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Edgioの経営戦略と、今月リリース予定のエッジ対応Applications Platform【1:Edgioの現状と、エッジ利用によるビジネス価値の創造】

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 エッジオ・ジャパン(旧ライムライト・ネットワークス・ジャパン)は4月5日、本社EdgioのCEOであるBob Lyons氏の来日に伴い、経営戦略や今月リリース予定の新製品「Edgio Applications Platform v7」に関する記者発表会を実施した。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

エッジ利用により、企業顧客のビジネス価値を創造

Edgio
CEO
Bob Lyons氏

 Edgioは、グローバル規模のエッジ対応ソリューションプロバイダ。同社の完全に統合されたCDNのネットワークとエンド・ツー・エンドのエッジサービスにより、企業はコンテンツをより迅速かつ安全に配信することができ、全体的な収益やビジネス価値を高めることができる。
 Lyons氏は「我々の強みはパワフルなネットワーク、そしてそのオーケストレーションやワークフローのツールをセキュリティ含め提供していることだ。また、様々な分野の専門家集団としてお客様をサポートすることで、お客様の売上の増大、コストの低減、カスタマーエクスペリエンス向上に貢献している」と話す。

 Edgioは、社会におけるデジタル化、分散化、クラウド化が進み様々なメリットを享受できる一方で、こうした変化に伴う様々な課題に着目しているという。
 Lyons氏は「悪意を持ったサイバー不正を行う者たちが、ウェブサイトやアプリケーションなどを、分散化した環境だからこそ従来よりも大きな攻撃対象として捉えて、次々と狙うという事態も発生している。また、分散化により、開発者にとって生産性を向上させながら開発に取り組むことが難しい状況になってきた」としており、「アプリケーション自体も、それほどスピードアップが実現されていない。例えば昨年にGoogleが調べたところ、75%もの企業がウェブサイトは十分なスピード感を実現できていないと回答した。これは、各企業においてユーザエクスペリエンスが良くないということになる」と指摘している。
 Edgioはこうした課題の解決のため、エッジを活用したコンテンツやアプリのスピード向上、セキュリティの強化、そして開発者の生産性向上に注力している。

エッジ有効化の進化。Lyons氏は「エッジには、グローバルレベルでのスケール、高速、セキュリティ内蔵、そしてインテリジェンスということで特に機械学習が使えることも求められている。すなわち、エッジのプラットフォーム上でこれらのソリューションを実行できる必要がある」と話す。

Edgioのビジネス拡大

Limelight からビジネスを拡大したEdgioの構成要素。

 Edgioの前身である Limelight Networksは、20年の長きにわたり高パフォーマンスかつスケールの大きなネットワークを提供してきた企業だ。Lyons氏は2021年に同社CEOとして就任し、同年にLayer0を買収したことにより、ソフトウェア アーキテクチャ、機械学習機能、セキュリティを強化し、エッジでのコンテンツ配信サービスとAppOpsのプロバイダとしての進化を遂げた。
 Lyons氏は「私の目には、これでは不十分だった。そこで2022年に、YahooやVerizon mediaにも関連していたEdgecastを買収した。これにより、我々はより堅牢なセキュリティ機能を手に入れるとともに、ネットワークのスケールも二倍にすることができた」としており、「会社のビジネス全体として新しい内容が加わったということで、社名を Limelight NetworksからEdgioに変更した。これにより、エッジ有効化のソリューションをグローバルでお届けすることができる。そして、ApplicationsとMediaという二つのカテゴリの製品を持つに至り、社員数は約1,000名、顧客は5,000社となった」と説明している。

Edgioのグローバル展開。Lyons氏は「我々がスタートしたのがネットワークであり、これが全てのビジネスの土台になっている。そのネットワークの中身は、キャパシティとしては275Tbps、そして毎秒の平均トラフィックのリクエスト数は2,000万を誇っている」と話す。

EdgioのApplicationsとMediaのポートフォリオ。Lyons氏は「重要なのは、お客様が我々のポートフォリオを使ったことによる成果を手に入れることができるのかだ。その点については、例えば月間のストリーミングコンテンツの時間は180億分ある。また、3万件以上のライブイベントを管理し、広告配信も500億件に上っている。セキュリティ面では、1日当たり2万5千ものDDoS攻撃をブロックしている。そして、我々のsites(画像内、右の製品)ならば、開発者の方々が自分の使いたい作業環境において必要な機能をすぐその場で使っていただけるので、高い生産性で開発をしていただける。こうした様々なことをエッジで実現しながら、1秒未満という本当に瞬きレベルでのWebサイト高速化も実現している」と説明している。

アジア太平洋市場での取り組み

アジア太平洋市場におけるEdgioの状況。

 Lyons氏は「我々は、アジア太平洋地域に対しても非常に積極的に事業を進めており、グローバルの総売り上げの約20%がアジア太平洋地域からの収益となっている。その中で、日本における3年間CAGRは20%の伸びを遂げており非常に順調だ。また、アジア太平洋地域のネットワークの容量の年増加率は266%増であり、2023年はさらに114%のキャパシティ増加を予定している」と話す。

日本におけるチャネル成長への取り組み

 Edgioのソリューション展開に協力するパートナー企業として、日本企業ではNTTドコモ、Uniadex、そしてグローバルではMicrosoft Azure、AWS、Verizonが名を連ねている。
 また、NTTドコモはパートナーであると同時に主要顧客でもあり、Edgio製品のCDNソフトウェアとEdge Cacheハードウェアを自社のネットワーク内に導入することで、ストリーミングビデオ配信の強化等を行っている。
 Lyons氏は「日本の主要顧客としては、他にもRakuten Viki様、Symantec様、ASUS様、AKIRA様、そしてパートナーでもあるVerizonがいらっしゃる。事例としては、ファッション小売業であるAKIRA様が、eコマースで我々のプラットフォームを導入したことで、購入者のブラウザ閲覧速度の高速化やセキュリティ強化を実現し、顧客の平均単価の向上という成果を出して非常に業績を伸ばしたという成功例がある」と説明している。

レポート目次

1:Edgioの現状と、エッジ利用によるビジネス価値の創造

2:新製品「Edgio Applications Platform v7」の特長

3:日本市場の事業戦略

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