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Nokiaが、業界初のAIネイティブRANプラットフォームで次世代無線技術を定義

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 Nokiaは7月15日、業界初の商用AI-RANプラットフォームを発表した。

 Nokiaは「これは、数十年来の無線ネットワークアーキテクチャにおける最も重要な変革の一つだ。モバイルネットワークにおいてAIが主要なワークロードとなるにつれ、通信事業者は従来のハードウェア アップグレード サイクルに頼ることなく、より多くの容量、より強固な経済性、そしてより迅速なイノベーションを必要としている。NokiaのAI-RANプラットフォームは、通信事業者が既存の周波数帯域と無線インフラからアップリンクおよびダウンリンク容量を大幅に引き出すことを可能にし、ネットワーク経済性の向上とソフトウェアスピードでのイノベーション加速を実現しながら、AIネイティブネットワークへの現実的な道筋を提供する」と説明している。

 Nokiaのプレジデント 兼 CEOであるJustin Hotard氏は「AI-RANは、数十年来の無線技術における最大のイノベーションだ。AI-RANはネットワークをインテリジェント化し、AIを物理世界に拡張し、通信事業者が既存のインフラを最大限に活用できるようにする。これには、6Gへのソフトウェア アップグレード パスも含まれる。NVIDIAのAerial AI-RANプラットフォームを搭載したNokiaのanyRANソフトウェアは、通信事業者が既に保有する周波数帯域からより高いパフォーマンスを引き出し、既存のNokia製またはORAN準拠の無線ユニットに導入可能だ。通信事業者にとって、これはパフォーマンスの向上、収益性の向上、そして新サービスの迅速な提供を意味する」とコメントを出している。

 NokiaのAIネイティブネットワークアーキテクチャとNVIDIAの高速コンピューティングを基盤とするNokiaのAI-RANプラットフォームは、ネットワークパフォーマンスと経済性において飛躍的な変革をもたらす。AI-RANプラットフォームは、AIを活用した無線技術革新により、既に20%以上の周波数効率向上を実現している。Nokiaは、2027年までに50%、2028年までに100%以上の周波数効率向上をめざしており、通信事業者が高密度セルでより多くのトラフィックを処理できるようになり、ビットあたりのコスト削減と顧客体験の向上を実現できるよう支援する。

 NVIDIAの創業者 兼 CEOであるJensen Huang氏は「通信業界はAI時代に突入している。無線アクセスネットワークは、次世代のAIインフラストラクチャとなるだろう。Nokiaと共同で、NVIDIA CUDAとAIをベースバンドに導入し、RANを地球規模のAIコンピュータへと変革する。これは通信事業者にとって世代交代と言えるだろう。現在の周波数帯域からより多くの容量と効率性を引き出すと同時に、新たなAIサービスと6G時代の基盤を築く」とコメントを出している。

 新しいソフトウェア サブスクリプション モデルにより、通信事業者はハードウェアの更新サイクルに頼ることなく、AIイノベーション、新機能、そしてパフォーマンス向上といったメリットを享受できる。NokiaのAI-RANソリューションは、今年末にパイロット展開を開始し、2027年には商用提供を開始する予定だ。ロードマップでは、NVIDIAのプログラマブルな商用シリコンプラットフォームを活用している。

 Omdiaのモバイルインフラストラクチャ担当プラクティスリーダーであるRémy Pascal氏は「NokiaのAI-RANの発表は、AI-RANを業界のビジョンから商用化へと導く重要な一歩となる。新しいAI-RANノードに加え、AirScale容量プラグインユニットとクラウドネイティブ展開オプションを提供することで、通信事業者は既存のインフラストラクチャと変革目標に基づき、AIネイティブネットワークを導入するための実用的な選択肢を得ることができる。Nokiaは、AIアクセラレーション コンピューティングとソフトウェア定義アーキテクチャ、そして明確な製品ロードマップを組み合わせることで、通信事業者がより大きな容量を解放し、ネットワーク経済性を改善し、AIネイティブRANへの移行を加速できるよう支援している」とコメントを出している。

