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5Gのスタンドアローン構成でのエンド・ツー・エンド ネットワークスライシングの実証実験に成功【KDDI】

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5Gネットワークを仮想的に分割し、用途・ニーズに合わせて品質保証や低遅延の通信提供を実現

 KDDIは9月23日、サムスン電子と協力し、5Gのスタンドアローン構成 (以下、5G SA) において、仮想的に5Gネットワークを分割し、ユーザの用途やニーズに合わせた品質保証や低遅延などの複数の通信を同時にエンド・ツー・エンド (以下 E2E) で実現するネットワークスライシングの実証実験に成功したと発表した。
 なお、O-RAN Allianceで規定されるRICをネットワークスライシングの制御に用いて、E2Eネットワークスライスの生成に成功した実証実験は、世界初となる。

実証実験のイメージ

実証実験の背景

  • KDDIで現在提供する5Gは、4Gと連携してサービスを実現するノンスタンドアローン構成で「超高速」「大容量」の通信を実現している。
  • 将来的に提供予定の5G SAでは、製造業界でのセンサ情報の収集や遠隔操作などのファクトリーオートメーション化、交通分野での自動運転や運行管理など、利用目的ごとに異なる用途やニーズに合わせた通信機能の提供ができるE2Eネットワークスライシングの導入が期待されている。
  • KDDIは、ネットワークスライシングなどの5Gの特長を最大限に引き出すため、2020年2月に実施した実証実験において、5G SA構成の5Gコアネットワーク (以下、5Gコア) でのネットワークスライシングの動作検証に成功するとともに、パートナーと協力し、具体的なユースケースを想定して技術開発や検証を進めている。

実証実験について

  • KDDIは、サムスン電子の協力のもと、O-RAN Allianceで規定されているRICを、あらかじめ定めた通信品質を提供する新たな制御機能として、実証実験用の基地局ネットワーク (以下 RAN)に実装した。このRANと、5G SA対応の通信端末、5GコアおよびMECを連携し、通信が混雑する状況においてもE2Eで品質保証や低遅延などのネットワークスライスを複数・同時に生成することに世界で初めて成功した。
  • これまで、E2Eで複数の異なる通信品質を保証するネットワークスライスを提供する技術的な手法は確立していなかったが、今回の実証実験により、5Gコアだけでなく、RICを実装したRANも含めたE2Eでのネットワークスライスを生成して、品質を保証する技術の開発に成功した。
  • なお、KDDIは、O-RAN Allianceにおいてネットワークスライシング実現に向けた標準化を目指しており、本実証実験の成果をもとにO-RAN Allianceの検討促進に寄与する。

 KDDIは、「通信とライフデザインの融合」を推進し、社会とともに持続的な成長と発展する未来に向け、本実証実験を通じて得られた知見をもとに5Gに関する技術開発を推進し、これまで以上に快適かつ信頼性の高い通信サービスの提供を通じ、産業の高度化および新たな社会価値を創造していく」との考えを示している。