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工場のシステムやプラントの稼働状態や製品品質をAI活用で監視・分析【NEC、シーメンス】

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監視・分析ソリューションのイメージ

 NECは3月9日、シーメンスとIoT領域において協業し、シーメンスのIoT基盤「MindSphere」とNECのAI技術「インバリアント分析技術」(※1)を組み合わせた監視・分析ソリューションの提供を開始した。

※1「インバリアント分析技術」:大規模・複雑なシステムに設置された多数のセンサから大量の時系列データを収集・分析、通常時に存在するセンサ間の不変的な関係性(インバリアント)をモデル化し、予測されるデータの変化(いつもの状態)と実際のデータを比較することで、異常(いつもと違う状態)を予兆段階で検出するAI技術。

 近年、デジタル化の加速やIoTの普及に伴い、工場のシステムや製造ライン、プラントなど様々な場所に設置された多数のセンサから収集したデータを可視化・分析することで、安全で効率的なシステム稼働の実現や製品品質の維持が望まれている。
 しかし、これらのデータの活用にはデータ収集・蓄積から監視・分析までの一連の流れをシステム化する必要があり、その構築には、IoTシステムに関する知識やデータ分析での着眼点など独自のノウハウなどが求められ、ユーザ独自での構築は困難だ。
 特に製造業では、これらの課題に加えて工場ごとまたは属人的なノウハウをもとに工程が進められることも多いため、熟練者の退職や人手不足によるノウハウ継承の断絶が課題とされている。

 こうした中、NECとシーメンスはセンサーデータの可視化や分析を実現する製品を強化してきた。
 NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つであるインバリアント分析技術は、大規模・複雑なシステムに設置された多数のセンサから収集したデータを基にシステムの振る舞いを自動的に学習しモデル化することで熟練者のノウハウまでも可視化する。またこのモデルを利用し監視することで異常予兆を検知し、安全で効率的なシステム稼働を可能にする。現在まで国内外で約100システムの導入実績があるという。
シーメンスのクラウドベースのオープンIoTオペレーティングシステムMindSphereは、プラント、システム、そして産業機械などを繋げ、センサから収集される膨大なデータの活用と高度な分析を可能にする。MindSphereは産業ソリューションとデジタルサービスを提供するワールドクラスのパートナーエコシステム展開し、パートナーと協力してアプリケーションやサービスのさらなる充実を図っているという。
 NECは「今回、両社が協業することにより、データ収集・蓄積から監視・分析までを、ユーザのニーズに応じたカスタマイズを含めてトータルで提供することができる。具体的には、シーメンスのMindSphereで現場のセンサデータを収集・蓄積し、NECのインバリアント分析技術で監視・分析までを自動で行う。まずは製造業向けにクラウドソリューションとして提供を開始し、工場のシステムや製造ライン、プラントなどの設備や、それらの設備を用いて生産される製品への適用を行う。これにより、膨大なセンサデータを容易に可視化・分析できるようになり、生産性向上や運用リスク削減、製品品質の維持、ノウハウ継承に貢献する」としている。
 両社は、このサービスを国内外の製造業のユーザを中心に販売することを見込んでおり、その後、他の業種のユーザへの拡充を図るという。

 NEC 執行役員の藤川修氏は「NECはシーメンスと協業し、インバリアント分析技術の活用を通して世界の製造業の生産性向上に貢献できることを光栄に思う。両社の強みを活かしたソリューションをグローバルに提供することにより、企業のデジタル化を加速する。NECはAI・IoTをはじめとした先進技術を活用し、今後も製造業のみならず、リアルとデジタルを融合して多様化するニーズに対応していく」とコメントを出している。
 シーメンス Siemens Digital Industries Software カントリーマネージャーの堀田邦彦氏は「シーメンスは、産業向けIoT活用によるお客様のデジタル変革を支援するためのMindSphereのパートナーシップに取り組んでいる。この度NECと協業することで、お客様にデジタル変革の成果を、より一層上げていただけるものと確信している」とコメントを出している。

監視・分析画面のイメージ

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