単一のAIネイティブプラットフォーム。3つの導入パス
 通信事業者のネットワーク戦略と既存のRAN基盤の多様性を認識し、NokiaのAI-RANプラットフォームは、NokiaのanyRANソフトウェアとNVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングを基盤とした共通のソフトウェア定義アーキテクチャ上に構築されている。4G、5G、そして将来のネットワーク進化をサポートするこのプラットフォームは、既存のAirScale導入環境向けの拡張カードやクラウドRANオプションなど、3つのハードウェアプラットフォームオプションを提供する。Open RAN規格に完全準拠したこのプラットフォームは、オープンで相互運用可能なマルチベンダ環境をサポートすると同時に、通信事業者がニーズに最適なハードウェアとクラウド環境を選択できる柔軟性を提供する。これらのハードウェアプラットフォームオプションにより、通信事業者は既存のインフラ投資を維持しながら、共通のソフトウェア ロードマップを活用し、ソフトウェア開発のスピードでイノベーションを加速させ、自社のペースで近代化を進めることができる。通信事業者は、導入戦略、容量要件、既存設備基盤に最適なアプローチを選択し、段階的にAI-RANを導入できる。

既存投資を活かす
 Nokiaは、既存のお客様向けに、最も効率的なソリューションとして、GPU搭載のAirScaleキャパシティプラグインユニットを新たに提供する。Nokiaが既に導入しているAirScale基盤向けに設計されたこのソリューションは、NVIDIAの高速コンピューティングを既存のネットワークインフラに統合し、既存のネットワーク投資を維持しながら、シンプルなアップグレードパスを通じて大幅な容量増強を実現する。このアプローチは、Nokiaのソフトウェア定義型AI-RANアーキテクチャに向けた幅広いエコシステムの一環として、MarvellのAIアクセラレーション対応商用シリコンによってもサポートされている。通信事業者は、高度なAI機能を導入し、ソフトウェアを通じてパフォーマンスを継続的に向上させ、導入済みのインフラの価値を拡張できる。

あらゆる場所でAIネイティブなキャパシティを拡張
 最大限の導入柔軟性とパフォーマンスを求める通信事業者向けに、Nokiaは業界初のGPU搭載スタンドアロンAI-RANノードを提供する。このノードは、あらゆるネットワーク環境にAIアクセラレーション対応RANパフォーマンスをもたらし、共通プラットフォーム上で4G、5G、そして将来の6Gワークロードをサポートする。このソリューションは、スタンドアロン ノードとして、クラスタ構成として、またはAirScaleと連携した単一の論理基地局として展開可能で、通信事業者は展開の選択肢を維持しながら、AIネイティブネットワークを柔軟に拡張できる。

クラウドネイティブAI-RANの実現
 クラウドネイティブ アーキテクチャを採用する通信事業者向けに、Nokiaはエコシステムパートナーを通じて提供されるGPU搭載AI-RAN COTSサーバ ソリューションを発表した。これらのプラットフォームは、オープンで安全なサプライチェーンを実現するとともに、業界標準の高速コンピューティング インフラストラクチャへの展開をサポートし、クラウドネイティブの柔軟性とAIネイティブ無線ネットワークのパフォーマンス要件を両立させる。

ソフトウェアスピードでのイノベーション
 NokiaのAI-RANは、ハードウェア定義の無線ネットワークから、ソフトウェアとAIのイノベーションによって継続的に進化するソフトウェア定義プラットフォームへの根本的な転換を意味する。Nokiaの新しいサブスクリプションベースの商用モデルにより、通信事業者は高度なAIアルゴリズム、スペクトル効率の向上、ネットワーク最適化機能、そしてソフトウェアで有効化できる将来のAIネイティブ機能に継続的にアクセスできる。このアプローチにより、通信事業者は継続的なイノベーションの恩恵を受けながら、インフラ投資の長期的なリターンを最大化し、ハードウェアの追加コストなしでTCOとパフォーマンスを向上させることができる。次のハードウェアサイクルを待つのではなく、ネットワークは新しい機能が利用可能になるにつれて、パフォーマンス、効率性、セキュリティ、および耐障害性を継続的に強化できる。

