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世界初、マルチモード光ファイバで1Pbps伝送成功【NICT】

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シングルコア・15モード光ファイバによる大容量伝送

 NICTネットワークシステム研究所のラーデマッハ ゲオルグ フレデリック研究員らのグループは12月17日、NOKIA Bell Labs(ベル研)のNicolas K. Fontaine研究員、Prysmian Group(プリズミアン)のPierre Sillard研究員らと共同で、シングルコア・15モード光ファイバを用い、世界で初めて1Pbps超伝送実験に成功したと発表した。この結果は、これまでのマルチモード光ファイバ伝送容量世界記録の約2.5倍となる。

 これまで光ファイバの大容量化の研究では、受信側のモード分離と信号処理が難しく、モード数が多い研究は進んでいなかった。しかし、今回、広帯域波長多重技術と多重反射位相板による小型・低損失・高精度のモード合波器/分波器を用いることで、モード数が多い信号処理が可能となり、15モードでの1Pbps超、23km伝送に成功した。信号収容密度が高く、製造技術が容易なシングルコア・マルチモード光ファイバによる大容量伝送成功により、将来の高密度大容量伝送に向けたマルチモード伝送技術の高度化が期待できる。
 また、同実験結果の論文は、第46回欧州光通信国際会議(ECOC2020)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択された。

背景

今回の成果、及びこれまでに報告されたマルチモード光ファイバの伝送容量。

 今回は、プリズミアンのシングルコア・15モード光ファイバ、NICTの広帯域波長多重技術及びベル研の多重反射位相板によるモード合波器/分波器を利用し、 NICTが伝送システムを構築し、合計毎秒1.01ペタビット光信号の23 km伝送に成功した。マルチモード光ファイバで1Pbpsを超えるのは世界で初めてで、これまでの世界記録の約2.5倍になる。
 モード数が増えると、モード分離とMIMO処理の負荷が課題となっていたが、今回、遅延時間を最適化設計した15モード光ファイバと多重反射位相板による小型・低損失・高精度のモード合波器/分波器を用いることで、15というモード数の多さでもモード分離後の信号品質を保ち、広帯域にわたるMIMO処理を実現した。その結果、広帯域382波長、偏波多重64QAM信号のモード分離に成功し、大容量伝送が可能になった。
 信号収容密度が高く製造技術が容易であるシングルコア・マルチモード光ファイバを用いた大容量伝送の成功により、将来の高密度マルチモード伝送技術の高度化が期待できる。

伝送実験システムの一部。

今回開発された伝送システムの概略図。

※概略図の補足
①382波の異なる波長を持つレーザ光を一括して生成する。
② 光コム光源の出力光に偏波多重64QAM変調を行い、遅延差を付けて擬似的に異なる信号系列とする。
③ 各信号系列は15モード光ファイバに入射、23㎞伝送する。
④ 波長多重された光から、測定対象の光を抜き出す波長フィルタ。
⑤ 15モードの信号を比較してモード結合を除去し、それぞれのモードの信号を復元するMIMO処理部。

実験結果。上記概略図の実験系において、送信及び受信時に誤り訂正処理などの様々な符号化を適用することで、システムのデータレートを最大限効率化するための検証を行った。この実験結果のグラフは誤り訂正を適用した結果で、多少ばらつきがあるものの382波長の青点が毎秒2テラ〜3.5テラビットでほぼ均等で安定したデータレートが得られ、合計で毎秒1.01ペタビットを実現した。

 NICTは「今後、大容量マルチモード伝送の長距離化や、マルチコア技術との融合の可能性を追求し、将来の大容量光伝送技術の基盤を確立していきたい」との考えを示している。