光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

ECSiteが、VIAVI Solutionsとの高度な自動化統合を発表。ハイパースケールデータセンタの光ファイバテストを加速

期間限定無料公開 有料

期間限定無料公開中

 ECSiteは4月23日(カリフォルニア州サンタクララ)、同社のエンド・ツー・エンド自動化プラットフォームとVIAVI SolutionsのSmartClass Fiber MPOLx光損失テストセットの統合に成功したことを発表した。

 ECSiteは「この強力な連携により、ハイパースケールデータセンタ向けに高度に最適化された顧客固有のワークフローが実現し、大規模なマルチファイバ テストを劇的に加速するとともに、コストのかかる展開エラーを排除する」としている。

 AIドリブン型インフラストラクチャへの需要が急増する中、最新のハイパースケールデータセンタでは、1棟あたり15万箇所以上のリボンスプライスと数百万本の光ファイバ接続が必要となる。MMC16やMMC24といった高ファイバ数トランクの膨大な量と密度は、従来の手動テスト方法を深刻なボトルネックにしている。断片化されたツール、手動によるデータ収集、不適切な参照方法などが、スケジュールの過密化、効率の低下、そして高額な手戻りコストにつながることが少なくない。

 ECSiteのレベル1自動化ワークフローは、この複雑な課題に直接的に対処する。業界初にして最も実績のある専用Tier 1 MPO認証ソリューションであるVIAVI MPOLxとシームレスに統合することで、ECSiteは物理層の展開プロセスを完全にデジタル化する。設計情報はECSiteプラットフォームに直接取り込まれ、モバイルアプリを介して技術者をガイドする自動ワークフローが生成される。VIAVI MPOLxのテスト結果は即座に検証され、集中管理されたクラウド リポジトリにアップロードされるため、リアルタイムの品質監査、異常検知、そして自動化された竣工図書作成が可能になる。
 ECSiteは「この統合ワークフローがもたらす効果は計り知れない」としている。

 34万件を超える光ファイバテストを含む、最近のハイパースケールデータセンタ プロジェクトにおいて、ECSiteとVIAVIの共同ソリューションは以下の成果をもたらす。

エラー率の10分の1削減:自動切り替えとデータロギングにより、手動エラー率が10%からわずか1.0%にまで低下。

大幅なコスト削減:テストおよび再作業コストを43%削減し、投資収益率(ROI)75%、純利益29万2,000ドル以上を実現。

労働効率の向上:熟練したテスト作業員の労働時間を約1,300時間分削減。これにより、現場作業効率が10~30%向上し、バックオフィスでの報告業務生産性が90%向上。

 ECSiteの創業者 兼 CEOであるSubbu Meiyappan氏は「ハイパースケール顧客にとって『初回コンピューティング時間』が究極の指標となる時代において、AIクラウドの物理層は、より高速、高精度、そしてより信頼性の高い構築が求められている」とし、「当社のインテリジェント オートメーション プラットフォームを、VIAVIの業界をリードするMPOLx計測器と統合することで、手動によるレポート作成の問題を解消し、手戻り作業を大幅に削減できる。このパートナーシップにより、請負業者は、かつてないエンド・ツー・エンドのトレーサビリティを備えた高性能な接続性を提供できるようになる」とコメントを出している。

 VIAVIのファイバ&アクセスソリューション担当ヴァイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーであるKevin Oliver氏は「クラウドプロバイダは、急速に規模を拡大している。その結果、高速、高精度、かつ再現性の高いファイバ認証の必要性はかつてないほど高まっている」とし、「ECSiteの革新的な自動化ソフトウェアは、当社のマルチファイバ テストソリューションを完璧に補完する。両社が連携することで、セットアップ時間を短縮し、テストの一貫性を確保し、最新のデータセンタの絶えず変化する接続ニーズに対応できる、技術者にとって使いやすいプラットフォームの提供が可能になった」とコメントを出している。

