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「ドコモオープンイノベーションクラウド」の提供拠点拡大と新基盤の提供開始【NTTドコモ】

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サービス名称は7月1日から「docomo MEC(ドコモメック)」に変更

 NTTドコモ(以下、ドコモ)は4月12日、ドコモのネットワーク網と接続したクラウドサービスである「ドコモオープンイノベーションクラウド」(以下、本サービス)の提供拠点を、2022年6月末までに東北・東海・北陸・中国・四国の5拠点を追加すると発表した。これにより、低遅延でドコモのネットワークを利用できる範囲が全国へ拡大することになる。

 新規拡大拠点では、高速かつ低遅延のデータ処理を実現する新基盤「Compute D」を提供する。また、新規拡大拠点での受付は本日以降、順次開始するという。なお、本サービスは2022年7月1日から、サービス名称を「docomo MEC(ドコモメック)」へと変更される。
 ドコモは「本サービスは、ドコモ5Gコアネットワーク内のお客さまの近くにサーバを配置し、仮想マシン環境や接続環境を提供して低遅延・高セキュリティを実現するMEC(Multi-access Edge Computing)サービスだ」と説明している。

 また、本サービスは2021年12月に開始した、法人ユーザ向けの5G SAサービスにも対応しているため、今後実現するユースケースごとに最適化したネットワークとかけ合わせることで、必要な場所で利用用途に適した低遅延・高セキュリティなネットワークの利用が実現し、地域に結びついた課題を解決できるようになる。
 ドコモは「これにより、たとえば製造・建設現場の機器・重機の遠隔操作や医療現場の遠隔画像診断では、操作指示から現場への反応・伝達のズレが少なくなり、操作性や安全性が向上する。その他にも、スタジアムにご来場のお客さま向けのマルチアングル映像配信では、眼前の試合状況とのズレを感じないリアルタイム映像をお楽しみいただける」と説明している。

拠点拡大のイメージ。

 新たに加わる東北・東海・北陸・中国・四国の5拠点では、次世代MEC試験環境「Beyond-MEC」で先行活用している新基盤「Compute D」を提供する。「Compute D」は、基盤内部の高いネットワーク性能や、高性能GPUを活用いただくことで、高速かつ低遅延のデータ処理を実現できることが特長だ。
 本サービスの新拠点での利用に関する申し込みは、まず中国拠点において、本日から受付を開始。さらに、2022年6月末までに東北・東海・北陸・四国の4拠点も順次受付を開始する予定だという。
 ドコモは、「今後も『5G×MEC』を通じた新しい価値を創出し、全国のワークスタイル・トランスフォーメーション(WX)や地域社会のDXに貢献することで、お客さまの生活がより便利で、豊かなものになるよう努めていく」との考えを示している。

拠点拡大の概要

  • 本サービスを、現在提供中の東京・大阪・神奈川・大分に加え、新たに5拠点(東北・東海・北陸・中国・四国)でも順次提供を開始。
  • 新規拡大拠点の地域のお客さまは、現在提供中の4拠点より近い拠点を選択することが可能になるため、より低遅延※1の通信が可能となり、本サービス上のソリューションやサービスが、より快適・安全に利用することが可能。
  • モバイル回線の接続先拠点を変更できる機能や、仮想マシンインスタンスや仮想ネットワークを管理するコンソールへの導線を提供しているポータルサイトのログイン認証に、パスワードレス設定や生体認証などのセキュリティ機能に対応した法人向け共通認証ID「ビジネスdアカウント」を採用。

新基盤「Compute D」の概要

  • 仮想マシンインスタンス単位で契約、利用が可能。
  • シンプルで自由度の高いOpenStackを採用。
  • 高性能ネットワーク機器の採用と高速インターフェースの提供により、高いネットワーク性能を実現。
  • 物理GPUサーバ(パススルー方式)を提供。

「Compute D」の利用料金、および新規拡大拠点での受付開始時期。

中国拠点において導入を予定しているユーザ
 熊平製作所 販売促進部 参事の立間輝志氏は「この度、ドコモの5GとMECサービスの共同検証およびプロモーションにクマヒラグループ2社(クマヒラ、熊平製作所)が参加させていただくことになった。本検証は弊社ショールーム(広島県広島市南区)をご活用いただき実施する」としており、「ドコモの5GとMECサービスの特長である超高速、低遅延、かつセキュアな通信により、オンプレミス環境が一般的な大規模セキュリティシステムの認証制御においても、今後クラウド化の声が高まることが予想される。本検証の成果は、クラウド化によるUX向上など、お客さまに新しい様々な価値を提案する基盤になると期待している」とコメントを出している。

 呉工業高等専門学校 協働研究センター長の黒木太司氏は「呉市の産業は若者の流出と少子高齢化により、後継者不足という危機に直面している。また、急傾斜地では毎年のように土砂崩れが発生し、呉地域は今『安心安全な街づくり』と『魅力ある産業づくり』が喫緊の課題だ。このような課題を解決しうる手段として、サーバが身近に設置されるMECは、高齢者の見守りや車両走行支援、災害時の避難状況把握など、即時性が要求される場面に適し、かつサイバーセキュリティにも強みがあり、安心安全な社会に貢献する素晴らしい技術といえる」としており、「当呉高専は、現在ドコモと新たなパートナーシップを構築する中、今回新たなMECが中国地域に設置されるとの朗報を受け、大変心強く思っている。MECと5Gを活用し、一層の教育研究や地域支援を推進してゆく所存だ」とコメントを出している。

「Compute D」の基盤技術を提供するパートナー企業
 エヌビディア日本代表 兼 米国本社副社長の大崎真孝氏は「ドコモの新たな5G MECサービス『Compute D』に採用された、『NVIDIAアクセラレーテッドネットワーキング ソリューション』により、全国のMEC拠点から高速かつ低遅延で様々なワークロードを加速することができる。また、NVIDIA GPUの活用で、高精細の映像処理やXRのクラウドレンダリング、そしてエッジAI推論が高速化され、さらなる5Gビジネスの発展が期待される。今後もNVIDIAプラットフォームを活用いただくエコシステムパートナーの皆さまと共に新たなビジネス創出を支援していく」とコメントを出している。