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RNPが、AI時代に向けたブラジルの研究教育ネットワーク近代化にNokiaとQ13を選定

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 Nokiaは10月6日(ブラジル サンパウロ)、ブラジルの国立研究教育ネットワークであり、ラテンアメリカ最大規模を誇るRNP(Rede Nacional de Ensino e Pesquisa)が、Rede Ipêの近代化にNokiaとQ13を選定したことを発表した。

 Nokiaは「新たに構築される安全で自動化された高性能IPネットワークは、400万人以上のユーザを接続し、ブラジル全土におけるAIを活用した研究、科学的発見、デジタルイノベーションの基盤となる」としている。

 この新しいアーキテクチャは、データセンタ接続、大規模な科学コラボレーション、プライベート無線ネットワーク、AI対応アプリケーションに対する高まる需要に対応する。機関、人、データ、そして知能をより安全かつ確実に接続することで、健康、気候科学、生物多様性、工学などの分野における研究を加速させる。

 RNPのエンジニアリング・オペレーション担当 アジャンクト ディレクターであるAri Frazão氏は「Rede Ipêは、ブラジルの研究教育コミュニティにとって不可欠なインフラだ。AIと先端研究への需要が高まるにつれ、全国各地の人々、機関、そしてアイデアをつなぎながら、これらのニーズに合わせて拡張できるネットワークが必要となる。この近代化は、知識へのアクセスを拡大し、ブラジルの未来に向けたより強固なデジタル基盤の構築に貢献する。RNPは初めて、コア、アグリゲーション、ピアリング、エッジ機器を単一のテクノロジープロバイダから調達することで、ネットワーク自動化への大幅な投資が可能になる」とコメントを出している。

 この近代化は、知識へのアクセスを拡大し、デジタル インクルージョンを強化し、グローバルな研究コミュニティにおけるブラジルの参加を深める。RNPは、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカの100カ国以上、125を超える学術ネットワークに接続している。

 Nokiaのラテンアメリカ地域 国立研究教育ネットワーク担当リーダーであるCássia Rinaldi氏は「AIは研究の実施方法と科学コミュニティの連携方法を変革し、それらを接続するネットワークに新たな要求を突きつけている。NokiaはRNPおよびQ13と協力し、ブラジルの研究・教育エコシステム全体にわたるインテリジェンスを接続するために必要な、安全で高性能な基盤を構築している。今日のアプリケーションをサポートし、800Gへの進化にも対応できる規模を備えたrede Ipêは、AIとコネクティビティの進歩を、発見、イノベーション、そして社会のための新たな可能性へと転換させるだろう」とコメントを出している。

 この導入により、350台以上のルータで合計4.8Tbpsの容量が実現し、800Gへの進化に対応した拡張性の高いIPバックボーンが構築される。Nokiaは、7750サービスルータと7250インターコネクトルータ プラットフォームを活用し、コア、アグリゲーション、ピアリング、そしてユニバーサル プロバイダ エッジ機能を提供する。Q13がネットワーク全体の導入と移行を主導する。

 Q13のパートナー 兼 エグゼクティブディレクターであるElinton Lazzuri氏は「この規模の国家バックボーンネットワークを近代化するには、綿密な計画と円滑な実行が不可欠だ。RNPおよびNokiaと緊密に連携することで、日々rede Ipêを利用するコミュニティのために、より強靭で将来を見据えたrede Ipêへのスムーズな移行を確実に実現する」とコメントを出している。

編集部備考

研究ネットワークは「データを運ぶ網」から「AI研究基盤」へ

 RNPが運用するブラジルの研究・教育ネットワーク「rede Ipê」は、今回の刷新によって4.8Tbpsの総容量を確保し、350台超のルータを配備。将来的には800Gへ進化できるネットワークをめざす。背景にあるのは、AIを活用した研究、データセンタ接続、大規模な科学コラボレーションなどによる通信需要の拡大だ。重要なのは、このネットワーク刷新の意義が、高速化だけではない点だ。

 従来、研究ネットワークの重要な役割は、大学や研究機関の間で大量の研究データを高速かつ安定して転送し、共同研究を支えることだった。実際、RNPもrede Ipêを教育・研究機関間の協働や大量データ伝送を支える「高速道路」と位置付けている。
 しかしAI時代には、この位置付けが変わり始める。AIを利用した研究では、研究者、データ、GPUなどの計算資源、データセンタ、AIアプリケーションがネットワークを介して結び付く。重要な用途の拡大した研究ネットワークは、研究活動そのものを常に支え、その効率を大きく左右する基盤になっていく。

 これは研究ネットワークに限った話でもない。AIの学習や推論が大規模化するほど、計算資源とデータをどこに配置し、どの経路で接続し、必要なときにどれだけの通信能力を確保するかが重要になる。AIインフラというとGPUやデータセンタに目が向きやすいが、それらを結ぶネットワークもまた、AIの能力を引き出すためのインフラとなる。
 今回のrede Ipêの刷新は、研究ネットワークが「研究データを運ぶインフラ」から、「計算資源とデータ、人を結び付けて研究そのものを支えるAI基盤」へ変化していることを示す事例といえる。

高速化と共に重要な「ネットワーク全体を自動化できる構造」

 今回の発表で、800G対応や4.8Tbpsという数字と並んで注目したいのが、RNPが今回初めて、コア、アグリゲーション、ピアリング、エッジの機器を単一ベンダで統一する点だ。RNPは、この構成によってネットワーク自動化への大きな投資が可能になるとしている。

