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FSが、AIファクトリー向け再構成可能光ネットワークを実現する光回路スイッチを発表

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 FS.com(以下、FS)は10月8日(デラウェア州ニューキャッスル)、アップグレードされたD5130 OCS(光回路スイッチ)シリーズ(旧DCS-Wシリーズ)を発表した。

 最新のAIファクトリーおよびHPCデータセンタにおける帯域幅の増大と動的なスケジューリング要件に対応するために特別に設計されたD5130シリーズは、マルチモードやカスタマイズ可能な構成など、製品ポートフォリオを拡充し、プログラマブルで低遅延かつ柔軟性の高い光インターコネクト レイヤの構築を可能にする。

 AIのトレーニング、推論、データスケジューリングの要件が進化するにつれ、AIファクトリーでは、不要なプロトコルや変換レイヤを追加することなく適応できる光ネットワークが求められている。ノンブロッキングのオールオプティカル アーキテクチャに基づいて構築されたD5130は、電気信号変換なしで入出力ポート間の柔軟な相互接続を実現する。プロトコルとレートを透過する光伝送により、多様なビジネスタイプとレートに対応し、ネットワークトポロジーの進化に伴う適応の複雑さを軽減する。

 D5130シリーズは、シングルモード、マルチモード、およびカスタマイズ構成に対応し、8×8、16×16、32×32のマトリックスオプションを提供する。この柔軟性により、ラボテストからデータセンタ環境まで、幅広い導入に対応できる。

 D5130は、ダークファイバ スイッチング、双方向光パス制御、低光損失、高い接続再現性、高速スイッチング、および一部の構成における光パワーモニタリングにも対応している。Web GUIによる管理により、設定、光パスモニタリング、およびアラーム処理が簡素化される。

 D5130シリーズには、シングルモードモデル(D5130-W08/16/32-S)、マルチモードモデル(D5130-W08/16/32-M)、および完全カスタマイズ可能なD5130-W-Cが含まれる。

 スムーズな導入を実現するため、FSは実績のあるアーキテクチャ設計から迅速なグローバル配送、24時間365日のテクニカルサポートまで、ライフサイクル全体にわたるサービスを提供し、お客様の光ネットワークのシームレスな拡張を支援する。

 FSは「今後、D5130光回路スイッチを、他のデータセンタ相互接続(DCI)製品とともに、AmpCon管理プラットフォームに統合し、統一された効率的な管理エクスペリエンスを提供する予定だ。この統合計画の目的は、AIを活用した光ネットワークの拡張と進化に伴い、お客様の運用をシンプル化することだ」と説明している。

編集部備考

AIファクトリーでは、ネットワークを「組み替える」という発想が重要になる

 AIの計算需要が拡大する中、データセンタのネットワークには、通信速度の向上だけでなく、変化する計算需要に合わせて接続構成を柔軟に変更できる能力が求められ始めている。
 大規模なAI学習では、多数のGPUが連携して処理を進めるため、GPU間の通信やデータの同期が計算効率を左右する。GPUの処理性能を高めても、通信がボトルネックになれば、システム全体としての性能を十分に引き出せない。そのため、AIファクトリーの構築では、計算資源の増強と並行して、ネットワークの帯域や接続構成をどのように設計するかが重要になる。

 今回、FS.comが発表した光回路スイッチ(OCS:Optical Circuit Switch)「D5130」シリーズの拡充も、こうした課題を背景に捉えることができる。同製品は、MEMSを利用した全光スイッチングによって、入力ポートと出力ポートの間の光経路を切り替える。電気信号への変換を介さずに光経路を構成でき、通信プロトコルや伝送速度に依存しない光接続を実現する。シングルモードとマルチモードに対応し、8×8から32×32までの構成を用意することで、用途に応じた選択肢を提供している。

 従来のネットワークでは、あらかじめ設計された接続構成の中で、パケットスイッチなどがデータを転送する。これに対し、OCSを利用すれば、必要に応じて光経路そのものを変更するという設計が可能になる。AIの計算ジョブやGPUの配置、通信需要の変化に合わせて接続構成を調整できれば、限られた通信資源をより柔軟に活用できる可能性がある。

 もちろん、光経路を切り替えられることだけで、ネットワーク全体の効率が自動的に高まるわけではない。実際の効果は、対象となる通信の特性や切り替えの頻度、既存のネットワーク構成などに左右される。それでも、計算需要にネットワークを適応させるという考え方は、AIインフラの設計を考えるうえで重要だ。
 AIファクトリーの競争力は、GPUの性能や台数だけで決まるものではない。計算資源と通信資源を一体として捉え、需要の変化に応じて両者を最適化できるかどうかも、今後の重要な論点になるだろう。

パケット交換と光回路交換の役割分担が、AIネットワークの設計を変える

 AIファクトリーのネットワークを考えるうえでは、光回路スイッチ(OCS)の導入を、従来のパケットスイッチから光スイッチへの置き換えとして捉えないことが重要だ。両者は異なる仕組みで通信を支えており、それぞれの特性を生かした役割分担が、ネットワーク全体の効率を左右する。

