Nokiaが、AI対応の光ファイバブロードバンドを加速するため、柔軟な50G/25G/10GPONソリューションを発表
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Nokiaは10月12日(エスポー)、通信事業者が自社のペースで光ファイバネットワークを進化させ、AI時代の需要に対応できる柔軟性を提供する新しい50G/25G/10G/GPONラインカードを発表した。
AIが消費者、企業、そして産業界のネットワーク利用方法を変革するにつれ、リッチコンテンツ、クラウド連携の強化、そして増加するアップストリームトラフィックといったニーズが高まり、容量、低遅延、セキュリティ、そして信頼性に対する要求が増大している。Nokiaは「50G/25G/10GPONソリューションにより、通信事業者はこうした需要の高まりに合わせて既存の光ファイバネットワークを柔軟に調整できる。従来のラインカードでは、通信事業者は利用できるPON技術が限られており、事前に容量を確保したり、市場ニーズの変化に応じてハードウェアを追加したりする必要があった。Nokiaの新しいマルチPONラインカードは、各ポートで複数の世代のPON技術をサポートしているため、通信事業者は需要の高まりに応じて、より高速な通信速度を導入できる」と説明している。
Nokia独自のQuillionチップと光PONモジュールを基盤とするこの新しいソリューションは、各ポートでGPON、10G、25G、50G PONをサポートし、様々なマルチPON光モジュールにも対応している。これにより、通信事業者は、それぞれの市場、サービス、ビジネスケースに最適な形で、技術、あるいは複数の技術を組み合わせた柔軟な導入が可能になる。需要の変化に応じて、同じポートと光ファイバ上でPON世代を追加または変更することもできる。
Nokiaの固定ネットワーク担当 SVP 兼 ゼネラルマネージャーであるMaryam Chaudry氏は「ブロードバンドの未来は予測がますます困難になっている。AIはトラフィックパターンを再構築し、帯域幅、遅延、セキュリティ、信頼性に対する新たな期待を生み出している。同時に、通信事業者は今後何年にもわたって利用できる次世代PONへの投資を行う必要がある。当社の新しいラインカードを使用すれば、通信事業者は単一の経路にすべてを賭ける必要は無い。市場が現在必要としているPON技術を導入し、必要に応じて同じポートと光ファイバ上で追加のPON技術を追加することができる。PON世代を容易に組み合わせることで、複数の収益源を獲得できる」とコメントを出している。
Dell’Oro Groupのブロードバンドアクセス&ホームネットワーキング担当ヴァイスプレジデントであるJeff Heynen氏は「通信事業者がAIドリブン型アプリケーションや高速ブロードバンドサービスに向けてネットワークを整備する中で、柔軟性はパフォーマンスと同様に重要になってきている。Nokiaは、各ポートで複数のPON世代をサポートできる機能を提供することで、需要の高まりに合わせて光ファイバネットワークを進化させるための、実用的でリスクの低い道筋を事業者に提供する」とコメントを出している。
NokiaのQuillionチップセットとマルチPON光モジュールを搭載したこのラインカードは、GPON/10Gから25G、そして50G PONへの柔軟な進化パスを提供する。例えば、事業者は現在10G + 25G PONを導入し、需要が加速した際に50G PONを追加できる。あるいは、10G + 50G PONを計画している事業者は、市場ニーズの変化に応じて25G PONを容易に追加できる。
また、下記の機能により、ネットワークのパフォーマンス、セキュリティ、そして耐障害性も向上させる。
・アップストリーム遅延を最大4分の1に低減し、応答性の高いデータ集約型アプリケーションを実現する。
・量子耐性のある暗号化と認証により、ネットワークとユーザデータを新たな脅威から保護する。
・単一障害点のないエンド・ツー・エンドの耐障害性により、ミッションクリティカルな接続サービスを安定して提供する。
編集部備考
需要予測が難しい時代、ネットワーク投資に求められる柔軟性
AIの普及によって通信需要の拡大が見込まれる一方、通信事業者にとっては、その需要がいつ、どこで、どの程度発生するのかを予測することが難しくなっている。AIサービスの利用拡大に加え、クラウドとの連携や企業のデータ活用が進めば、必要とされる通信容量や品質も、利用者や用途によって異なってくるためだ。
こうした不確実性に対し、通信事業者はどのようにネットワーク投資を進めればよいのか。Nokiaが発表した50G PON対応の新しいラインカードは、その問いに対する一つの方向性を示している。
今回の製品は、GPON、10G PON、25G PON、50G PONという異なる世代のPON技術を、16ポートのラインカードの各ポートでサポートする。これにより、通信事業者は市場やサービスの需要に応じて技術を選択し、同じポートと光ファイバを利用しながら、必要に応じて対応するPON技術を追加・変更できるとしている。
従来、次世代PONへの移行では、将来必要となる通信容量を見積もり、採用する技術や設備構成を決める必要があった。複数世代のPONを共存させるマルチPONも、既存設備を生かしながら新しい技術へ移行するための選択肢となるが、対応するPON世代の組み合わせは製品によって異なる。そのため、導入時に選択した構成によっては、将来の需要変化に応じて利用できる技術の選択肢が限られる可能性もある。
対して、4世代のPON技術を同一ラインカードの各ポートでサポートする今回の製品ならば、通信事業者は導入時点で将来の需要を見越して技術構成を固定するのではなく、サービスや利用者ごとの需要に応じてPON技術を選択し、段階的にネットワークを進化させやすくなる。
