AxyomCoreが、高度なエンタープライズ・5GスモールセルをMWC Barcelonaで展示を予定
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AxyomCoreは2月23日(マサチューセッツ州アンドーバー)、MWC Barcelona(3月2日~5日:バルセロナ)において、主力製品であるエンタープライズ・スモールセルを展示すると発表した。
同社は「このユニットは強力なネットワークエクステンダーとして機能し、市場をリードするカバレッジと最大の同時ユーザ容量を提供する」としている。
AxyomCoreエンタープライズ・スモールセルは4Gと5Gの両方に対応し、最大31,000平方フィート(約2,800平方メートル)のカバレッジを提供し、最大200人の同時ユーザを処理できる。スループットはダウンリンク970Mbps、アップリンク240Mbpsとなる。AxyomCoreは「比較対象として、市場に出回っているほとんどのスモールセルは、その約半分の設置面積しかカバーせず、サポートするユーザ数も約60%少なくなっている。AxyomCoreは、より少ない無線ユニットでより広いスペースをカバーできるため、設置の複雑さとコストを削減する」と説明している。
AxyomCoreのCEOであるPete Koat氏は「当社のエンタープライズ・スモールセルは、厳しい屋内環境において実証済みであり、主要な性能パラメータにおいて競合他社を常に凌駕している」とし、「当社のセルは、消費電力を抑えながら、設置面積、容量、スループットにおいて他社をリードしている。そのため、小売店、病院、スポーツ会場、倉庫など、あらゆるエンタープライズ環境におけるネットワーク密度の向上に最適な選択肢となる」とコメントを出している。
米国とヨーロッパに数万個のセルを展開するAxyomCoreは、病院、小売フランチャイズ、ミッションクリティカルな拠点、そして世界的に有名なテニストーナメントを含む大規模イベントに信頼性の高い接続を提供している。世界的に有名なテニストーナメントでは、Orangeとの提携により、同社のセルがシームレスなライブブロードキャスト伝送をサポートした。
スモールセルは、ブロードバンドを介して通信事業者のコアネットワークに接続することで、専用のカバレッジレイヤーを構築する、小型で低消費電力の基地局だ。無線をユーザの近くに配置することで、マクロネットワークと比較して優れた容量、速度、信頼性を実現する。AxyomCoreエンタープライズ・スモールセルのネットワークエクステンダー機能は、信号リピーターとは異なり、弱い信号を増幅するのではなく、独自の高品質なセルラー信号を生成する。AxyomCoreは「これは特に5Gにおいて重要だ。5Gでは、中帯域および高帯域の信号が壁や建材によって容易に遮断されるため、安定したカバレッジを実現するために屋内スモールセルの設置が不可欠だ」と説明している。
AxyomCoreエンタープライズ・スモールセルは、コンパクトで軽量な無線ネットワークエクステンダーであり、セルラーカバレッジの提供が困難な複雑な屋内環境においても信頼性の高いパフォーマンスを提供することが実証されている。
編集部備考
■AxyomCoreエンタープライズ・スモールセルは、最新の高性能スモールセルという枠を超えた意味を持つ可能性がある。同社がリリース内で強調した、「弱い信号を増幅するリピーターではなく、独自の高品質なセルラー信号を生成する」という点は、ユーザ企業や事業者・SIerの経営的視点から魅力的に感じるからだ。
こうした「生成型」スモールセルの位置づけは、5G市場全体の中でまだ拡大途上だ。だが、産業用途5Gでの需要次第では、拡大が促進される可能性も有る。
従来の屋内対策は、マクロセルの電波が届きにくい場所に対し、信号を増幅することで対応してきた。これは“カバレッジ問題”への対処となる。しかし5Gの産業利用が本格化する局面では、課題は単なるカバレッジではなく「容量」と「品質」に移行してくる。
工場、病院、倉庫、スタジアム、小売店舗。これらの空間では、同時接続端末数が増え、動画・センシング・制御データが混在する。トラフィックは不均一で、時間帯やイベントによって急変する。
この環境では、信号を“増幅”するだけでは不十分な可能性が有る。増幅は品質を改善するが、容量は増えないからだ。そこで、空間内に新たな無線リソースを追加すること、すなわち「セルを生成する」という「生成型」スモールセルの需要が生まれる。
5Gの本質は「高速化」だけではなく、空間あたりの周波数利用効率を高める「密度化」もある。特にミッドバンドやミリ波では、伝搬距離が短く、屋内環境では遮蔽の影響が大きい。その結果、ネットワークは必然的に分散化・小型化し、多数の無線ノードによって構成される。
これは研究機関や標準化団体が一貫して描いてきた将来像でもある。高密度化、分散化、エッジ化。こうしたキーワードはすでに業界の共通認識となっている。
AxyomCoreエンタープライズ・スモールセルのような「生成型」スモールセルの方向性は、高密度化を効率的に実現する試みの一つと位置づけられる。
ここで重要なのは、ユーザ企業や事業者・SIerの経営判断の軸だ。密度化は理論的には有効だが、現実には以下の課題を伴う。
・設置台数の増加
・電力消費の増大
・OPEXの上昇
・設置スペースの制約
・運用複雑性の増大
AxyomCoreが「低消費電力」「設置面積」「容量」を同時に強調するのは、この現実を踏まえているからだろう。
5Gの用途が様々な産業に広がっているというグローバルの潮流を考えると、経営層にとっての問いは明確となる。「高密度化を、コスト増大ではなく、競争優位に転換できるか」だ。産業用途における5Gは、従来の通信インフラの延長ではなく、生産性向上や新サービス創出の基盤となる。ネットワーク密度は、その潜在価値を左右する要素だ。
・リピーターは“補完装置”
・セル生成型は“構成要素”
この違いは、ネットワークを受動的に延命するのか、能動的に再設計するのかという戦略の違いに直結する。
5Gの産業活用が進む現在、スモールセル無線機の選択肢が増えること自体が市場にとって健全だ。「技術的多様性」「コスト競争」「アーキテクチャの柔軟性」、これらはすべて、導入判断を行う企業側にとって有利に働く。従来のパブリック5G市場ではスモールセル無線機の製品開発・新モデル投入は活発であり、AI最適化、エネルギー効率、クラウドネイティブ対応など次世代要素が急速に取り入れられている状況だ。こうした機能の高度化は、今後の成長領域である産業用5G向け高度モデルにも適用されていくだろう。
そして、AxyomCoreエンタープライズ・スモールセルで強調された「独自の高品質なセルラー信号を生成する」という特長は、5Gが多種多様な産業に広まる過渡期において求められる、スモールセル無線機の「増幅」から「生成」へのパラダイム転換を先取りする一例と見ることもできる。
密度化を前提としたネットワーク設計を、コストやエネルギー効率を含め、いかに持続可能な形で実装できるか。「生成型」スモールセルは、そうした設備投資の最適化に寄与する選択肢となるだろう。




