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小型薄膜LN変調器を実用化【富士通オプティカルコンポーネンツ】

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高信頼性技術の確立に成功

 富⼠通オプティカルコンポーネンツ(以下、FOC)は10月22日、従来から取組んできたLN変調チップの小型化と長期信頼性を両立し、世界で初めて200GBaudクラスの薄膜LN変調器の商用化に目途を立てたことを発表した。
 同社は「長年培ったLN変調器の基盤技術により、薄膜LN変調器の課題とされてきたバイアス電圧ドリフトの安定化に成功し、実用化の目途を得た。今後も、次世代光ネットワーク社会の発展に貢献すべく、当社のテクノロジーでイノベーションを推進していく」との考えを示している。

開発の背景と課題

図1:小型薄膜LNドライバー集積コヒーレント変調器(パッケージ長30mm)

 5Gモバイル/クラウドビジネス/オンラインサービスの拡大などにより、通信トラフィックは爆発的に増大している。トラフィック需要の高まりとともに、光ネットワークに用いられる通信装置のさらなる高密度・大容量化が求められており、光コンポーネントの小型化・高集積化ニーズが増々高まっている。
 OIF(The Optical Internetworking Forum)においては、光変調器とドライバーICを小型パッケージに集積し、128Gbaudまで対応した高帯域幅コヒーレントドライバ変調器(HB-CDM)(図1)の標準化が進められており、これに準拠した小型変調器が求められている。

 従来のバルク型LN変調器の課題である小型化と広帯域化を両立しうるテクノロジーとして、薄膜LN変調器(図2)の研究に注目が集められ、その性能ポテンシャルについて多くの研究成果が報告されている。その一方で、通信デバイスとして実用化に不可欠なバイアス制御の重要特性であるDCドリフトについては、実用化レベルに到達できなかった。

図2:薄膜LN変調器(断面図)

開発された技術

図3:DCドリフト特性

 FOCは、従来からコヒーレント通信市場に向けて、最先端の光送信器、光受信器を世界に先駆けて製品化し、2021年にコヒーレントLN変調器の販売台数が100万台を突破し、世界トップシェアを維持、コヒーレント通信用光コンポーネント市場をリードしてきた。同社は「長年培ってきたLN変調器の知見を活かすと共に、薄膜LN変調器の構造パラメータとプロセスパラメータを最適化する技術を用いることで、世界で初めて実用可能なレベルでDCドリフトを安定化させ、20年間の長期信頼性技術を確立した(図3)」としている。

効果

LNチップの薄膜化により、大幅な小型化(製品パッケージ当社比60%減)を達成
OIF準拠HB-CDMに搭載可能なDP-IQ MZ(マッハツェンダー型)変調器チップを実現。
これにより、InP等の化合物半導体変調器を用いたものと、ピンコンパチブル、かつ同一パッケージサイズのHB-CDMが提供可能となる。

図4:サイズ比較

低波長依存性
近年の伝送ビットレートの高速化に伴い、WDMシステムにおける波長効率の観点から、従来のC-band帯から、Super C-band (C++band)帯やL-band帯への波長拡張性ニーズが高まっている。LN変調器は、InP変調器などに比べ波長依存性に優れており、C/L band帯へのシームレスな波長領域の拡張が可能だ。同社の薄膜LN変調器により光ファイバーの伝送容量拡大が可能となり、次世代大容量光ネットワークへの貢献が期待される。

優れた制御性
InPなどの化合物半導体変調器に比べ線形性が高く、TEC(Thermo Electric Cooler)による温度制御を必要としない為、制御性、省電力性に優れる。

今後の展開

 FOCは「本薄膜LN変調器を搭載した、128Gbaud HB-CDMのサンプル提供開始を2022年4月に計画している。また、今回開発に成功したプロセス技術と、超広帯域への設計の最適化により、200GBuadへの実用化に向け、更なるテクノロジーのイノベーションを進めていく」との方針を示している。