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5Gネットワークスライスの自動運用の実現にむけて、国内事業者として初めてETSI ZSM公認を受けた実証実験に成功【ドコモ】

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 NTTドコモ(以下、ドコモ)は、NTT コミュニケーションズ(以下、NTT Com)、 日本電信電話ネットワークサービスシステム研究所(以下、NS 研)、日本電信電話ネットワークイノベーションセンタ(以下、NIC)の 3 者と共同で、5G ネットワークスライスの自動運用を実現するE2EO(エンド ツー エンド オーケストレーション技術)について、国内通信事業者として初めて、標準化団体である ETSI(欧州電気通信標準化機構) ZSM(Zero touch network and Service Management)の公認を受けた実証実験に成功した。

 5Gネットワークスライスの実現により、ユーザの多様なニーズに柔軟に対応する高品質で経済的なネットワークを提供するため、ドコモでは無線基地局からコアネットワーク設備までのネットワーク制御を一元的に統括し、モバイルネットワーク全体で5GネットワークスライスをコントロールするE2EOの実用化に向けた検討を進めている。
 ドコモは「E2EO によって、5G ネットワークスライスの構築や監視、運用保守といったオペレーションの自動化を実現し、通信事業におけるDXを推進するとともに、お客さまに迅速にサービスを提供することが可能となる」としている。

5GモバイルネットワークにおけるE2EOの役割

 同実証実験では、ZSM によって標準化された最新の仕様(以下、ZSM 仕様)に準拠しつつ、実運用を想定したマルチベンダ環境において、トランスポートネットワークやコアネットワークといった複数のドメインにまたがった5Gネットワークスライスの自動制御を実現した。具体的には、NTTグループであるNTT Com、NS研、NICの技術を活用してE2EOおよびE2EOが制御する対象である5Gモバイルネットワークを実験環境上に構築し、実際の運用を想定した動作の一つとして、E2EOからの制御による5Gネットワークスライスの生成や削除の自動制御に成功した。これらの実証実験を通じてZSM仕様の充足度を確認し、商用環境で運用するために必要な技術要件を具体化している。

 ETSIは、1988年に設立された欧州の電気通信技術に関する標準化団体で、65か国から900以上の企業・研究機関が参加している。ワーキンググループの一つであるZSMでは、ネットワーク運用における 自動化技術の標準化を進めるため、参画する各社が議論を重ねている。
 E2EOの実現に向けて、ドコモは2018年からZSMにおいて中心的なメンバーとして標準仕様化を推進してきた。ZSMが定めるPoC要件に準拠した今回の実証実験はZSMに公認され、実証内容から得られた知見やフィードバックにより仕様策定の検討促進に寄与する。これにより、より多くの装置ベンダやオペレータにおいてZSM仕様に基づく実装やサービス検討が加速し、5GネットワークスライスのE2EOが実現に向けて前進することが期待される。
 ドコモは「本実験で実証したネットワークスライスの自動制御は、NTTグループが推進するIOWN構想におけるコグニティブファウンデーション、および機能別専用ネットワークの具現化に資するものでもあり、今後の技術開発を通じて、様々なICTリソース制御の自動化をめざしていく。ドコモは、NTT Com・NS研・NICの3者と共同で行った本実証実験の成果を基に将来的な導入に向けた検討を進めるとともに、5G Evolutionや6Gに求められるネットワークの提供に向けた技術検討を推進していく」との考えを示している。

実証実験の概要

目的
 E2EOによる 5G ネットワークスライスの自動制御を実現することにより、ZSM 仕様で定める制御機能の充足度やネットワークスライスの制御に関する情報の取り扱い方を確認し、また、商用環境で運用するために必要な技術要件を具体化した。

概要
 同実証実験では、実運用を想定したマルチベンダ環境において、トランスポートネットワークや コアネットワークなどの複数ドメインにまたがった、5G ネットワークスライスの自動制御を実現した。
 実証実験の各構成要素には、ZSM で規定するアーキテクチャに即したシステム構成とマネジメント サービスを実装し、一部規定が不十分なトランスポートネットワーク制御ドメインや各ネットワーク間の相互接続を担うインターワーク制御ドメインのインタフェース仕様についても、不足部分を具現化することで ZSM 仕様による 5G ネットワークスライスの生成や削除といった動作の自動制御を実現した。

実施期間:2021年11月~2022年3月

実証実験で使用した技術要素

実証実験の構成イメージ

各社の役割