総務省の令和8年度「ワット・ビット連携関連実証」に着手【Jパワー、シスコ、JR東日本、日立、ビットメディア】
データセンタ/LAN 無料発電事業者の独自情報を活用したワークロードシフトの有効性を横浜・北九州のAIデータセンタ間で検証
電源開発(以下、Jパワー)、シスコシステムズ(以下、シスコ)、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)、日立製作所(以下、日立)、ビットメディアは、総務省の令和8年度「ワット・ビット連携(※1)関連実証」に着手したと発表した。
(※1)ワット・ビット連携:効率的な電力・通信インフラを通した電力と通信の効果的な連携(電力の単位「W(ワット)」と情報通信の単位「bit(ビット)」を組み合わせた造語)
■実証の概要
Jパワー、シスコ、JR東日本、日立、ビットメディアは、総務省の令和8年度「ワット・ビット連携関連実証」の公募に対し、「発電事業者独自情報(再生可能エネルギー(以下、再エネ)発電量予測・電力取引価格)、電力需給状況、計算資源利用状況、災害等の情報を統合的に活用するワークロードシフト(以下、WLS※2)の実現可能性・有効性検証」を目的とした事業(以下、本実証事業)の提案を行い、採択された。
本実証事業では、複数の電力供給エリアに分散配置したAIデータセンタ(以下、AI-DC)を連携し、AI学習・推論等の計算タスクを最適な「場所」と「時間」に動的配置するWLSシステムを構築し、その実現可能性を検証する。
そのために低遅延・大容量・高信頼なAPN等を活用し、電力・通信・計算資源を統合的に制御する。これにより、再エネ発電量予測、電力の取引価格・需給状況、計算資源利用状況等の情報に応じて、AI学習・推論等の計算処理を最適な場所と時間に配置するWLSを実現する。
具体的には、横浜および北九州のAI-DCをクラウド型ネットワークサービス(NaaS)回線で接続し、計算処理を状況に応じて拠点間で動的に配置する。これにより、再エネの有効活用及び出力抑制(※3)の低減、電力需給の安定化、ならびにAI-DCのレジリエンス向上に対するWLSの効果を評価する。また、サービス品質を維持しながらWLSを適用するための運用方法や、システム及びネットワーク構成を検証する。
(※2)ワークロードシフト(WLS):計算負荷(コンピューティング負荷)を時間的または空間的に移動させることで、電力需給バランスの調整やコンピューティングリソースの有効利用等を促進する技術
(※3)出力抑制:電力需給のバランスや電力系統の制約により、発電可能でも太陽光発電や風力発電等の発電量を一時的に抑制すること
また、分散型AI-DC間を接続する通信ネットワークの高度化に向けて、新幹線沿線の既設光ファイバを利用し、鉄道沿線APN環境における通信性能及び伝送品質を検証する。
本実証事業は2026年8月から開始しており、2027年2月1日までの実施を予定している。

実証イメージ図
検証内容
①では、再エネ出力抑制や電力コストの抑制等の効果、およびWLSによるAI処理のオーバーヘッド(処理時間増等)
②では、鉄道沿線の振動・気象影響下での通信品質(伝送損失・エラー、通信遅延・ゆらぎ等)

各社の役割
■本実証に至るまでの経緯
AI活用の拡大に伴い、社会インフラ事業者では、機密性の高い膨大なデータを安全に扱うため、信頼性の高いセキュアなAI-DCへのニーズが高まっている。このようなニーズに対応するため、重要社会インフラ事業を担うJパワーと日立は、Jパワーが推進するAI-DCの建設・運用において連携している。
一方、AI-DCにおける計算需要の拡大に伴い、電力需要の増加や、特定の地域・時間帯における再エネの出力抑制の増加等、新たな課題が顕在化している。こうした課題に対し、複数地域へのAI-DCの分散配置や、APNを活用した仮想的なAI-DCの統合、ならびに電力需給に応じた柔軟なWLSにより、電力システムの安定化と効率化を図る分散型AI-DCの運用モデルの確立が求められている。
これらの実現に向け、Jパワー、日立、シスコ、ビットメディア、JR東日本、JR西日本光ネットワーク、名古屋鉄道が連携し、「広域APN・ワークロードシフト イノベーション推進協議会」を設立している。
本実証事業では、本協議会の取り組みの一環として、Jパワー、シスコ、JR東日本、日立、ビットメディアが中心となり、分散型AI-DCの運用モデル確立に向けた初期段階の技術実証を実施する。
■本実証終了後の展開
本実証の結果を踏まえ、今後も実環境における段階的な検証を通じて、分散配置されたAI-DCを活用したAI開発・運用基盤の最適なシステムおよびネットワーク構成の検討を継続する。これにより、より効果的かつ経済的な分散型AI-DCの運用モデルの確立及び社会実装をめざしていく。




