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伊藤忠ケーブルシステムと仏・Streamroot、日本国内における映像配信ネットワーク分野で協業

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 伊藤忠ケーブルシステムは9月5日、VODサービスやライブ配信の著しい拡大にともなう、映像配信サービス事業者の配信品質向上・CDN(コンテンツ配信ネットワーク)コスト増への課題に対するソリューションを提供するため、Streamrootと戦略提携し、StreamrootがWebRTC技術をSaaSで提供する、「Streamroot DNA™」の日本国内での取り扱いを開始すると発表した。
 今回の戦略提携により、伊藤忠ケーブルシステムがシステム構築を行うビデオ配信ソリューションでは、コンシューマへ提供されるライブ・VODコンテンツ配信の映像品質の耐障害性の向上と配信コストの低減が可能になる。

 拡大を続ける映像コンテンツ配信において、CDN利用の品質安定化およびコストは事業収益化の大きな障壁の1つとして課題視されている。 Streamroot社が特許を取得しているWebRTC技術を用いた配信ネットワークを採用することにより、従来のCDNによる配信品質を補完する上にコストのドラスティックな低減が実現できる。

 このWebRTC技術は、Streamroot DNA™のセンターサーバ側と数行程度のスクリプトを追加したプレイヤ側との疎通により、他の視聴者がダウンロードして視聴したファイルをパケットレベルで取得し、自分のコンテンツ再生の際にコンテンツファイルの一部として構成することができるコンテンツ配信ネットワークの一種。CDNから取得したファイルとStreamroot DNA™から取得したファイルはシームレスに構成され、当然、視聴者がその違いを意識することは一切ない。従来のCDN利用ではほぼ全てのファイルを契約したCDN事業者のエッジノードより取得しているという点で、大きな相違点がある。

 従来のCDN利用に加えてStreamroot DNA™を併用することにより、配信事業者は契約しているCDN事業者のサービス提供の安定性の良し悪しに、サービス品質の大部分を依存している現状から脱却することが可能だ。
 さらにStreamroot DNA™の利用が契約配信帯域毎の定額料金であることから、視聴者数が増えれば増えるほど負担が大きくなることもなく、事業計画を容易にする。さらにDRM・サーバサイド広告挿入にも対応済みだという。

 先のサッカーワールドカップ ロシア大会においてはオンラインでの観戦が過去最高に達し、利用された映像データ量はグループリーグ開始からわずか10日間で、2014年リオ五輪の総データ量を超えたと言われている。
 Streamrootはこのロシア大会の欧米における配信ですでに商用利用されており、それらの利用のケースでは配信ネットワーク利用の総データ量のうち、Streamroot DNA™によって配信されたトラフィックの割合は実に72%を占めるまでに至ったという。厳格な要件を伴うサッカーワールドカップ配信において、1,970万ユーザがこの技術を享受したという事実が、配信ネットワークがグローバルで次のステージに上りつつあることを明確に裏付けている。

 エンコーダやトランスコーダをはじめとしたビデオ配信システムで、国内ライブ配信200チャンネル以上の構築実績を持つ伊藤忠ケーブルシステムは、このStreamrootが提供するサービスの強力な商用実績を背景に、放送局、コンテンツサービス提供者および多チャンネル配信事業者へ、次世代配信ネットワーク技術を提供する準備が整ったことになる。

 伊藤忠ケーブルシステム 代表取締役社長の土屋健二氏は「Streamrootとの連携により、当社の熟達した高い技術力をご評価いただいている顧客の皆様へStreamrootの画期的なストリーミング・アズ・スケール・ソリューションを提供できることを非常に喜んでいる」とコメントを出している。
 Streamroot 共同出資者兼CEOのPierre-Louis Therons氏は「Streamrootは伊藤忠ケーブルシステムと提携して誇りを持っています。伊藤忠ケーブルシステムとの提携はStreamrootにとって自然な動きです。日本の放送事業者様や配信事業者様の、ゼタバイト時代のOTT配信への課題克服を支援できるよう、伊藤忠ケーブルシステムの専門チームと協力してお役に立てることを非常に楽しみにしている」とコメントを出している。