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ネットワークの未知なる可能性を追求するノキア【5】

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5Gネットワークを活用した、新たな収益化への取り組み

新たな収益化のための主要な機能

 チョー氏は「今お話ししたように、5Gは、テクノロジーの点では成功を収めている。だが、果たして充分に価値創造できているのか、このテクノロジーを充分に使いこなせているかというと、まだイエスとは言えない状況かと思う」と指摘し、世界各国の通信事業者が5Gネットワークを活用した更なる収益化のために取り組んでいる、主要な機能の概要を紹介した。

5Gを高度化する主要な機能。

トラフィック・オフロード:5Gは効率的にトラフィックを捌くことができるので、世界各国で4Gのトラフィック・オフロードとして利用されている。これにより、4Gネットワークが輻輳している場合でも、顧客満⾜度を損なわないメリットが有る。

5Gの⾼密度化:Massive MIMO、TDD設置の高密度化により、市街地および屋内のカバレッジが向上する。これを最も実現しているのは韓国であり、サイト間の距離は150mだという。

5G SA:カバレッジの拡⼤、 レイテンシの削減、 新しいサービスの実現で重要となる。また、後述するVoice over NRやスライシングにも必要となる。チョー氏は「SAの商用化の状況を見ると、CMCC、T-Mobile US、Reliance Jio、Telia、ソフトバンクなどがSAの展開をリードしている」と話す。

Voice over NR:コール設定時間の短縮による⾳声の進化を実現する。CMCC、T-Mobile US、RJioが実施している。

5G周波数帯域の増幅:5G FDDリファーミングとCAによるネットワーク性能の向上は、世界各国の通信事業者が取り組んでいる。チョー氏は「このFDDリファーミングに関しては、日本のマーケットが先進している」と話す。

ネットワーク・ スライシング:スライスごとにネットワークのパラメータを調整することで、FWAの顧客満⾜度を維持し、エンタープライズ向けのパフォーマンスを保証する。また、スマートファクトリーやスマートシティ用途でのネットワーク最適化により、市場の拡大が期待されている。取り組みは、T-Mobile US、Reliance Jio、Telia、A1などが先行している。

5G-Advanced:XR、URLLC、RedCap、Drone、NTN、AI/ML、エルギー効率のユースケースなどの取り組みが進められている。チョー氏は「中国ではRedCapが既に商用化されており、新しいRedCap端末が次々と出てきている。今年の前半にXRの端末も出てきており、L4SなどについてもXRのアプリケーションということで出てくる予定になっている」と話す。

スライシングによる5Gネットワーク収益化

 チョー氏は、新たな収益化への取り組みで先行している事業者の事例として、T-Mobile USを紹介した。
T-Mobile USは、世界で最も成功した5Gオペレータと言われており、現在はネットワーク・ スライシングを商用化して更なる収益のツールとして活用しているという。
 このネットワーク・ スライシングの実現には、5GがSAであることが前提条件となる。ここに至るまでのT-Mobile USの5G高度化の流れを見ると、最初のステップとしてMassive MIMOに取り組み、次のステップとしてSAを開始、それを経た現在のステップとして、ネットワーク・ スライシングの商用化が実現できた。チョー氏は「収益を上げるためには、やはり再投資をして、ネットワークをさらに良くすることが必要になってくる。この流れを繰り返すことが重要だ」と話している。

 また、Reliance Jioもインドでネットワーク・ スライシングを商用化し、5Gモバイル向け、固定無線アクセス向け、防衛など6つの異なるスライスを展開している。各スライスのネットワーク パラメータを、対応するサービスに最適化することで、さらに良質なサービスを展開しているという。
 チョー氏は「規制当局は、スライシングを使うことはネット中立性に違反しないとして、規制をしていない。これは、スライシングを収益化に活用できるということであり、業界にとって非常に良いことだ。当社はMassive MIMO製品もご提供できるので、日本の事業者様と蜜に連携していきたい」と話している。

以下、後日更新