Teliaが、Nokiaのクラウドネイティブ5G SA Coreでネットワークを強化
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Nokiaは11月6日(エスポー)、Teliaと5Gネットワーク強化に関する契約を締結したことを発表した。
両社の長年にわたるパートナーシップの拡大として、Teliaはフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、エストニア、リトアニアのネットワークにノキアのクラウドネイティブ5G SA Coreを導入する。さらに、TeliaはNokiaのRANポートフォリオを活用し、フィンランドにおけるネットワークのカバレッジと容量を拡大する。
Nokiaは「5G SAアーキテクチャにより、Teliaはより柔軟で堅牢な接続性を提供し、企業や公共部門のお客様に新たなサービスを提供する。また、Teliaの北欧およびバルト海諸国におけるネットワークの拡張性と自動化も向上する」と説明している。
TeliaによるNokiaのRANポートフォリオの導入は、ネットワークパフォーマンスを大幅に向上させながら、エネルギー消費を削減することをめざしている。安定したカバレッジ、大容量・高速化、低遅延を実現するとともに、Teliaの持続可能性目標と、より環境に優しいデジタル未来の実現に貢献する。
Teliaの最高技術・情報責任者であるAlexandra Fürst氏は「Nokiaとのパートナーシップは、Teliaの5Gへの取り組みの鍵となる。当社の5Gネットワークは既に世界最高水準を誇り、社会全体から信頼を得ている。Teliaのインフラ機能をさらに進化させることで、個人や企業から公共サービスに至るまで、お客様にとって新たな可能性を創造していく。ネットワークがよりインテリジェントになり、適応性と自動化が進むにつれ、AIは接続性がニーズを予測し、イノベーションを加速させ、全く新しいデジタル体験を実現する未来を切り拓く」とコメントを出している。
Nokiaのクラウド&ネットワークサービス プロダクト&エンジニアリング担当SVPであるKal De氏は「Teliaとのパートナーシップを深め、同社の5G機能の向上に貢献できることを誇りに思っている。Nokiaの完全クラウドネイティブなコアは、当社のマルチクラウド戦略の一環であり、お客様が革新的な新サービスを迅速かつ安全に、そして自動化された形で、俊敏性と拡張性に優れた環境で展開できるよう支援する」とコメントを出している。
Nokiaは「業界データによると、2025年第3四半期末時点で、Nokiaは5G SAコア事業者の顧客数が世界最多の127社となり、稼働中の導入数も55社と最多だった。また、コアネットワークポートフォリオの機能においても業界をリードしている。Omdiaの『Market Landscape: Core Vendors – 2025』レポートで高く評価され、2025 Gartner Magic Quadrantでも通信サービスプロバイダ 5G Core ネットワークインフラストラクチャ ソリューションのリーダーとして認められた」としている。
編集部備考
■世界的に進む5Gの本格的なスタンドアロン(SA)化は、多くの場合「モバイル事業者にとっての新たなマネタイズの起点」として語られる。欧州ではそれだけでなく、「SA化を持続可能な通信運用への進化」として捉える軸も強調されており、5G SA化におけるグリーン化技術への注力が進んでいる。
TeliaがNokiaのクラウドネイティブな5G Coreを採用した背景にも、この欧州的発想が色濃く反映されている。クラウドネイティブなSAアーキテクチャは、ネットワーク機能を仮想化・分散化し、需要に応じた動的スケーリングを可能にする。これにより、トラフィックが低下する時間帯には自動的に処理リソースを縮小でき、従来型ネットワークのように常時最大性能を維持する必要がない。Teliaは、こうした設計を通じて運用電力の最適化を図り、「グリーンな5G」を実現する姿勢を示している。この方向性は、同社が掲げる「ネットゼロ・ネットワーク」戦略とも整合しており、欧州通信事業者が環境性能を競争力の一部として捉えている現実を映している。
5G SA化は、企業向け専用スライスやミッションクリティカル通信など、差別化されたB2Bサービスを支える基盤になる。これに、エネルギー効率に優れたネットワーク化という要素が加わることで、運用コストの削減にもつながる。Teliaの今回の取り組みは、環境配慮とビジネス持続性を両立させるという、欧州モデル特有のアプローチを体現していると言えるだろう。
こうした欧州的なアプローチは、グリーン化を志向する通信事業者と、それを支える製品・ソリューションの低消費電力化を研究・実用化するベンダの双方の存在によって成り立っている。「新しい収益の追及」と「ネットワークそのもののグリーン化」という二つの方向性は、通信事業者の「成長」と「効率化」を支える基盤となる。今回のTeliaとNokiaによる北欧発の通信モデルは、世界の通信事業者やベンダに、ビジネス持続性とグリーン化を両立させることの重要性を示唆するものとなるだろう。




