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光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー 【FOE-5】巨大化するデータセンタを支える光技術

INTERVIEW 有料

三菱電機(株)
コミュニケーション・ネットワーク製作所
所長
清水 克宏氏

コースリーダー:
三菱電機(株)清水 克宏
サブリーダー:
古河電気工業(株)太田 寿彦

 クラウドの普及に伴いデータセンタの巨大化が進んでおり、光通信業界においても非常に大きな市場となっている。データセンタ内、あるいはデータセンタ同士を接続するために大量の光ファイバが張り巡らされ、多くの光送受信機、部品が使われている。しかし、光通信業界のビジネスパーソンにとっても、最新のデータセンタの中身はよく分っていないというのが実情だ。その理由として、データセンタは機器の更新が非常に早い点が挙げられる。ネットワークの構成や、ケーブリング、コネクタ、光トランシーバといった製品に対して、次々と新しい技術が搭載されている市場だ。
 その点に着目した清水氏は「データセンタ市場は、その特殊性ゆえに理解して取り組むことが必要だ。そこで今回のコースでは、最初のセッションでデータセンタ業界の全体像を扱い、残る二つのセッションで技術的な面を扱う流れで構成した。これを、業界のトップレベルの方々にご講演いただく」と話している。

●クラウドを支えるデータセンタの最新動向
さくらインターネット(株)
事業開発本部
副本部長
白畑 真

 データセンタ業界の全体像を解説するのは、さくらインターネットの白畑氏だ。東京、大阪、北海道(石狩)と、都心部や寒冷地で大規模データセンタを運用し、国内最大級の大容量バックボーンや、高速な内部ネットワークを構築している、さくらインターネット。その事業開発本部のキーマンの一人である白畑氏は、今回の講演コンセプトに最適な人物だろう。
 清水氏は「本セッションでは、主にネットワークの観点から、光通信技術者向けにデータセンタの動向を概説していただく。Closネットワークのようなトポロジー技術や、大規模ネットワークを動かすための仮想化・自動化といったソフトウェア技術、そしてハードウェアに関しては特注と汎用の両面についてご紹介いただく予定だ」と話している。

●巨大データセンタを支えるケーブリング、ファイバ接続技術
OFS Ltd.
Product Line Management, Research & Development
Senior Director
Andrew Oliviero

 このセッションでは、Web2.0市場の動向、構内・都市間・長距離幹線・海底ケーブルの各階層のネットワークにおけるトレンドを俯瞰した後に、ハイパースケール・データセンタに焦点を当て、革新が進む最新の光ファイバ技術、ケーブル技術、接続技術のインパクトが概説される。
 清水氏は「スピーカーのOliviero氏は、OFSでケーブル、光ファイバ、コネクタのR&Dで主導的な役割を担ってこられた方で、データセンタのビジネスと技術の両方に精通している。今回は、グローバルな視点でデータセンタの現状を俯瞰していただき、技術的な解説に移る予定だ。例えば、データセンタ内では大量の光ファイバがスイッチとサーバの間を接続しているが、光ファイバの数があまりにも多くなっていることから、その運用管理が大きな課題となっている。その対策である、複数のファイバをリボン状に束ねる技術や、それを一括して接続するコネクタ技術について解説していただく。また、光ファイバ技術については、マルチモード光ファイバだが高速な信号が通るOM5の技術についてもご紹介いただく予定だ。Oliviero氏は海外の方なので、今回はビデオ講演となる。会場でのご質問は、後にOliviero氏から回答を頂く予定だ」と話している。

●データセンタを支える光コンポーネント技術
富士通オプティカルコンポーネンツ(株)
ビジネス戦略統括部 マーケティング部
シニアプロエンジニア (シニアマーケットリサーチャー)
磯野 秀樹

 データセンタ内では様々な電気・光インターフェースが使用されている。このセッションでは、特に光トランシーバの最新技術動向・課題について標準化の切り口から紹介される。データセンタの今後の動向とともに、最近注目されているDCI(データセンタ間接続)向け光トランシーバの動向についても触れるという。
 登壇する磯野氏は、光トランシーバや光デバイスの国際標準の第一人者。多くの受賞歴を持ち、業界のオピニオンリーダとして活躍している。過去の専門技術セミナーでも登壇し、好評を博している人物だ。清水氏は「このセッションでは標準化の動向を中心として、データセンタ内、データセンタ間の光トランシーバ、光デバイスの技術トレンドを解説していただく」と話す。
 データセンタで使われている光デバイス、光トランシーバの標準化団体は複数ある。更にはMSAも多々ある。これは冒頭の清水氏の見解通り、データセンタ市場の特殊性であり課題と言える。選択肢の多さというメリットは、どこに注力すべきかというリスクでもあるからだ。清水氏は「どういう技術がどこで使われるのが良いのか、どのタイミングで何を使うのが良いのかについての判断は難しい。磯野様にその結論を聞くということではなく、業界の動向をよくご存じの磯野様の解説から、それぞれの立場でご判断いただければと考えている。今回は400G、800G、そして1.6Tまで解説していただく予定だ」と話す。

(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

特集目次

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光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー
【FOE-K】光通信技術展 基調講演
【FOE-1】光トランシーバの最新技術動向
【FOE-2】最先端 光材料技術の動向と今後の展望
【FOE-3】Beyond 5G時代を目指し、光部品・集積技術を紐解く!
【FOE-4】次世代高速光通信技術
【FOE-5】巨大化するデータセンタを支える光技術
【FOE-6】【基礎講座】初日に学ぶ 光ファイバ・光デバイス、光測定の基礎
【FOE-7】5G/Beyond5Gに向けた光通信技術の最新動向と取組み
【FOE-8】自動運転を支える光応用技術
【FOE-9】 5G/Beyond5Gとそのエッジコンピューティングに関する最新市場動向
【FOE-10】 世界をつなぐ最先端ネットワーク 海底ケーブルの最新動向

「通信・放送Week 2020」主催者インタビュー