今後の展望:次世代ファイバテストの統合
 この成功を基盤として、ECSiteはVIAVIが新たにリリースしたData Center Expert(DCX)700シリーズの統合にも取り組むことを発表した。MPOLxの後継機として設計されたDCX 700は、高密度AIデータセンタ向けに構築されており、12、16、24ファイバ構成のネイティブサポートと直感的なワンコード参照機能を提供する。
 ECSiteは「近い将来、DCX 700を機器に依存しないエコシステムに組み込み、顧客が業界をリードする自動化機能と組み合わせた最先端のテストハードウェアのメリットを引き続き享受できるようにする」との方針を示している。

編集部備考

■AI需要の急拡大に伴い、データセンタ施工における人手不足はグローバル規模で深刻化している。とりわけ問題となっているのは、ITエンジニアだけではなく、配線施工や電気、空調(HVAC)、配管といったインフラ構築を担う熟練技能職の不足である。AIインフラの増設ペースに対し、物理的な設備を構築するための「人の手」が追いついていないのが現状だ。
 実際、熟練チームの不足により、施工開始までのリードタイムが数ヶ月単位で遅延するケースも報告されている。さらに、大規模データセンタ(数十MW級)の建設においては、1ヶ月程度の遅延が数百万〜1,000万ドル規模の機会損失につながるとの試算もあり、施工の遅れがそのまま収益機会の逸失に直結する構造が顕在化している。こうした状況のもと、インフラ系技能職の確保は「ボトルネック」であると同時に、いわば争奪戦の様相を呈している。
 加えて、熟練工の高齢化と若手人材の供給不足という構造問題も重なっている。AI時代のデータセンタは高密度化・高電力化が進み、従来以上に高度な施工・運用知識が求められるため、基本的な建設スキルだけでは対応できないケースも増えている。結果として、採用難易度はさらに高まり、供給制約が長期化するリスクを内包している。
 こうした背景を踏まえると、今回のECsiteによるマルチファイバ(MPO)テストの自動化・省人化の取り組みは、作業効率化にとどまるものではない。むしろ、従来は熟練工の経験や勘に依存していた試験プロセスをツールに組み込み、再現可能な形に変換する「技能のソフトウェア化(SkillのSoftware化)」として捉えるべきだ。
 これは製造業における自動検査ラインの導入と同様に、作業品質のばらつきを抑えつつ、熟練工1人あたりの生産性を引き上げる効果を持つ。結果として、限られた人材でより多くの施工をこなすことが可能となり、データセンタ供給能力そのものを押し上げる要因となり得る。将来的には、こうしたプロセスの標準化・デジタル化が進むことで、業界全体の人材要件や分業構造にも変化をもたらす可能性がある。

 では、このように施工現場のボトルネックが緩和された場合、次に制約となるのはどこか。重要なのは、ボトルネックが並列に存在するのではなく、段階的に上流へとシフトしていく点となる。
 まず最も大きな制約として顕在化しているのが電力だ。データセンタの立地や拡張計画は、電力供給能力に大きく依存しており、地域によっては新設そのものが制限されるケースも出てきている。施工効率が向上すればするほど、この電力制約はより顕著になる。
 次に、GPUや光トランシーバ、高密度ファイバといった構成部品のサプライチェーンも重要な制約要因となる。これらはすでに需給が逼迫しており、価格上昇や調達競争という形で影響が顕在化している。施工能力の拡張は、こうした部材需要をさらに押し上げることになる。
 さらに、データセンタ完成後の運用・保守(O&M)を担う人材の不足も、次なるボトルネックとして浮上する可能性が高い。これは今回の施工人材不足と同様の構造を持ち、AI時代のインフラ運用に必要なスキルセットの高度化が、供給制約を生む要因となる。

 このように見ると、今回の取り組みは施工現場の課題解決だけではなく、「データセンタ供給能力の制約条件を書き換える試み」と位置付けることができる。そして供給能力が拡張されるにつれて、制約はより上流、すなわち電力や半導体、さらには運用体制へと移行していく。
 データセンタ構築の効率化という今回の動きは、現在のボトルネックを解消するだけでなく、次の制約と新たなビジネス機会の所在を示唆するものとして捉えるべきだろう。

(OPTCOM編集部)