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Centillionと3-GISが提携し、通信事業者向けネットワーク管理の高度化を実現

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 Osmose傘下のCentillion Solutions(以下、Centillion)は7月1日(アトランタ)、光ファイバネットワーク設計・管理ソフトウェアの3-GISとの戦略的パートナーシップを発表した。

 両社は協力して、ネットワーク計画、運用、成長の基盤となる地理情報システム(GIS)レコードの精度、完全性、使いやすさを向上させることで、ブロードバンドおよび通信事業者がネットワークデータからより大きな価値を引き出せるよう支援する。

 Centillion は「3-GISの業界をリードするネットワーク管理プラットフォームと、Centillionのエンジニアリング、データ整合性、ネットワークドキュメンテーションにおける深い専門知識を組み合わせることで、サービスプロバイダはより信頼性の高いデジタルネットワーク レコードを構築し、意思決定を迅速化し、運用効率を向上させ、次世代光ファイバ インフラストラクチャの拡張を成功裏に支援できるようになる」と説明している。

 通信事業者にとって、GISシステムはインフラの計画、構築、管理の基盤となっている。容量、保守性、プロジェクトの進捗状況、現場の変化など、あらゆる要素がチームの意思決定、顧客対応、業務推進のスピードに影響を与える。資産基盤の拡大とプログラムの加速に伴い、GISデータの整合性と使いやすさは、チームの意思決定、顧客対応、プログラム推進のスピードに直接影響する。

 このパートナーシップを通じて、3-GISとCentillionは、ネットワークを管理するシステムと、それに依存するチーム間の連携強化を通信事業者に支援する。3-GISソフトウェアは光ファイバネットワーク管理のための記録システムを提供し、Centillionは通信エンジニアリングの専門知識を活用して、ネットワーク情報の取得、構造化、日常業務への活用をサポートする。

 Osmose Utilities Servicesのエンジニアリングサービス&テクノロジー担当プレジデント、Adi Srinivasan氏は「通信事業者はインフラに多額の投資を行っており、GISはそれらの投資を管理可能にする重要な役割を担っている」とし、「3-GISとの提携により、最高クラスのプラットフォームと、それを効果的に運用するためのエンジニアリング専門知識の両方を必要とするお客様をサポートできるようになる。両社が協力することで、通信事業者はより迅速に、より的確な意思決定を行えるようになる」とコメントを出している。

 3-GISのパートナー&カスタマーソリューション担当ディレクターであるDrew Peele氏は「業界全体で、ネットワークデータの増加、プロジェクトの増加、そしてインフラ投資を測定可能なビジネス価値へと転換するというプレッシャーの高まりに直面している」とし、「Centillion Solutionsとの提携を通じて、お客様がネットワーク管理に使用するシステムからより多くの価値を引き出すための専門知識とサポートをさらに強化していく」とコメントを出している。

 Centillion は「3-GISのプラットフォーム機能とCentillionの現場からオフィスまでを網羅するエンジニアリングの専門知識を組み合わせることで、複雑化し拡大し続けるインフラプログラムを管理する組織の進化する運用ニーズをサポートする」としている。

編集部備考

■日本では、通信事業者グループや長年のパートナー企業が設計・施工・保守を担うケースが多い。しかし、海外では広大な土地に敷設するという地理的要因や、通信事業者のコア業務への集中など市場構造が異なるため、現場調査・測量やデータのデジタル化をOsmoseやCentillionのような外部のエンジニアリング企業にアウトソーシングする分業体制も多い。
 また海外では、3-GISが提供する通信特化型GIS(地理情報システム)プラットフォームのような外部ツールを、通信事業者自身がそのまま導入することが一般的だ。レガシーなデータをこの最新プラットフォームに適合する形に変換・クレンジング(整理)する作業には、プラットフォームの仕様を熟知したCentillionのような「導入・移行の専門エンジニアリング集団」が必要になる。こうした構造が、今回の提携の合理性となる。

 この合理性が求められる背景には、通信業界が直面している新たな課題がある。通信事業者が導入しているGISがどれだけ進化しても、そこに投入されるインフラデータの精度が低い(過去の紙地図、不正確なExcel、古いCADデータ等)場合、システムが正しく機能しない、すなわち「不十分なデータを入力しても、不十分なデータが出力される」という現象が発生してしまうのである。
 そしてこの課題が重要化している要因として、アメリカのBEAD(ブロードバンド公平・アクセス・展開プログラム)など、政府による数兆円規模の巨額のFTTH補助金投資が本格化している状況もある。通信事業者各社は「1日でも早く光ファイバを敷設してエリアを拡大したい」かつ「GIS品質が補助金執行にも影響する」という熾烈な時間競争の中にいる。そうした中で、「GIS」と「データ構築エンジニアリング」をパッケージ化(ワンストップ化)することは、ネットワークの計画から設計・着工までの期間を短縮(タイム・ツー・マーケットの最適化)させる効果が見込める。
 今回のニュースは一見すると「アウトソーシング文化の延長」だが、その背景にある光ファイバ敷設の拡大競争の激化も読み取ることができる。

■今回の提携は、GISとデータ構築エンジニアリングをワンストップで提供する体制の構築と捉えることができるが、その意義はAI時代の到来によってさらに高まる可能性がある。

 これまで通信インフラの管理では、ネットワーク設備そのものを構築・維持することが主な目的だった。しかし近年は、ネットワークの設計・運用・保守をソフトウェアが支援し、さらにAIが膨大な設備情報を解析して最適な意思決定を支援する方向へと進みつつある。その結果、AIが理解できる形でネットワーク資産をデジタルデータとして整備し続けること自体が、新たな競争力になり始めている。
 例えば、AIを活用した設備保守では、障害履歴だけではなく、管路や光ファイバの位置情報、接続関係、空き容量、施工履歴など、多様な情報を組み合わせて分析することが求められる。また、新たな光ファイバ敷設やAIデータセンタ接続の計画でも、最新の設備情報を基に複数のルートを比較・シミュレーションできることが、計画立案の迅速化につながる。こうした高度な分析や自動化は、AIそのものの性能だけで実現できるものではなく、その前提となる設備データの正確性や鮮度に大きく左右される。
 この観点から見ると、今回の提携は「GISを導入しやすくするサービス」に留まらない。現場調査や既存データの整理・変換まで含めて、ネットワーク資産をAIが活用できる品質のデータへ継続的に維持する仕組みを提供する取り組みとも位置付けられる。

 近年は世界各地でAIデータセンタの建設が加速し、それらを結ぶ光ファイバ網の重要性も高まっている。一方で、ネットワークの価値を左右するのは、光ファイバを保有していることだけではない。その設備をデジタル上で正確に把握し、変化し続けるネットワーク構成を迅速に反映できる運用基盤を備えているかどうかも、今後は重要な差別化要素となるだろう。

 今回のニュースは、GISベンダとエンジニアリング企業の提携による効率化だ。しかし視点を広げれば、「ネットワークを構築する時代」から、「AIが活用できるネットワークデータを維持する時代」への変化を示す一つの象徴として捉えることもできる。AIが通信インフラの設計・運用へ本格的に浸透していく中で、ネットワークそのものだけでなく、そのデジタル情報をいかに高品質に保ち続けるかが、通信事業者の競争力を左右する時代が訪れつつあるのではないだろうか。

(OPTCOM編集部)