 一般的なパケットスイッチは、データをパケット単位で処理し、宛先に応じて転送する。複数の通信を柔軟に収容できる一方、装置の構成や処理方式によっては、「電気信号への変換やパケット処理に伴う電力消費、遅延」などが生じる。これに対し、OCSは設定された入力ポートと出力ポートの間に光経路を形成し、「光信号のまま通信を通過」させる。個々のパケットを識別して転送するのではなく、光経路そのものを切り替える仕組みだ。これによる低消費電力、低遅延が、生成AIの普及とAIデータセンタの拡大における大きなメリットとして再評価されている。

 今回発表されたFS.comの「D5130」シリーズも、電気信号への変換を介さない全光スイッチングを特徴としている。伝送速度やプロトコルに依存しない接続を実現することで、ネットワーク構成の変更に伴う対応の複雑さを抑えることを狙っている。

 この違いは、AIネットワークの設計に新たな選択肢をもたらす。例えば、多様な通信を柔軟に処理する部分にはパケットスイッチを利用し、特定のGPU群などの間で大容量の通信が継続する部分には、OCSによる直接的な光接続を組み合わせる構成が考えられる。通信需要に応じて光経路を再構成できれば、パケットスイッチだけでネットワークを構築する場合とは異なる資源配分が可能になる。
 ただし、OCSが常に有利とは限らない。光経路の設定や切り替えには制約があり、通信需要が短時間で頻繁に変化する場合には、その制御が課題となり得る。また、通信量が小さく変動の激しいトラフィックと、長時間にわたって大容量の通信が続くトラフィックとでは、適したネットワーク構成も異なる。OCSの導入効果は、ポート数や光損失などの装置仕様だけでなく、対象となる通信の特性や既存設備との組み合わせによって決まる。すなわち、既存のパケットネットワークにOCSを追加することが、どのような条件で合理的な選択肢になるのかが重要であり、その上で注目が高まり続けているという市場背景がある。

 こうしたOCSの活用は、ビッグテックが長年にわたり実用化を進め、その成果を積み重ねてきた領域でもある。そうした技術が現在、業界共通の製品や技術基盤へと展開され始めている。今後の焦点は、OCSを導入すること自体から、それを既存のネットワークや運用基盤と組み合わせ、AIインフラ全体の効率向上につなげられるかどうかへと移っていくだろう。

 AIインフラの大規模化に伴い、ネットワークに求められるのは、単一の方式ですべての通信を処理することではなく、異なる技術を適切に組み合わせることになる。パケット交換と光回路交換のハイブリッド構成に見られるような、どの通信を、どの方式で処理すれば、計算資源と通信資源を最も有効に活用できるのかという問いは、AI時代のネットワーク設計において重要性を増していくだろう。

再構成可能なネットワークを、どう運用に生かすか

 計算需要とネットワーク制御をどう連携させるか、という視点からも考えてみたい。光回路スイッチ(OCS)によってネットワークの接続構成を柔軟に変更できるようになっても、その機能を十分に生かせるかどうかは、運用の仕組みに左右される。光経路を切り替えられることと、計算需要に応じて適切な経路を判断し、自動的に変更できることは、同じではないからだ。
 AIファクトリーでは、計算ジョブの開始や終了、GPUの配置変更などに伴って、必要となる通信経路や帯域も変化する。OCSを導入すれば、こうした需要に応じて光経路を再構成する選択肢が生まれる。しかし、実際に接続構成を変更するには、どの通信を優先するのか、いつ経路を切り替えるのか、変更によってどの程度の効果が得られるのかを判断する必要がある。
 そのためには、光スイッチ単体の管理にとどまらず、ネットワーク全体の状態や計算資源の利用状況を把握し、適切な制御につなげる仕組みが重要になる。例えば、AIのジョブ管理システムが計算資源の配置を決定し、ネットワーク管理システムが通信需要を把握したうえで、OCSの接続構成を調整する連携が考えられる。これが実現すれば、計算資源の配置とネットワークの構成を別々に最適化するのではなく、両者を連動させる余地が生まれる。

 今回の発表では、D5130シリーズについて、Web GUIによる設定や光経路の監視、アラーム処理などの管理機能が紹介されている。また、今後は自社のネットワーク管理プラットフォーム「AmpCon」と統合し、データセンタ相互接続(DCI)製品などと合わせて管理できる環境をめざす方針も示された。ただし、これは将来の統合計画であり、計算需要に応じたAIによる自律的な経路制御が、すでに実現していることを意味するものではない。
 さらに、制御を自動化すれば、必ずネットワークの効率が高まるわけでもない。経路変更の頻度が高すぎれば、制御の負荷が増えたり、切り替え時の通信に影響が生じたりする可能性がある。安定性を確保しながら、どの時間単位で構成を変更するのが適切かは、対象となるAI処理や通信の特性に応じて判断しなければならない。
 この点は、AIを活用したネットワーク運用全般にも通じる。AIによってネットワークの状態を分析し、変更案を提示できたとしても、その判断を実際の設備制御に反映するには、変更の影響や障害時の復旧まで考慮した運用設計が必要になる。重要なのは、個々の装置に自動制御機能を追加することだけではなく、システム全体の状態を把握し、適切な範囲で制御を実行できる環境を整えることだ。

 AIファクトリーのネットワークは、AIの計算処理を支えるインフラであると同時に、計算需要に応じて自らの構成を変えていくインフラへと進化する可能性がある。OCSの価値を最大限に引き出すうえでは、光スイッチの性能だけでなく、計算資源とネットワークを連動させる管理・制御基盤の進化にも注目していきたい。

(OPTCOM編集部)