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テラヘルツ・マルチプレクサによる世界初のデータ転送実証をサポート【テクトロニクス】

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DPO70000SXシリーズ70GHzオシロスコープとAWG70000シリーズAWGが、国際研究チームにおける50Gbpsの無線データ転送の実証に貢献

 テクトロニクスは1月9日、次世代の超広帯域無線通信リンクを可能にする技術の実証試験において、テクトロニクスの計測器が重要な役割を果たしたと発表した。

 Nature Communications機関紙の記事によると、国際研究チームがセルラ通信網の100倍近い50Gbpsの高速総データ・レートにより、テラヘルツのマルチプレクサで2つのリアルタイム・ビデオ信号を初めて転送したと報告している。
 無線データ転送の速度と容量のニーズはマイクロ波で転送可能な値を超えて増え続けており、より多くの容量でデータ転送が可能な高周波のTHz波の使用に関する研究が進められている。この研究チームの一つが、米国のブラウン大学とフランスのIEMN(マイクロエレクトロニクス・ナノテクノロジ電子研究所)、CNRS/リール大学の国際共同研究チームだ。
 この研究チームは以前にも、光ベースのTHz回路を使用して光ファイバと無線を組み合せて高速データ・レートが実現できることを示している。しかし、実現可能なシステムでは、信号のマルチプレクス/デマルチプレクス(Mux/Demux)のシステムが欠かせない。研究者は平行に配置した2枚の金属版からなる導波路システムを使用し、264.7GHzと322.5GHzの異なる周波数のTHz波に2つのHDテレビ放送をエンコードした。次に、両方の周波数をいっしょにしてマルチプレクサに送り、テレビ受信セットでデバイスからの信号を検出する。さらなる実験から、このシステムにより50Gbpsまでのデータ・レートを低いエラー・レートで配信できることが示されている。

テスト機器の役割

 実証実験ではQPSK変調が採用された。光信号は、光混合プロセスで生成されるデュアルTHz信号より前に、デュアルネスト型のマッハゼンダ変調器で変調される。次に、テクトロニクスのAWG70000シリーズ任意波形ジェネレータを使用し、同相、直交データ・フローのための2つのベースバンドNRZ(Non-Return-Zero)データ信号を生成する。
 検出では、2つの周波数のTHz信号はショットキーベースのサブ高調波ミキサで40GHz以下にダウンコンバートされる。出力は、テクトロニクスのDPO70000SXシリーズ70GHzオシロスコープで増幅され、検出される。ダウンコンバートされたTHzチャンネルに関連した2つのQPSK信号は解析され、変調データと関連するコンスタレーション・ダイアグラムが得られる。
 IEMN准教授のGuillaume Ducournau氏は「この実証実験から、THzマルチプレクサ・システムを使用することで、互いに干渉するようなストリームなしに実際にデータを送れることが明らかになった。テクトロニクスからのサポートを受け、システムを詳細にテストし、特性評価することができ、その結果から、この手法がTHx無線ネットワークの将来の商用アプリーションにつながることがわかった」とコメントを出している。
 テクトロニクス、ヨーロッパ/中東/アフリカ担当の市場開発マネージャ、ディーン・マイルズ(Dean Miles)氏は「IEMNとの技術コラボレーションに関われたことを大変うれしく思う。光ベースのTHz回路を使用して光ファイバと無線の技術をつなぎ、高速のデータ・レートを実現することは絶え間ない技術革新の領域であり、この技術革新に対してテスト/計測機器が貢献する好例となっている。100G、400G、それ以上の信号の生成と特性評価には最先端のテスト・ツールが必要であり、テクトロニクスはこの画期的な研究を含む、光通信テスト・ソリューションに対応した豊富な製品ラインアップを取り揃えている」とコメントを出している。