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関西テレビ放送の局内ネットワーク基盤をSDNで構築【NEC】

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「情報系」と「放送系」の局内ネットワーク統合を目指して

 NECは11月13日、SDNを活用し、関西テレビ放送の局内ネットワーク基盤を構築したと発表した。
 今回の構築では、大きく「情報系」と「放送系」に区分されている局内ネットワークのうち、まずインフラの更新タイミングとなっていた「情報系」基幹ネットワークをSDNで刷新することにより、「情報系」ネットワーク全体の統合管理を実現し、柔軟なネットワーク機器の設定変更・拡張や、局員の管理負荷軽減を実現した。さらに、将来的にはファイルベースでの作業化が進む「放送系」ネットワーク群の取り込みも模索しており、今後の局内全体のネットワーク統合化による柔軟な運用の実現を目指していくという。
 NECは社会ソリューション事業に注力しており、SDNを活用したシステムを国内外に多数納入している。同社は「IoT時代に必要なセキュアで柔軟なネットワークの構築や運用を、SDN技術の提供を通して実現していくことで、企業の安全・安心なネットワーク運用に貢献していく」とコメントを出している。

背景

 従来の関西テレビ放送局内におけるネットワークは、通信規格がIPで統一されている「情報系」と、様々な通信規格が混在する「放送系」が存在し、両ネットワークは独立していた。しかし近年、番組の制御システム、収録、編集、伝送システムなど、放送系機器のIP化が進み、新たなネットワークの構築や「情報系」ネットワーク端末から「放送系」ネットワーク機器にアクセスしたいというニーズも生まれつつある。また用途に応じて構築してきたネットワークの構成が複雑化しており、ネットワーク管理の属人化リスクを高め障害発生時の対応に時間を要するケースや、さらに特番などへの対応で設定を変更する際は都度業者へ委託する必要があるなど、時間、費用面、運用面での課題があった。
 NECは今回、「情報系」ネットワークの更新にとどまらず、将来的な「情報系」と「放送系」の統合の第一歩となる局内ネットワークを、半年間という短期間で構築した。

ネットワーク構成イメージ

今回の構築システムの特長

局内のネットワークをSDNで統合

 局内のネットワークインフラの更新タイミングに伴い、SDNコントローラ:2台、SDNスイッチ:50台、エッジスイッチ:40台などを導入し、局内における「情報系」ネットワーク(社内LAN、インターネットなど)をSDNで構築、本年2月より順調に稼働している。今後「放送系」ネットワークとの統合が実現した際も、両ネットワークは仮想ネットワーク(VTN、注2)でセキュリティを担保しつつ論理的に分離することができるため、公共性が高く安定した放映を実現することができる。

ネットワーク全体をソフトウェアで一元管理

 「情報系」ネットワークの設定変更は、SDNコントローラからソフトウェアを用いて一元的に行えるため、例えば急な特番編成などによる新しいネットワークの追加作業を運用委託業者に依頼すること無く、局員自身で容易に行えるようになった。また、ネットワークの物理構成と論理構成(VTN)、通信状態(トラフィックの流れや障害箇所)も日本語のGUI画面で把握可能で、障害発生時にも迅速に対応できる。ネットワークの運用性を向上させ、コスト削減を実現するとともに、属人化リスクも低減している。

将来の「情報系」と「放送系」のネットワーク統合に向けて

 放送機器のデジタル化・IP化の進展に伴い、将来的な局内ネットワークにおける「情報系」と「放送系」の統合による柔軟な運用の実現を視野に、各フロアにもSDNスイッチを配備した。また今回の構築・移行に際し、機能や運用面の優位性に加え、設計・構築を担当したNECグループのNECネッツエスアイ/NECソリューションイノベータの設計・進捗管理・移行作業へも高い評価を頂き、長期的パートナーとして、将来的なネットワークの統合に向けた更なる先進的な提案も期待されている。

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