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NECが杉並区へ「IoT街路灯システム」を納入

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河川のリアルタイム映像配信や冠水センサ活用による水害対策を実現

 NECは8月30日、杉並区におけるリアルタイムな河川監視や道路冠水の把握のため、神田川沿いやJR阿佐ヶ谷駅の駅前広場などを対象とした「IoT街路灯システム」を杉並区に納入したと発表した。

 近年、増加している集中豪雨や大型の台風による急激な河川の増水など都市部における水害対策が課題となっており、杉並区では安全・安心なまちづくりのため、河川の氾濫や道路の冠水などの水害に対するより一層の対策が求められている。
 NECは「システムは、2019年8月から12月までの間に杉並区内で実施した実証実験の評価・検証を踏まえ、本年8月から運用開始するものだ」としている。

システムの概要

 NECがスマート街路灯の開発・提供を通じて培ってきたセンサ技術と無線ネットワーク技術、およびNECのクラウド型スマート街路灯管理システムの活用により、街路灯に設置したカメラや冠水センサの情報だけでなく、設置場所・年数や設置機器の稼働状況などの情報も合わせてクラウド環境に収集・一元管理できるため、区民の安全確保や区職員の業務効率化に貢献する。

河川の状況をリアルタイムに映像配信
 神田川と善福寺川沿いのIoT化した街路灯5基にカメラを設置し、河川水位の状況をリアルタイムにYouTubeで映像の確認ができるようになる。区のホームページにアクセスが集中し繋がりにくい際にも、区民はスマートフォンなどから直接SNS(YouTube)へアクセスすることでスムーズに閲覧ができる。また、管理者用カメラを4台設置し、区職員による河川施設の監視も行う。

道路の冠水センサによるアラート発信
 JR阿佐ヶ谷駅の駅前広場など、過去に大雨の影響で浸水被害が発生している箇所には、IoT化した街路灯5基に冠水センサを設置し、道路冠水を監視する。センサの情報は、区職員のパソコンやスマートフォンにアラートメールで届き、リアルタイムで情報収集できる。

用途に応じたネットワーク利用による運用コストの削減
 通信回線に地域BWAや、低消費電力の長距離無線通信技術LPWAの規格の一つであるSigfoxを活用し、カメラ映像の伝送やセンサ情報の収集などのそれぞれの用途に応じたネットワークにより、低コストでのシステム構築・運用を実現している。

 杉並区は、同システムの活用により、水害発生時における区民の避難など安全確保に有効なリアルタイムでの河川水位の情報提供、区職員による河川の監視や道路冠水箇所に対する迅速な対応を実現する。

 NECは「今後、カメラ、センサ機器などを設置したIoT街路灯を拡充し多面的な活用を推進するとともに、まちの様々な状況をデータ化しリアルタイムに収集・活用することで、住民サービスや住民のQoL向上を支援していく」との考えを示している。

杉並区に設置した「IoT街路灯管理システム」