需要が想定を上回れば、対応する技術への移行や設備の追加が必要になり、反対に需要が伸びなければ、先行投資した設備の利用効率が低下する可能性もある。複数世代のPONを柔軟に選択できる構成は、こうした不確実性に対し、将来の需要を一度に決め切らず、変化に応じて投資の選択肢を残しておくという考え方につながる。
もちろん、柔軟な設備構成を採用すれば投資リスクが自動的に解消されるわけではない。需要予測や設備容量の設計は引き続き重要であり、既存設備との互換性や運用コストも考慮する必要がある。それでも、需要が顕在化する前に将来の構成を固定するのではなく、変化に応じて選択できる仕組みを用意することには意味がある。
AI時代のネットワーク投資では、将来の需要を正確に予測する能力に加え、予測の不確実性を前提に設備を設計する能力も重要になる。最大性能を最初から実装することだけが将来への備えではない。必要な性能を必要な場所から追加できることも、長期にわたって利用する通信インフラの価値を左右する要素になりそうだ。
PONの世代共存が広げる、アクセス網の事業戦略
通信アクセス網の高速化は、利用者に提供できる通信性能を高める一方、通信事業者にとっては、設備投資とサービスの収益性をどう両立させるかという課題でもある。すべての利用者に一律で最高性能の回線を提供することが、必ずしも最適な選択とは限らないからだ。
今回、Nokiaが発表したマルチPON対応のラインカードで注目したいのは、複数世代のPON技術を共存させる仕組みが、設備更新だけでなく、サービスの組み立て方にも選択肢をもたらす点である。
同社の新製品は、GPON、10G PON、25G PON、50G PONを各ポートでサポートする。例えば、当初は10G PONと25G PONを組み合わせ、将来的に需要が高まった段階で50G PONを追加する構成や、10G PONと50G PONから始め、需要の変化に応じて25G PONを追加する構成などが想定されている。
こうした柔軟性は、通信事業者が異なる顧客の需要に対応するうえでも意味を持つ。一般家庭向けのブロードバンドと、より大容量の通信を必要とする法人向けサービスでは、求められる性能や利用形態が異なる。また、企業拠点やモバイル基地局など、光アクセス網を利用する用途が広がれば、同じ地域や設備の中でも、必要とされる通信性能に差が生じる可能性がある。
その際、ネットワーク全体を一律に高速化するのではなく、需要が生じた場所やサービスから段階的に対応できれば、既存のインフラを生かしながら新しい需要を取り込む道が広がる。複数世代の技術を共存させることは、単なる移行コストの抑制策にとどまらず、異なる市場や顧客に向けたサービスを、共通のアクセス基盤から展開するための選択肢にもなり得る。
ただし、技術的に共存できることと、事業として採算が取れることは別の問題だ。提供するサービスの需要や料金、設備の利用率、運用の複雑さなどを踏まえ、どの用途にどの性能を割り当てるかを判断しなければならない。柔軟性そのものが収益を生むのではなく、その柔軟性をサービス設計に生かせるかどうかが問われる。
AI時代には、通信需要の増加だけでなく、顧客ごとに必要な通信性能の違いも重要になる。アクセス網を単一のサービスを提供するための設備としてではなく、複数の需要に対応する共通基盤として捉え直すことができれば、既存資産の活用と新たな事業機会の開拓を両立する道も見えてくるだろう。
AI時代のアクセス網は、通信速度だけで評価できない
AI時代の通信インフラを考える際、まず注目されるのはデータセンタの計算能力やネットワークの高速化だ。しかし、AIの処理基盤がどれほど高性能になっても、利用者や企業がそこへ接続するアクセス網がボトルネックになれば、サービス全体の性能を十分に引き出すことは難しい。AIを支える通信基盤は、データセンタ内部だけでなく、その外側に広がるアクセス網まで含めて考える必要がある。
このとき、重要になるのは最大通信速度だけではない。AIの利用形態が多様化すれば、通信容量に加え、上り方向の通信、遅延、信頼性、セキュリティなど、アクセス網に求められる条件も変わってくる可能性がある。
例えば、生成AIサービスで画像や動画を送信する場合や、企業が大量のデータをクラウド上のAI基盤へ転送する場合には、上り方向の通信が重要になる。また、AIを組み込んだ機器やエージェントが外部の情報を取得しながら処理を進めるようになれば、用途によっては通信の応答性や安定性も重要な評価軸になるだろう。
Nokiaが今回発表した50G PON対応のラインカードは、こうした変化を見据えたアクセス網の進化策として位置付けられる。同社は、従来世代から50G PONまでを柔軟に組み合わせられる構成に加え、上り方向の遅延を最大4分の1に低減する性能や、量子計算機時代を見据えた暗号化・認証機能などを特徴として挙げている。もっとも、これらは同社が発表した製品の性能・機能に関する説明であり、実際の効果はネットワーク構成や利用条件などにも左右される。
ここから考えたいのは、AI時代のアクセス網を、単に最大速度を引き上げるための設備として捉えることの限界だ。通信容量を増やすことは重要だが、それだけであらゆるAIサービスの要求を満たせるわけではない。上りと下りの通信量、遅延、信頼性、セキュリティなどを、用途に応じてどう組み合わせるかという視点が欠かせなくなる。
一方、すべての利用者が直ちに50G PONを必要とするわけでもない。サービスごとの要求を見極め、必要な性能を段階的に導入できることが、アクセス網の進化では重要になる。高速化と柔軟性は対立するものではなく、需要に応じて必要な性能を選択できることが、インフラ全体の効率を高める可能性がある。
AIの計算基盤が進化するほど、その能力を利用者や企業へ届ける通信網にも、より多様な役割が求められる。アクセス網の価値は最大速度の数字だけでは決まらない。AIサービスの利用形態と、それを支える通信要件を結び付けて設計できるかどうかが、今後のネットワーク進化を考えるうえでの論点になりそうだ。
(編集部備考)






