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シスコ、NVIDIA とセキュアな AI インフラストラクチャを提供開始

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Cisco Secure AI Factory with NVIDIA により、AI インフラストラクチャとセキュリティの分野に新たな境地を開拓し、企業のAI導入を加速し、簡素化を支援

 シスコは3月18日、セキュリティを中核とする AI Factoryアーキテクチャを NVIDIA と共同で発表した。
(本抄訳は、3月25日に日本法人より提供)

 NVIDIAとの本連携は、3月3日に発表した提携拡大を基盤とし、両社は検証済みのリファレンスアーキテクチャの提供開始に至るまで迅速に取り組んできた。両社は共同で Cisco Secure AI Factory with NVIDIA を開発し、企業が AI インフラストラクチャをあらゆる規模で展開、管理、保護できるよう、これまでより大幅に簡素化する。

 シスコの会長 兼 CEO であるチャック・ロビンス(Chuck Robbins)氏は「AIは企業にとって画期的なチャンスをもたらすだろう。その実現には、ネットワーキングとセキュリティの統合が欠かせない。シスコとNVIDIAの信頼性の高い革新的なソリューションにより、お客様はAIの潜在能力をシンプルかつ安全に、最大限活用することが可能となる」とコメントを出している。

 NVIDIAの創業者 兼 CEO であるJensen Huang氏は「AI Factoryはあらゆる業界に変革をもたらしつつ、データ、アプリケーション、インフラストラクチャを保護するためにはセキュリティをすべてのレイヤに組み込む必要がある。NVIDIAとシスコは協力して、企業が最も重要な資産を守りながら、安心してAIを拡張していくために必要な基盤となる、セキュアなAIの青写真を作成する」とコメントを出している。

 AI アプリケーションの開発と提供には、高性能で拡張性のあるインフラストラクチャと AI ソフトウェアのツールチェーンが必要だ。このインフラストラクチャとAI ソフトウェアを保護するには、AI スタックのすべてのレイヤにセキュリティを組み込み、基盤となるインフラストラクチャが変化するのに応じて自動的に拡張および適応する、新たなアーキテクチャが必要となる。シスコとNVIDIAの連携による、NVIDIA Spectrum-X Ethernet ネットワーキング プラットフォームは、Cisco Secure AI Factory with NVIDIAの基盤となる。シスコは、AI ワークロードを保護するCisco Hypershieldや、AI モデルおよびアプリケーションの開発、展開、活用を保護するCisco AI Defenseなどのセキュリティソリューションを統合している。
 シスコは「当社とNVIDIAは協力し、シンプルな運用やセキュリティを犠牲にすることなく、お客様の特定のAI ニーズに合わせたインフラストラクチャを柔軟に設計できるようにする」としている。

セキュアなAI Factoryを構築
 AI Factory(AI ワークロードを処理するために特別に設計されたデータセンタ)は、よりモジュール化され、拡張性が高く、俊敏のある設計が求められるが、企業は計算処理能力以外の要素にも目を向ける必要がある。AI Factoryは新しい複雑なセキュリティ上の課題に対処しなければならない。シスコが最近公開した調査レポート「Cisco State of AI Security(AI セキュリティの現状)」では、AI特有の攻撃ベクトルを数十種類、 AI関連の規制を700以上分析し、急速に進化するAI セキュリティの状況における主要な動向を明らかにしている。AI インフラストラクチャとセキュリティの課題に同時に戦略的に対処する組織は、より俊敏に動き、より迅速に拡張し、より迅速にビジネス価値を引き出すことが可能だ。

 Cisco Secure AI Factory with NVIDIA は、両社が持つ独自の能力を基盤として、AI ネットワーキングと、提供予定の共同アーキテクチャを活用するフルスタックのテクノロジーの柔軟な選択肢を提供する。このパートナーシップにより、シスコ、NVIDIA、およびエコシステムパートナーのテクノロジーが、エンタープライズのお客様向けのセキュアなAI Factoryアーキテクチャに組み込まれる。

コンピュート:アクセラレーテッド コンピューティング用のNVIDIA HGX および NVIDIA MGX をベースにした Cisco UCS AI サーバ

ネットワーキング:Silicon One および NVIDIA Spectrum-X Ethernet ネットワーキングを搭載した、Cisco Nexus Hyperfabric AI および Nexus ネットワーキングソリューション

ストレージ:認定パートナーである Pure Storage、日立ヴァンタラ、NetApp、 VAST Data の高性能ストレージ

ソフトウェア:NVIDIA AI Enterprise ソフトウェア プラットフォームにより、本番環境レベルのエージェント型 AI ワークロードの開発と展開を簡素化

