって、メラノックス製品の性能はさらに進化することになる。さらに、プログラミング機能を備えた多数のARMコアにより、製品の差別化に必要な高い柔軟性がOEM各社にもたらされる」

 「ほぼすべてのストレージシステムのベンダは、ハイパフォーマンスなNVMベースプラットフォームの本格展開を計画している」と、SNIAエグゼクティブディレクター、マイケル・オロス氏はコメントを出している。「メラノックスは、SNIAのNVM Programing Technical WorkgroupおよびSolid State Storage Initiative(SSSI)に対して多大な貢献をしている。このような業界標準およびイニシアチブは、特にSNIA NVMおよびPersistent Memory Programing標準の本格展開および採用に伴って新しいストレージシステムデザインの根幹になろうとしている。メラノックスは、永続性メモリへのリモートアクセスにおける初期研究をこのリストに追加している。SNIAは、当団体においてこのような技術革新が支持され、当団体の所属メンバーによって市場に展開されることを大いに期待している」

 「BlueFieldがネットワークオフロード用コプロセッサとして機能しネットワークI/Oと合致するワイヤースピードでのパケット処理が実行されることでホストプロセッサが補完されるため、ホストプロセッサはパケット処理の負荷から解放され、VNF(Virtual Networking Functions)のさらなる強化が可能になる」と、リンレイグループ社主席アナリストのリンレイ・ゲナップ氏はコメントを出している。「ネットワークオフロード機能により、ラックの効率向上、総合的な消費電力の削減および決定論的ネットワークパフォーマンスが実現される。さらに、プログラミング機能を備えたネットワークアダプタカードは新たに登場するネットワークプロトコル用にアップデートできると同時に、カードへのVNFの直接実装も可能になる」