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ローデ・シュワルツが6G進展のため、サブTHz帯の伝搬チャネル測定を実施

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ミリ波およびサブ・ミリ波(サブTHzおよびTHz)帯の無線チャネルの理解を深め、将来の6G通信規格に適用可能なさまざまな周波数をカバーする広範な研究活動を推進

 ローデ・シュワルツは1月23日、ドイツ・ミュンヘンの同社敷地において、158GHzおよび300GHzのUrbanMicro(ストリート・キャニオンの場合)シナリオと屋内シナリオのもとで一連のチャネル・サウンディング測定実験を行ったと発表した。

 その最初の測定結果は、92GHz以上の周波数帯における移動通信の技術的実現可能性に関して研究・情報整理することを目的としたITU-Rの5D作業部会(W5PD)レポート『Technical feasibility of IMT in bands above 100GHz(100GHz以上の周波数帯におけるIMTの技術的実現可能性)』に盛り込まれた。
 さらに同レポートは、ITUの世界無線通信会議2023(WRC23)での議論に供され、ここでは後のWRC27で周波数割り当てを行うため、100GHz以上の追加周波数帯が討議される予定だ。現在の3GPPにおけるチャネル・モデルは最高100GHzまでしか検証されていないので、このチャネル・モデルをより高い周波数に拡張することが、6Gの標準化プロセスにとって非常に重要な最初のステップとなる。

角度分解による158 GHz(Dバンド)と300 GHz(Hバンド)のTHzチャネル測定の様子。ローデ・シュワルツは実験に至った経緯について「サブTHz(※編集部注:本件では100~300GHz)技術は、1Tbpsレベルの最大スループットと極めて低い遅延性という点で目標の仕様が実現するだけでなく、斬新で魅力的なアプリケーションの基盤としても欠かせないものになると期待されている。格段に広い帯域幅を利用できれば、物体検出のほか、分解能がミリメートルという次世代のジェスチャ認識のための環境という意味を含めて、非常に高いスループットでの近距離無線通信が可能になる。しかし、同技術のポテンシャルを完全に引き出すには、チャネル・サウンディング測定を実施してTHz周波数電波の伝搬特性を理解することが極めて重要だ」と説明している。

 今回行われた測定は、ミリ波およびサブ・ミリ波(サブTHzおよびTHz)帯の無線チャネルの理解を深めることを目的とし、将来の6G通信規格に適用可能な様々な周波数をカバーする広範な研究活動の一環だ。
 こうした研究活動のさらなる進展と拡張をはかるため、ローデ・シュワルツはドイツの連邦ネットワーク庁Bundesnetzagenturから実験免許を交付されている。この免許の対象には、Dバンド(110~170 GHz)やHバンド(220~330 GHz)などのサブTHz域の周波数だけでなく、Wバンド(75~110 GHz)・FR2(ミリ波)・FR3(7~24 GHz)、さらにはドイツにおける産業用周波数である3.7~3.8GHzも含まれている。

 ローデ・シュワルツの技術マネージャーであり、今回のサブTHz測定実験の責任者でもあるTaro Eichler氏は「THz技術の調査・研究において、当社の取組みが活かされていることを誇りに考えている。早期に見込まれる応用シナリオや基礎研究に私どもの最新鋭の試験・測定ソリューションを適用して、さらなる知見の充実をはかるとともに、フラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ研究所(HHI)やベルリン工科大学(TU Berlin)などの名高い研究パートナーとも連携している。こうした現在の研究活動を通じて、6G標準化プロセスの重要なステップを支える基盤づくりをしている」とコメントを出している。