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「通信・放送Week 2020」開催直前 主催者インタビュー

INTERVIEW 有料

~感染症対策を徹底したビジネスマッチングイベント~

 今年で20回目の開催を迎える、アジア最大級の光通信技術の専門展「光通信技術展」。同展をベースに、無線技術や映像技術まで規模を拡大した「通信・放送Week2020」が、10月28日~30日の日程で幕張メッセにて開催される。
 昨年の「通信・放送Week2019」では、単独開催ながら来場者数は33,571人と、前回比で35%増を記録。そして今年は、データセンタやエッジコンピューティング、AI、量子コンピュータといった、通信や放送と関連の深い分野の展示会が併設されるので、そのシナジー効果も期待できる。だが、成長路線の「通信・放送Week」もコロナ禍の影響は避けられない。出展社、来場者には不安もあるだろう。

 主催のリードジャパンは、コロナ禍によって国内外の各種イベントがオンラインへと移行している中、いち早くリアル展示会を再開し、会期後の感染者報告ゼロという成果を出している。例えば9月上旬に東京ビッグサイトで開催された「第15回ライフスタイルWeek」「第12回JapanマーケティングWeek」では、32,066人という多くの来場者数を記録しながらも、感染者報告はゼロだ。
 通信・放送Week事務局は「テレワーク等で通信インフラの重要性が広く認識される中で、通信インフラを整えるために生まれた光通信技術展や5G/IoT通信展は再注目されている。そうした背景も有り、今年の事前登録者数は10月上旬の時点で前回の7割に達している。会期まで更に増えるだろう。コロナ禍においてもリアル展示会のニーズは高いのだと実感している」と話す。

 コロナ禍における「通信・放送Week」はどのような形で開催されるのか。同社のイベント後における感染者報告ゼロという成果は、どのようにして実現しているのか。会社の方針等で来場できないビジネスパーソンには、どのように対応するのか。今回のインタビューでは、「通信・放送Week」事務局から、展示会の概要や、感染対策、リアル展示会の需要について話を聞いた。

(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

左:通信・放送Week事務局長の土屋勝利氏
右:通信・放送Week事務局の近藤直暉氏

OPTCOM:コロナ禍における「通信・放送Week2020」はどのような形で開催されるのでしょうか。
土屋事務局長:
様々な展示会がオンラインのみの開催になってしまっている中、“経済を何とか動かさないと”という声が有ります。そこで「通信・放送Week2020」は、予定通りリアルな展示会として開催します。出展社数は300社の予定で、各ブースではマスクやアクリル板による感染症対策を施します。
 弊社では8月中旬から毎週のようにリアルで展示会を開催しており、一言で言うと展示会は復活しています。リアルでの開催に踏み切って感じたことは、サプライヤと会えなくなった方々が課題解決のために来場し、商談しているということです。これは通信分野、放送分野も同じ状況ですので、「通信・放送Week2020」でも来場のお問い合わせ、セミナーのお申し込み、出展社とのアポイントなどが増えている状況です。
近藤氏:今回の新たな試みとしては、「ケーブルテレビ技術ゾーン」と「ローカル5Gゾーン」の新設があります。こうした分野の商材はこれまでも「通信・放送Week」で展示されていましたので、それをゾーニングした形です。それぞれ個別のゾーンですが、ケーブルテレビとローカル5Gの関連は深く、今年のセミナーで扱う分野の一つにもなっています。

「通信・放送Week2020」は4つの専門展で構成されており、「光通信技術展」「5G/IoT通信展」「映像伝送EXPO」「4K・8K映像技術展」において各分野の最新情報が展示される。今年は「Japan IT Week 秋」や「AI ・人工知能EXPO 秋」等との同時開催となる。