 ネットワークの高速化だけを考えれば、より大容量のルータやインターフェイスを導入すればよい。しかしAI時代に問題になるのは、通信量の増加だけではない。接続するデータセンタや研究機関、利用するアプリケーション、データの流れが複雑化すれば、ネットワーク運用も複雑になるからだ。
 特にAIを利用した研究では、特定の研究プロジェクトで大量のデータを一時的に処理したり、遠隔地の計算資源を利用したりするケースも増える。こうした変化に人手による個別設定だけで対応していけば、ネットワークの規模が大きくなるほど運用負荷も増えてしまう。必要なのは、個々の装置を管理することから、ネットワーク全体を一つのシステムとして把握し、ポリシーに基づいて構成やリソースを動かせる環境への転換だろう。

 その意味で今回の単一ベンダ化は、調達の合理化や機器の統一としてのみ見るべきではない。もちろんマルチベンダ環境には相互運用性や選択肢の広さという利点がある一方、ネットワーク全体を統合的に制御し、自動化していく場合には、装置間の差異を吸収する仕組みや運用ルールの標準化が重要になる。今回の構成は、そのための一つの現実解と考えられる。また、ネットワーク自動化において示される単一ベンダのメリットは、今後のエコシステム成熟に向けて重視すべき方向性の一つにもなり得る。
 AI時代のネットワークでは、「どれだけ速いか」に加えて、「どれだけ自律的に運用できるか」が重要になる。800Gへの進化を可能にするハードウェアだけでなく、それを効率的に使い続ける運用基盤まで含めてネットワークを設計することが、AIインフラとしての条件になりつつある。

研究・教育ネットワークは、AI時代のネットワーク技術の「先行実装環境」になる

 研究・教育ネットワークには、一般の企業ネットワークとは異なる重要な役割がある。それは、新しい技術やサービスを実際の研究環境で利用し、その成果を次の技術へつなげていくことだ。

 RNPのrede Ipêは、ブラジル全土の500以上の教育・研究機関を接続する基盤であり、RNP自体も大容量データを扱う「ビッグサイエンス」向けに、100Gbps以上の高速接続を提供する「Rede de e-Ciência」を展開している。さらに、大学や研究機関だけでなく、スーパーコンピュータ センタや研究施設などを世界の研究ネットワークにつなぐ役割も担っている。
 今回の刷新では、こうした環境がさらにAIを前提としたものになる。AIによる科学研究、データセンタ接続、プライベート無線ネットワークなどを支えることが、新しいネットワークの目的として明確に掲げられている。
 ここで興味深いのは、研究・教育ネットワークがAI時代の通信技術における「先行実装環境」になり得ることだ。研究分野では、気候、医療、バイオ、工学など、扱うデータ量が急増する領域が多い。AIを使った解析が広がれば、データの収集、転送、処理、共有を一体として考える必要性も高まる。その過程で、ネットワークの自動化やデータセンタ間接続、セキュリティ、通信品質の制御など、新しい運用ノウハウも蓄積されていく。

 これは通信事業者や企業にとっても無関係ではない。AIによってネットワークに求められる能力が変わるとき、いきなり社会全体で新しい運用モデルを確立するのは難しい。研究・教育という実利用環境で技術を試し、運用上の課題を洗い出し、その知見を産業や公共分野へ展開するという流れは、今後ますます重要になるだろう。
 今回のRNPの取り組みは、研究者のためのネットワークを更新するだけでなく、AI時代のネットワークそのものを社会実装していく場を拡張する取り組みとしても見ることができる。

AI時代のデジタル インクルージョンは、「接続できる」から「高度な知識へアクセスできる」へ

 今回の発表で、技術仕様と同じくらい興味深いのが、RNPがネットワーク刷新の効果として「知識へのアクセス拡大」や「デジタル インクルージョンの強化」を挙げている点だ。rede Ipêは4百万人超の学生、教授、研究者を接続し、100カ国以上の125以上の学術ネットワークとも接続している。

 通信インフラとデジタル インクルージョンというと、これまでは「インターネットに接続できるかどうか」「通信速度による不平等が生じていないか」という議論が中心だった。しかしAIの普及によって、その意味は変わり始める可能性がある。
 AI時代には、ただインターネットへ接続できるだけでは十分ではない。どのようなデータにアクセスできるのか、どの程度の計算資源を利用できるのか、どの研究者や研究機関と連携できるのかによって、「得られる知識や生み出せる成果に差が生じる」からだ。
 例えば、ブラジル国内の大学や研究機関が大規模なデータセットやスーパーコンピュータ、AI計算基盤へ高速にアクセスできれば、地理的な距離に左右されずに研究資源を共有できる。RNPが提供する研究ネットワークは、シンプルな通信回線ではなく、こうした研究資源を結び付ける共通基盤として機能する。実際、RNPは大規模科学向けのe-Ciênciaネットワークでも、スーパーコンピュータや研究施設間の大量データ転送を支えることを目的としている。

 この視点に立てば、ネットワークの高速化は「通信品質を上げる」という技術的な話だけではなくなる。高度なAIや計算資源、世界の研究コミュニティへのアクセスをどこまで広げられるかという、知識へのアクセス環境そのものに関わってくる。
 AIが知識や計算能力の格差を拡大する可能性がある一方で、ネットワークはその格差を縮める側にもなり得る。だからこそAI時代の通信インフラには、ただ大量のデータを運ぶ能力だけでなく、「誰が、どこから、どのような知識や計算資源につながれるのか」という視点も求められる。今回のrede Ipêの刷新は、通信インフラがAI時代のデジタル インクルージョンを支える基盤へと役割を広げつつあることを示す事例といえる。

(OPTCOM編集部)