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3,000万経路を高速処理する仮想ルートリフレクタ「vFX-R」を発売【古河電工】

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仮想アプライアンス製品でハードウェアやライセンスを自由に選択・拡張可能

 古河電気工業(以下、古河電工)は3月31日、仮想ルートリフレクタアプライアンス「vFX-R」を3月より発売したと発表した。同社は「既存の仮想ネットワークアプライアンスFITELnet Vシリーズをベースに、ルートリフレクタ専用装置であるFITELnet Rシリーズで培ってきた機能を組み込んだ」としている。
 「vFX-R」は、独自のマルチスレッドBGPにより3,000万経路の大規模ネットワークの高速配信を実現しているので、安定性強化と運用コスト削減に役立つ。また、ニーズに合わせてハードウェアやライセンスを自由に選択・拡張できるため、スモールスタートなど最適な規模の投資コストでネットワーク構築が可能だ。

背景

BGPフルメッシュ問題のイメージ

 大規模なネットワークを構築・運用している通信事業者にとって、網の拡張性や安定性の確保は必須となっている。これまで通信事業者のバックボーンネットワークでは、BGPをフルメッシュで構築することによる通信網全体のパフォーマンス低下(BGPフルメッシュ問題)に対処するために、BGPセッションを集約するルートリフレクタを導入し、各ルータが保持すべきセッション数を減らすことで負荷を軽減していた。
 しかしながら、5GやIoTの普及など、昨今の網の拡大に伴う経路数の増大や接続されるルータの増加により、従来のルートリフレクタでは拡張性・安定性において対処が難しくなっており、更なる規模拡張性と性能を持つルートリフレクタが求められている。また、中小規模のネットワーク環境においても、構築時からルートリフレクタを導入しておくことで、将来的なサービスの拡大時にBGPピアの増加によるネットワークのパフォーマンス低下を避けることができるメリットがあるため、利用が検討されてきている。

内容

 古河電工は、FITELnet Vシリーズで培った仮想化技術と、通信事業者での10年以上にわたる安定稼働の実績を持つルートリフレクタ専用装置FITELnet Rシリーズで培った機能・技術を融合し、新たに仮想ルートリフレクタアプライアンス「vFX-R」を開発した。主な特徴は次の通り。

BGP 3,000万経路配信に対応:独自のマルチスレッド対応BGPの実装により、規模拡張性と高速性が大幅に向上している。BGPで学習した経路を他のBGPルータにアドバタイズするルートリフレクション動作が国内通信事業者の最大規模のサービスで取り扱う経路のおよそ2~3倍に相当する3,000万経路配信でも高速処理可能になり、サービスの安定性強化と運用コスト削減を支援する。

ハードウェアとライセンスを自由に選択可能:仮想アプライアンス製品のため、ハードウェアを自由に選択・拡張できる。また、ライセンスは、インターネットサービス網での利用を想定した「Basic(v4/v6)」ライセンスと、通信事業者が構築するVPN(Virtual Private Network)サービス網での利用を想定した「VPN」ライセンスを用意しており、用途に応じて選択でき、スケールオプションも用意している。ネットワークの規模やニーズに応じた投資が可能となり、初期費用を抑えたスモールスタートでサービスの成長に合わせてスケールアップしていくことも可能だ。

これからのネットワークに求められる最新技術との連携により利用領域が拡大:EVPNやSegment Routingなどの最新技術と連携することで、データセンタ事業者やクラウド事業者での利用も可能する。

ライセンス種類

「vFX-R」ユースケース

 通信事業者のバックボーンネットワークにおけるインターネットサービス網やVPNサービス網で、BGP経路を集約する際に「vFX-R」を利用することができる。これにより、各ルータが保持すべきBGPセッションの数を減らすことで、各ルータにかかる負荷を軽減し、サービスの安定性強化と運用コストの削減を支援する。