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複数組織で観測したダークネット通信を分析することでサイバー攻撃の予兆を検知、被害の未然防止に貢献【慶應義塾大学、中部電力、日立】

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 慶應義塾大学、中部電力、日立製作所(以下、日立)は6月18日、巧妙化するサイバー攻撃に対し、各組織が観測した不審な通信のうちダークネット通信を分析することで、これまでは検知することが困難であったサイバー攻撃の予兆検知ができることを実証したと発表した。予兆検知により、サイバー攻撃による被害の未然防止に貢献するという。

 さまざまな分野でのデジタル化の進展により人々の生活が便利になる一方で、サイバー攻撃は巧妙になり、サイバーセキュリティの重要性が急速に高まっている。特に、人々の生活を支えるインフラ事業におけるセキュリティ対策の強靭化は、喫緊の課題となっている。
 多くの企業や組織では、不審な通信を個別のネットワークのみで監視しているが、不審な通信は多量の正常な通信に紛れ込んでいるため、判別するのが難しいという課題があった。
そこで今回、慶應義塾大学、中部電力、日立は、一般の通信では発生しないダークネット通信に着目するとともに、複数組織の通信を分析することでサイバー攻撃の予兆を検知できることを実証した。

新技術開発と実証の概要

ダークネット通信分析によるサイバー攻撃の予兆検知

 慶應義塾大学と日立がこれまで共同で研究してきたインシデント分析ノウハウに基づいて、ダークネット通信の相関分析技術を開発した。これは、複数組織に共通して現れるダークネット通信に着目し、個別の組織の観測では目立たなかったサイバー攻撃の予兆を検知する技術となる。
 今回、この相関分析技術を用いて、慶應義塾大学と中部電力で観測した大量のダークネット通信(2,000万件/日)を分析、このうち極めて少数の通信でもサイバー攻撃の予兆を検知することができ、適切に対処することができたという。
 なお、今回の実証は、2017年4月から慶應義塾大学、中部電力、日立が取り組んできた共同研究および「分散型セキュリティオペレーション」構想の成果となる。
 慶應義塾大学、中部電力、日立は「今後も、攻撃の予兆を広範囲に検知し、攻撃内容についてもより詳細に分析できるよう技術開発を進め、サイバーセキュリティ確保と社会インフラシステムの安定運用の確保に資するセキュリティオペレーションの実現に貢献していく」としている。