――併設展とのシナジー効果をどのように期待していますか。
近藤氏:
ITの展示会である「Japan IT Week 秋」と、AIの展示会である「AI ・人工知能EXPO 秋」等と合計した出展社数は、1,500社と非常に大規模なイベントとなります。5G、IoT、AI、量子コンピューティングといった注目分野の最先端技術が集まるリアルな展示会ということで、事前登録者数が非常に増えている状況です。親和性の高い展示会としては、「Japan IT Week 秋」の中に「データセンター&ストレージEXPO」があり、データセンタを扱う同展と光通信を扱う「光通信技術展」を同時開催したいという考えは以前からありました。今回それが実現したことで、以前から多かったデータセンタ事業者の来場者数が更に増えると見込んでいます。

――コロナ禍におけるリアル展示会に対し、来場者や出展社からはどのような声があるのでしょうか。
近藤氏:
出展社からは、コロナ過で本当に展示会を実施するのかというお問い合わせがありました。そうした不安の中でも、今年の上半期は多くの方々が満足な営業活動をできなかったこともあり、本展で実機を展示したいという声は非常に多いです。弊社主催ではない、オンラインのみの展示会に出展された企業のお話を聞くと、既存の顧客への対応はできても、新規顧客の開拓は難しいとのことでした。
 来場者からは、これまでは一年に一回、展示会で製品の比較検討をしていたのが、全てオンラインになって製品の導入に結びつかなくなったという声があります。やはり、日本にはオンライン展示会という習慣が無かったので、出展社のホームページで資料をダウンロードできるといった、ただ見せるだけという風になってしまい、そこから商談というのは難しいようです。

――御社が主催するリアル展示会で会期後の感染者報告ゼロを実現しているのは、どういった取り組みによる成果なのでしょうか。
土屋事務局長:
感染症対策の徹底ということで、1つは参加者全員のマスク着用の徹底があります。「通信・放送Week」も、マスクを着用していなければ会場に入ることはできません。会場内でマスクを外された場合は、着用を要請し、同意いただけなかった場合は退場となります。ただ形だけの感染症対策ではなく、本当にそれを徹底するという体制を、全てにおいて実施します。
 入場時には体温チェックもします。こうした対策により受付が密にならないよう、今回は幕張メッセの全てのホールに受付を設置し、分散入場を促します。各受付もライン数を増やします。8月から開催している我々の展示会でもこうした対策を実施しましたので、受付の混雑はほとんどありませんでした。10人弱の列ができることもありましたが、ソーシャルディスタンスは維持できました。
 各セミナーもソーシャルディスタンスを維持した形で実施します。例えば、聴講者1,000人の講演であれば2,000人規模の会場を準備します。「通信・放送Week」のセミナーは、展示会場内に特設会場を用意します。幕張メッセは広いので、他の方との距離を保ちながら聴講していただけます。

――例年の来場者の中には、会社の方針等で今回は来場できない方もいらっしゃると思います。そういった方々へのフォローはされるのでしょうか。
土屋事務局長:
リアルな展示会も、これからはオンラインを併用して開催して欲しいという声を頂いておりますので、今回はオンライン商談サービスもご用意しました。これは、既に開催した弊社の展示会でも導入したサービスであり、感染症対策で来場できない方はもちろん、遠方なので来場できない方との商談にも繋がっています。つまり、従来からの来場者に、遠方の来場者が加わったことになります。
 システムとしては、まず、バーチャルブースで製品情報を見ることができます。ここで単なる情報公開では意味がないので、出展社と来場者がタイムリーにコミュニケーションをとれるよう、チャットとビデオ通話の両方をご用意します。バーチャルブースに人が訪問すると出展社に表示されますので、リアルの展示会でブースを訪問した時と同じように交流を始めることができるという仕組みです。

――最後に、来場者へのメッセージをお願いします。
土屋事務局長:
オンライン商談サービスには、会期前にアポイントを設定できる機能があります。これは、展示会場でのアポイント、オンラインでのアポイントの両方を選ぶことができます。出展社側は複数の担当者を登録できますので、どの担当者とアポイントを取るかというところまで選択ができます。このアポイント設定の段階で、どういった製品を探しているのか、どういった課題を抱えているのかといったことも伝えることができますので、出展社側も事前に準備をすることができます。このアポイント設定を活用していただき、会期中は効率的に時間を使っていただければと思います。

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