 シスコは「Cisco Secure AI Factory with NVIDIA には、すべてのレイヤにセキュリティが組み込まれている」と説明している。

インフラストラクチャを保護:Cisco Hybrid Mesh Firewall は、ネットワークスイッチ、従来のファイアウォール、ワークロードエージェントなど、複数の実装ポイントにわたって統一されたセキュリティ管理と一貫したポリシーを提供する。この統合アプローチにより、ディープ パケット インスペクションから広範なインフラストラクチャのカバーに至るまで、攻撃者の検出、ブロック、封じ込めまで、全面的に一貫したセキュリティが確保される。Cisco Hypershield(Hybrid Mesh Firewall の一部)は、今後、NVIDIA BlueField-3 DPUとの統合により、ゼロトラストセキュリティの適用をすべてのAI ノードにまで拡大し、広範に適用されるようになる。

ワークロードを保護:Cisco Hypershieldは、パッチを適用することなく、単一の管理インターフェイスから、攻撃者のラテラルムーブメントを防止し、脆弱性を事前に緩和する。処理実行、ファイルアクセス、ネットワークアクティビティを監視および制御することで、HypershieldはAI ワークロードにおける可視性を高め、極めて正確なランタイム適用を実現する。今後の機能強化により、AI に特化した仮想マシンやコンテナ内のワークロードの脅威をリアルタイムで検出するNVIDIA BlueField-3のDOCA AppShieldとの統合により、ワークロードの保護がさらに強化される予定だ。

AI アプリケーションを保護:Cisco AI Defenseは、セキュリティ部門や AI 部門の担当者が、開発ライフサイクル全体を通して、AI アプリケーションを安全上のリスク(オフポリシー、有害な行動など)や、セキュリティ上のリスク(プロンプトインジェクション、データプライバシーなど)から保護できるように支援する包括的なツールだ。AI Defenseは既存の CI/CD ワークフローに組み込まれ、自動化された脆弱性テストと、数に制限なくあらゆるモデルやアプリケーションに共通のランタイムセキュリティレイヤを提供する。さらに、AI Defenseは、NIST、MITRE ATLAS、OWASP LLM Top 10など、AI セキュリティ基準に単一の統合ソリューションで対応できるよう支援する。今後の機能強化には、AI セキュリティのワークフローを簡素化するNVIDIA AI Enterpriseとの統合が含まれる。

 シスコは「当社とNVIDIAはそれぞれ、お客様のAI インフラストラクチャのニーズに対する独自の見解を持ち、両社のインサイトを組み合わせることで、実証済みのリファレンスアーキテクチャと合わせて柔軟な導入モデルを提供することが可能となる。Secure AI Factoryは、AI導入のあらゆる段階でお客様を支援し、全体にセキュリティを組み込んだ、拡張性と高性能を備えた AI インフラストラクチャをエンタープライズのお客様に提供する」としている。

 Cisco Secure AI Factory with NVIDIAは、以下のような柔軟な導入の選択肢を提供する。

すぐに導入可能:Cisco Nexus Hyperfabric AIをシスコのセキュリティポートフォリオ、NVIDIAのテクノロジーと併用することで、設計から導入、継続的な監視まで、セキュアな AI Factoryのライフサイクルを自動化および簡素化する垂直統合型のAI ソリューションを導入できる。

自社専用のソリューションを構築:シスコ、NVIDIA、および両社のストレージエコシステムパートナーによるカスタマイズ可能なモジュール型コンポーネントを搭載しており、現在のインフラストラクチャを組み込み、独自の環境に的確に適合するソリューションを構築できる。

 Moor Insights & Strategyの創業者 兼 CEOで首席アナリストであるPatrick Moorhead氏は「今日の変化の速い市場において、企業はテクノロジーだけではなく、最も喫緊の課題に対応できるエンド・ツー・エンドのソリューションを必要としている。シスコとNVIDIA がそれぞれの強みを組み合わせて統合ソリューションを提供することで、イノベーションを推進し、導入を簡素化し、運用を合理化できると確信している。AIに対応することは簡単ではないが、2社の組み合わせは、AI インフラストラクチャの活路になるかもしれない。AI インフラストラクチャの導入と管理を容易にすることで、企業はデジタルトランスフォーメーションを推進し、戦略目標をより自信を持って達成できるようになるだろう」とコメントを出している。

シスコと NVIDIA の検証済みのユニファイドアーキテクチャの取り組み
 シスコは「AI インフラストラクチャに対する今日の需要に対応するためには、迅速な対応が非常に重要だ。シスコと NVIDIA は、3月に発表した連携の一環として進展を遂げた。シスコは、NVIDIA Enterprise Reference Architecture for HGX H200およびSpectrum-X をベースに、検証済みのCisco Nexus Hyperfabric AIまたはCisco Nexus 9000シリーズスイッチの展開の選択肢を提供する新たなリファレンスアーキテクチャを開発した」と説明している。

提供時期
 Cisco Secure AI Factory with NVIDIA アーキテクチャに基づくソリューションは2025年12月末までに提供開始する予定だ。このアーキテクチャに含まれる個々のテクノロジーコンポーネントの多くは、現在すでに提供されている。

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