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デジタルツインで進化する設備管理「Smart Data Fusion」サービスの提供開始【NTTコムウェア】

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 NTTコムウェアは7月28日、社会インフラのサステナビリティとレジリエンス向上をめざす「SmartMainTech(スマートメインテック)」シリーズの第二弾として「Smart Data Fusion(スマートデータフュージョン)」の提供を開始した。

 「Smart Data Fusion」は、スマートエネルギー・スマートインフラ・スマートシティに向けて、インフラ設備の管理・運用情報および、3D情報・リアルタイム情報を収集、デジタルツイン空間に統合し、設備管理・投資の最適化(設備延命化、稼働率向上など)に貢献するデータ分析・活用基盤。

「Smart Data Fusion」デジタルツインによる設備管理イメージ

 例えばスマートエネルギーでは、脱炭素社会実現のため、太陽光・風力発電等の発電効率・収益性の向上と運用コストの低減に向けたデータの統合・分析・活用が課題となっている。「Smart Data Fusion」は、設備管理業務に関わるシステム情報(IT)、運用情報(OT)と3Dデータ、オープンデータ等をデジタルツイン空間に統合し、データ分析・活用を行い、設備管理業務のDXを実現するサービス。
 基盤の一部には海外の社会インフラ事業者での利用実績があるCogniteのDataOpsプラットフォーム「Cognite Data Fusion」を、国内のシステムインテグレータとして初めて採用している。NTTコムウェアがこれまで培ってきたSmartMainTechを支える技術群「Infratectorコア(ドローン・ロボット遠隔点検に適したデジタルツインUI、画像認識AI‘Deeptector’などのAI技術、データサイエンス技術)」等を組みあわせることで、設備の予兆保全等に活用することができる。さらに、NTT Comが提供するIoTプラットフォーム「Things Cloud」とも連携することで、センサデバイスの管理、データ統合が容易になり、データ収集からデータ活用までワンストップのサービス提供も実現する。

 今後はスマートエネルギー・スマートインフラ・スマートシティ分野での利用拡大に向け、AIやML(機械学習)を拡充、他社サービスとも連携を広げることで、予兆保全等による設備管理・運用の最適化、設備稼働率の最大化、さらにはシミュレーション等を活かした環境アセスメントへの展開をめざすという。また、国土交通省が推進するPLATEAUなどのオープンデータと統合することで、1つの施設・設備のみならず、街区や都市レベルの設備管理の実現も可能となる。
 NTTコムウェアは「AI・データサイエンス技術の高度化とビジネスパートナーとの協創により、社会インフラ事業者が直面している課題解決を支援し、スマートワールドの実現に貢献する」との考えを示している。

 Cognite 代表取締役社長の徳末哲一氏は「Cogniteは、産業界にて発生する様々なデータを効率的にコンテキスト化し、データ活用を支援するプラットフォームの提供を通して、産業界のDXに貢献してきた。そしてこの度、NTTコムウェアの新サービスのデジタルツイン基盤として採用され、スマートエネルギー、スマートインフラやスマートシティの新しい分野へと用途を拡大できることを大変嬉しく思っている。今後も産業界のDXの推進、そして真のインパクトを与える支援を続けていきたい」とコメントを出している。

 NTTコミュニケーションズ 常務執行役員 プラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部長の佐々倉秀一氏は「Smart Data Fusionにおけるデータ収集機能のパートナーとしてThings Cloudを採用いただき、大変嬉しく思っている。弊社の産業機器、製造、建設、物流、インフラ業界などにおける豊富な導入実績と、センサデバイスを提供される企業とのパートナーシップにより、様々な設備のモニタリングシステムの導入を短期間で実現し、社会インフラのサステナビリティとレジリエンス向上に貢献する」とコメントを出している。

サービスの特長

 「Smart Data Fusion」は、インフラ設備の管理・運用情報および、3D 情報・リアルタイム情報を収集・統合し、設備延命化、設備稼働率の向上、設備管理・投資の最適化に貢献するデータ分析・活用基盤であり、Webアプリケーションとして利用できるサービス。
 サイロ化(※)された設備に関するデータを簡単に統合・蓄積し、部門間、システム間を跨いだデータ分析・AIを活用した新しい設備管理・運用業務を実現する。設備データ、マニュアル、設計図等のデータ、ドローン、ロボットはじめ各種センサより収集したリアルタイムデータ、および3Dデータ、画像データ等、多様なデータに対応している。これらのデータを有機的に統合管理し、データ分析、予測シミュレーション、意思決定支援などを実現する環境を提供する。

※サイロ化:企業内の各部門でシステムを構築されたこと等により、システム間連携が考慮されずデータや情報の連携がされていないこと。各システムに同様の情報や機能が散在する、情報を横断的に把握できないといった問題が生じることが多い。

「Smart Data Fusion」の構成

「Smart Data Fusion」プリセットアプリケーションイメージ

サービスの特長

ビジネスアイデアの効果検証を早期に実現:利用者の各種設備の保守・運用データ等を関連づけしながら統合し、効果検証の環境を早期に構築できる。デジタルツイン分野でのノウハウを活用し、予兆保全等の効果検証を早期に始めることができる。

点検業務の後継者として利用者自らAIを育成:インフラ点検・診断ノウハウを持つユーザが、自身でAIにノウハウを教えることができ、ノウハウを継承するAIモデルを簡単な操作のみで作成可能。AIによる点検業務の自動化や平準化が可能。

IT(システム情報)×OT(運用情報)×3Dのデジタルツインによる可視化・分析:既存システム情報、設備運用情報、3D情報、オープンデータを統合した仮想空間を構築、これらのデータを組みあわせた新たな観点・切り口でのデータ分析を実現。分析を基に仮想空間上で予兆保全等のシミュレーションが可能だ。

ユースケース(風力発電等再生可能エネルギー設備管理)

デジタルツイン・遠隔運転環境

ドローンなどによる撮影画像から3Dモデルを構築。センサ等リアルタイムデータを仮想空間上で運転データ、検査・保守記録データと紐付けることで遠隔運転環境を実現する。

スマートな保守計画・実行

仮想空間上で設備情報、保守情報、運転情報を統合・分析し、最適な保守計画を立てることで予兆保全等CBMによる保守を実現。

設備稼働率、発電効率の向上

運転情報や気象等オープンデータを組みわせたパフォーマンス分析により、発電量予測、タービン性能改善、異常検出・予測等により設備稼働率、発電効率の向上を実現する。