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5Gコネクテッドカーに向けた「車両ガラス設置型アンテナ」による5G通信に成功【ドコモ、AGC、エリクソン】

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世界初、28GHz帯対応アンテナで高速走行車両と8Gbpsの超高速通信を実現

実証実験風景

 NTTドコモ(以下、ドコモ)、AGC、エリクソン・ジャパン(以下、エリクソン)は、第5世代移動通信方式(以下、5G)コネクテッドカーの実現に向け、「車両ガラス設置型アンテナ」(以下、オンガラスアンテナ)を用いた5G通信の実証実験を共同で行った。そして、7月25日に、約100km/hで高速走行中の車両との間で、最大8Gbpsの5G通信に世界で初めて成功した。

オンガラスアンテナ素子

 実証実験に使用したオンガラスアンテナは、AGCが新たに設計・開発したガラス面に設置できる28GHz帯対応の5Gアンテナ。外観から見えにくく、車両のデザインを損なわずに設置ができる。

オンガラスアンテナの設置模様

 28GHz帯の周波数は、電波の減衰が大きく、遠くまで届きづらいという特徴がある。オンガラスアンテナを車両に設置することで、電波を特定方向へ集中させる「ビームフォーミング機能」や、複数アンテナから異なるデータを同時に伝送して通信速度を向上させる「MIMO機能」を利用した5G電波の送受信を安定的に行うことが可能となり、走行中の車両に対しても安定した高速通信を行えるようになる。

オンガラスアンテナ設置時の車両外観

 今回の実証実験では、茨城県の国土技術政策総合研究所において、オンガラスアンテナを設置した車両に対し、ビームフォーミング機能やMIMO機能を利用した5Gの高速通信を行った。そして、走行速度約100km/hの高速移動時で最大8Gbpsの通信に成功した他、走行速度約30km/hの移動時においても、最大11Gbpsの通信を実現し、オンガラスアンテナを用いることで、28GHz帯の高い通信速度を、車両内で享受できることを確認した。
 ドコモ、AGCおよびエリクソンは「今後も5Gコネクテッドカーの実現をめざし、車載通信モジュール等の幅広い環境における5Gの活用に向けた取り組みを進めていく」としている。

実験システム構成

実証実験概要と成果

 国土技術政策総合研究所のテストコース(約2.2kmの直線区間)において、オンガラスアンテナおよび5G移動局を搭載した走行中の実験用車両と、コース脇に設置した3つの5G基地局との間で、28GHz帯の周波数を用いた5Gデータ通信を実施した。
 今回の実験では、実験用車両のフロントガラス、両サイドのリアクオーターガラス、リアガラスに合計8素子のオンガラスアンテナを設置し、様々な方向から到来する電波を受信できるようにした。
 垂直・水平偏波に対応した最大4ビームによるビームフォーミング機能と、MIMO機能を組み合わせてオンガラスアンテナで受信をすることで、約100km/hの走行速度で最大8Gbps、約30km/hの走行速度で最大11Gbpsの5G高速通信を実現した。

実証実験装置・機器の主な仕様と、各社の役割