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Intracom Telecomが、15Gbps UltraLink-GX80 Advanced E-bandソリューションを発表

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 Intracom Telecomは2月18日(アトランタ)、米国でAdvanced E-Band無線プラットフォーム「UltraLink-GX80」の提供開始を発表した。

 同社は「この無線は、片方向最大15Gbpsのスループットを実現し、増大する無線伝送容量の需要に対応する」と説明している。

 FCC規制の71~76GHzおよび81~86GHzのスペクトル帯域で動作するUltraLink-GX80 Advancedは、単一の2000MHzチャネルで最大15Gbpsの全二重スループットを提供する。このプラットフォームは高いスペクトル効率と強化されたシステムゲインで動作し、5Gバックホール、フロントホール、エンタープライズ接続、光ファイバ延長の導入において、より長く安定したE-Bandリンクを実現する。

 このソリューションは、単独で導入することも、低周波数のマイクロ波無線(5~23GHz)と組み合わせて屋外設置型のデュアルバンド構成で導入することもでき、超大容量を維持しながらリンクの可用性と範囲を拡大する。完全屋外設置により、サービスプロバイダは機器、キャビネットスペース、電力コストを最適化できる。

 UltraLink-GX80 Advancedは、高度なキャリア イーサネット ネットワークをサポートし、ソフトウェア アップグレードによりIP/MPLS機能も利用できる。複数の大容量インターフェースを備え、最新のネットワークインフラにシームレスに統合できるため、ネットワークの複雑さと総所有コストを削減できる。

 Intracom Telecomのワイヤレス製品ライン管理ディレクターであるJohn Tenidis氏は「UltraLink-GX80 Advancedを米国で導入することで、大容量でスペクトル効率の高いワイヤレストランスポート ソリューションの提供に注力する当社の姿勢をさらに強化する。最大15Gbpsの双方向通信と柔軟なデュアルバンド統合により、サービスプロバイダは拡張性に優れ、将来を見据えたネットワークを最大限の効率で構築できる」とコメントを出している。

編集部備考

■5Gの用途拡大が進む中で、ネットワーク設計の焦点はバックホール/フロントホールを支えるシステムの多様化にも広がりつつある。eMBBに加え、FWA、産業向け専用ネットワーク、映像伝送、エッジAI連携など、多様なトラフィックが同時に流れる環境では、従来以上の大容量かつ低遅延な伝送路が不可欠となる。
 日本の事例から、5Gのバックホールは光ファイバというイメージが強いかもしれないが、これは日本の光ファイバ敷設率が以前から高いためだ。グローバルでは光ファイバの導入が困難な地域や、短期間でのサイト展開が求められるケースにおいて、無線は有効な補完手段として多く採用されている。特に都市部の小セル増設や、郊外・準地方エリアでの迅速なエリア展開では、物理インフラに依存しない高容量無線バックホールの価値が再評価されている傾向にある。
 ここで注目されるのがAdvanced E-Bandだ。71–76GHz/81–86GHz帯を活用するE-Bandは、広い帯域幅を活かしたマルチGbps級の通信が可能であり、近年は10Gbpsを超える容量を単一リンクで実現する装置も登場している。従来のマイクロ波帯では逼迫し始めた容量要件に対し、より広帯域を活用できるE-Bandは次の選択肢として浮上しており、今回発表された15Gbps級ソリューションは、その進化を象徴するものと言えるだろう。
 E-Bandの本質的な強みは「光に近い容量をワイヤレスで実装できる」点にある。高周波数帯ゆえ降雨減衰などの課題はあるが、リンク距離を適切に設計すれば都市型バックホール用途には十分適用可能だ。さらに、近年の装置は高次変調対応やシステムゲイン向上、オールアウトドア設計などにより、設置性と運用効率も改善されている。
 海外市場では、5Gバックホールにおけるマイクロ波活用は多く、光と無線のハイブリッド構成が前提となりつつある。E-Bandはその中でも高容量層を担う存在として位置付けられ、都市部の小セル接続や迅速なネットワーク拡張の手段として導入が進んでいる。日本市場においても、かつてCATV事業者向けに25GHz帯無線が広く採用された経緯があるように、「光の代替・補完としての高周波数帯無線」という発想自体は決して新しいものではない。むしろ、トラフィック増大が加速する現在こそ、その高度版であるAdvanced E-Bandの検討価値は高まっている。
さらに視野を広げれば、5Gから5.5G、そして6Gへと進む中で、RANの分散化やエッジコンピューティングとの連携は一層進むと予想される。フロントホールやミッドホール要件が高度化する中で、マルチGbps級の無線伝送基盤を持つことは、中小規模キャリアにとっても将来投資としての意味を持つ。E-Bandは単なる暫定的な代替手段ではなく、将来世代にも耐えうるトランスポート技術として再評価される局面にある。
 そしてもう一つ重要なのが、AI活用時代との接続である。製造業のエッジAI検査や自治体のリアルタイム映像解析など、低遅延かつ大容量を同時に要求する用途が拡大している。このように生成AIやデータ駆動型ビジネスが普及する中で、ネットワークの品質と容量は企業競争力を左右するインフラ要素となりつつある。都市部と地方、光整備済エリアと未整備エリアの間に生じる通信格差は、そのままデジタル活用格差へと直結する。迅速に高容量バックホールを展開できるAdvanced E-Bandは、こうした「5Gデジタル・ディバイド」の緩和策としても意味を持ち得る。
 今回のニュースは新製品の発表というだけでなく、グローバル市場で進むバックホール高度化の潮流の一つと見ることができる。特に中小規模通信キャリアやSIerにとっては、光だけではないバックホール設計の最適化を再考する契機となるだろう。
 5Gの用途が広がるほど、ネットワークの裏側にあるトランスポート基盤の重要性は増していく。Advanced E-Bandは、その裏方を担う存在として、今後の市場において存在感を高めていく可能性がある。光が中心とされてきた日本市場においても、トラフィック増大とネットワークの分散化が進む中で、バックホール設計にAdvanced E-Bandが求められる局面を迎えるかもしれない。その判断をする上で、海外の成功事例は非常に有益だろう。