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NEC、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」のデータセンタ向け新モデルを販売開始

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東北大学サイバーサイエンスセンターから受注

 NECは6月29日、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」において、従来機と比較し、実装密度を倍増したデータセンタ向け新モデル「SX-Aurora TSUBASA B401-8」を販売開始した。また同モデルを、国立大学法人東北大学サイバーサイエンスセンター(以下、東北大学)から大規模科学計算システムとして受注したと発表した。
 あわせて、「SX-Aurora TSUBASA」シリーズの全モデルにおいて、金融業や流通業など、あらゆる業種でAIを活用するために必要な機能を大幅に拡充するとともに、半導体や自動車などの製造業で活用するために必要なアプリケーションソフトウェアの品揃えを拡充したという。

 「SX-Aurora TSUBASA」は、NECが長年スーパーコンピュータ開発で培ったLSI技術と高密度実装技術、高効率冷却技術などを結集したカード型のベクトルエンジン(VE)を多数搭載する省電力なサーバ。世界トップクラスの単一コア性能及び単一コアメモリ帯域を持ち、科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とし、気象予報、地球環境変動解析、流体解析、ナノテクノロジーや新規素材開発などのシミュレーション、AI活用において高い実効性能を実現している。

 なお、NECは「NEC 共創コミュニティ for SX-Aurora TSUBASA」を5月に開設した。本活動はベクトル型スーパーコンピュータを通して、アプリケーション開発、インテグレーション、販売といったバリューチェーンを活性化し、パートナー企業・団体のビジネス拡大に寄与することが目的だ。現在、10社のパートナーが加盟しているという。
 NECは「今後もベクトル型スーパーコンピュータの活用拡大を積極的に推進していく」との考えを示している。

新モデル「SX-Aurora TSUBASA B401-8(8VE)」の概要

SX-Aurora TSUBASA B401-8(8VE)

 新モデルは、水冷方式を採用し冷却効率を向上することで、搭載するベクトルエンジンを増やすことが可能となり、単位面積あたりの実装密度を従来比で2倍とした。これにより、大学・研究機関の計算センタや企業のデータセンタなど、限られたスペースにスーパーコンピュータを大量導入する用途への対応を強化している。
 また、ベクトルプロセッサ処理性能を従来比で25%向上し、サーバ本体のプロセッサとベクトルプロセッサを協調動作させて性能を高める「Vector Host Call」や「Vector Engine Offload」を実装するなど、ソフトウェアによる性能向上を実現。
 同モデルを導入する東北大学は、地震・津波・気候変動シミュレーション解析などの防災減災に資する研究開発や、最新の航空機開発など最先端のものづくり分野での利用を予定しているという。
 加えて、ベクトルプロセッサ性能を25%向上させた4Uラックマウントモデル「SX-Aurora TSUBASA B300-8(8VE)」(空冷方式)も販売開始する。

販売目標: 2020年度に全モデル合計10,000VEを計画

「SX-Aurora TSUBASA」シリーズの機能強化概要

AI領域向け機能強化
 NECが開発したミドルウェア「Frovedis」を使い統計的機械学習処理の高速化を図るとともに、機械学習フレームワーク「TensorFlow」にも対応した。また、プログラミング言語「Python」の利用も可能となった。これにより金融業における不正取引検知や株価予測、流通業における顧客への商品レコメンドや在庫予測などへのAI活用を支援する。

アプリケーションソフトウェアの品揃え拡充
 半導体や自動車などの製造業において、製品開発や基礎研究のスピードアップに必要なアプリケーションソフトウェアを追加した。
 電子機器の効率的な設計に有効な電磁場解析用ソフトウェアや、材料の原子構造を解析し素材としての特性を分析・予測するために用いられる計算化学用ソフトウェアなど合計7種に対応した。

対応ソフトウェア一覧