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シスコが2021年度第2四半期業績を発表

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 米国シスコは2月9日(サンノゼ)、2021年1月23日を期末とする2021年会計年度第2四半期の業績を発表した。(本抄訳は2月10日に日本法人が発表)
 2021年会計年度第2四半期の売上高は120憶ドル。また、同四半期の純利益は、一般会計基準(GAAP)ベースでは25憶ドル(1株当たり60セント)、non-GAAPベースでは34憶ドル(1株当たり79セント)だった。
 シスコの会長兼CEOであるチャック・ロビンス(Chuck Robbins)氏は「シスコのテクノロジーが社会の回復と成長のための強力な原動力となることを示す力強い兆候が、事業全体で見られる。デジタルトランスフォーメーションを加速し、安全なリモートワークの推進においてお客様と協力するなかで、シスコのチームは優れた実績をあげてきた」とコメントを出している。

シスコのCFOであるスコット・ヘレン(Scott Herren)氏は「第2四半期の業績は好調なものとなり、受注増、高い粗利益率、Non-GAAPベースの1株当たり利益の成長を実現することができた。また、ソフトウェアとサブスクリプションの拡大に向けたシフトにより、繰延収益も 2桁の伸びを続けている」とコメントを出している。

シスコ、四半期配当金の増配

 シスコは、四半期の配当金を前期比3%(1セント)増の1株あたり37セントとし、2021年4月6日の営業終了時に株主名簿に記載のあるすべての株主に対し、2021年4月28日に支払いを行うと発表した。さらなる配当金の分配については、取締役会の承認に基づき決定される。

2021年会計年度第2四半期決算概要

(特に記載のない限り、相対比率(%)はすべて前年比)

売上高:総売上高は、前年同期と変わらず120億ドルだった。そのうち、製品売上高は1% 減、サービス売上高は2%増。売上高を地域別に見ると、Americas(米国、カナダ、南アメリカ)が1%減、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が2%増、APJC(アジアパシフィック、日本、中国)が4%減。製品売上高の伸びをけん引したのはセキュリティで、10%増。インフラストラクチャプラットフォームは3%減、アプリケーションは横ばい。

粗利益率:GAAPベースの総粗利益率、製品粗利益率、サービス粗利益率は、それぞれ65.1%、64.5%、66.6%。これに対して、2020年会計年度第2四半期のGAAPベースの粗利益率は、それぞれ64.7%、63.9%、66.6%。
 2021年会計年度第2四半期のnon-GAAPベースの総粗利益率、製品粗利益率、サービス粗利益率はそれぞれ66.9%、66.6%、67.9%で、これに対して、前年同期のnon-GAAPベースの粗利益率はそれぞれ66.4%、65.9%、67.7%だった。
 地域別の総粗利益率は、Americasが67.5%、EMEAが66.9%、APJCが64.8%。

営業経費:GAAPベースの営業経費は4%増の46憶ドルで、売上の38.1%を占めた。non-GAAPベースの営業経費は1%減の39憶ドルで、売上の32.6%を占めた。

営業利益:GAAPベースの営業利益は5%減の32憶ドル、営業利益率は26.9%で。またnon-GAAPベースの営業利益は2%増の41憶ドル、営業利益率は34.4%。

所得税引当金:GAAPベースの税引当率は21.8%、non-GAAPベースの税引当率は19.0%。

純利益と1株当たり利益:GAAPベースの純利益は12%減の25憶ドル、1株当たりの利益は12%減の60セント。non-GAAPベースの純利益は2%増の34憶ドル、1株当たりの利益は3%増の79セント。

営業活動によるキャッシュフロー:2021年会計年度第2四半期の営業活動によるキャッシュフローは22%減の30憶ドルで、これに対し、2020年会計年度第2四半期は38憶ドルだった。

財務上の特記事項

 現金及び現金等価資産ならびに投資総額:現金及び現金等価資産ならびに投資総額は、2021年会計年度第2四半期末時点で306憶ドル。これに対し2020年会計年度末時点では294憶ドルだった。

繰延収益:繰延収益は、合計12%増の208憶ドル。そのうち、製品繰延収益は16%増、サービス繰延収益は9%増。

残存履行義務:2021年会計年度第2四半期末時点で、13%増の282憶ドル。

資本配分:2021年会計年度第2四半期、シスコは自社株買戻しと配当金を通して、23憶ドルを株主に還元した。1株当たり36セントの配当金(総額15憶ドル)を申告し、支払った。また、株式買戻し計画に基づき、普通株約1,900万株を1株当たり平均42ドル82セントで買い戻した(買戻し総額8憶100万ドル)。同プログラムでの株式買戻し承認額の残高は約92憶ドル。これらの株式の買い戻しには特に期限は設けられていない。

買収

 2021年会計年度第2四半期、シスコはアプリケーションセキュリティソリューションを手掛ける株式非公開企業Portshiftを買収、およびクラウドネイティブアプリケーションの導入を専門とするBanzai Cloud Zrt.の資産とチームの買収の手続きを完了した。

 2021年会計年度第2四半期、シスコは上場企業Acacia Communicationsの買収について、先に合意していた契約条件の修正を発表した。Acaciaは工場を持たない半導体会社であり、性能、容量、コスト面の改善を通して通信ネットワークを変革する高速コヒーレント光相互接続製品の開発、製造、販売を行っている。修正した契約条件合意のもと、シスコは1株あたり115ドルの現金、完全希薄ベースで約45 憶ドル(現金と有価証券をのぞく)でAcaciaを買収する。買収手続きは、Acaciaの株主の承認を含む完了条件に従い、2021年会計年度第3四半期中に完了する見通し。必要な規制当局の承認はすべて得られている。

 シスコは、クラウド通信のソフトウェアとサービスを手掛ける英国の上場企業IMImobileを買収する意向を発表した。買収手続きは、特定の規制当局の承認およびIMImobileの株主の承認を経て、2021年会計年度第3四半期中に完了する見通し。
 さらに、シスコはエンタープライズソフトウェア企業のDashbaseを買収する意向を発表した。買収手続きは、2021年会計年度第3四半期中に完了する見通し。
 また、オーディエンスインタラクションプラットフォームを提供する株式非公開企業のSlidoについても、買収する意向であると発表した。買収手続きは、標準的な完了条件に従い、規制当局の審査を経て、2021年会計年度下半期中に完了する見通し。

2021年会計年度第3四半期の業績予測

 シスコは、2021年会計年度第3四半期の業績について次のような見通しを立てている。

売上高:前年同期比3.5~5.5%増
non-GAAPベースの粗利益率:65~66%
non-GAAPベースの営業利益率:33~34%
non-GAAPベースの税引当率:19%
non-GAAPベースの1株当たり利益:80~82セント

 2020年会計年度第3四半期は13週であったのに対し、2021年会計年度第3四半期は14週あり、これを反映した業績予測となっている。
 2021年会計年度第3四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、64~69セントになる見込み。