 Nokia は「AIアクセラレーション コンピューティング、高度なAIアルゴリズム、およびオープン エコシステム アプローチを組み合わせることで、Nokiaは通信事業者がより大きな容量、より強固な経済性、そして継続的なイノベーションを実現し、将来のネットワーク進化の基盤を構築できるよう支援している」と説明している。

編集部備考

■これまでAIの学習や推論は、大規模データセンタを中心としたコンピューティング基盤で実行されてきた。しかし、リアルタイム性が求められるAIサービスの普及に伴い、AI処理はデータセンタだけでなく、地域エッジや通信局舎、さらには基地局へと分散配置する方向へ進みつつある。
 通信事業者が世界中に保有するRAN設備は、電源や光回線、時刻同期、エッジコンピューティング環境を備えたインフラであり、AIから見れば、分散配置されたコンピューティング基盤としての価値を持ち始めている。例えば、AI-RAN Allianceでは、基地局設備の余剰GPUを生成AIや自動運転などのAI推論へ活用する構想が示されている。
 AIネイティブRANには、AIを利用してRANを高度化する以外のポテンシャルも秘めている。今回のニュースでは、この「RANを地球規模のAIコンピュータへと変革(transforming RAN into a planet-scale AI computer)」する構想の実現に向けた商用プラットフォームが登場したことも意味する。AIネイティブなRANが普及すれば、基地局や通信局舎に設置されたコンピューティング資源は、AI推論を支える分散インフラとしても活用されることになる。すなわち、通信事業者のネットワークインフラが提供する価値が、「通信容量」だけでなく、「AIをどこで、どの程度の遅延で実行できるか」というコンピューティング基盤へと広がる。
 今回のニュースは、通信事業者が保有する世界中のRAN設備を、AIコンピューティング基盤として活用できる可能性を示した。この方向性が定着すれば、通信事業者は通信容量を提供するだけでなく、分散AI基盤の提供者としての役割も担うことになるだろう。

■今回の発表で技術的に最も興味深い点は、CUDAをベースバンドへ導入するという構想が商用段階に入ったことだ。
 従来のベースバンドは、ASICやDSP、FPGAなど専用ハードウェアを中心に進化してきた。これに対し、CUDAを活用したGPUベースのアーキテクチャでは、AIモデルや無線制御アルゴリズムをソフトウェアとして継続的に改良しやすくなる可能性がある。またベースバンド処理の要求が急速に高まった際、GPUやメモリなど汎用コンピューティング基盤を構成する要素を段階的に強化しやすいだろう。まさに、ソフトウェア速度でイノベーションを実現できる。
 CUDAをベースバンドへ導入するにあたり、レイテンシやジッタ、消費電力、通信業界が求める厳しい信頼性という難しい課題があったことから、長らく実用化は難しいとされてきた。それがクリアされたことが、本件のエコシステムのインパクトでもある。

 無線機能の進化が専用ASICの世代交代に強く依存していた構造から、汎用コンピューティング基盤とソフトウェアを組み合わせて進化させる構造へ移行することで、通信事業者は通信性能だけを基準として設備容量を決めるのではなく、AIサービスによる収益機会も含めてコンピューティング資源の規模を設計するという事業戦略も可能となるだろう。例えば、初期段階では5Gの通信処理と、基本的な通信最適化AIが動くスペックのGPUを導入。そして、そのエリアで「産業AI」「エッジ生成AI」「映像解析」等の需要が高まり、周辺企業からAI計算のマネタイズを得られる見込みが立ったら、より高性能なGPUへスペックアップするという、段階的な投資がし易くなる。

 従来のRAN投資は、通信トラフィックの増加に応じて専用装置を増強することが基本だった。一方、CUDAを用いたAIネイティブRANでは、通信需要だけでなく、AIサービスから得られる収益も踏まえてコンピューティング資源を増強するという、新たな設備投資モデルが現実味を帯びてくる。RANは通信設備であると同時にAIインフラでもあるという発想は、通信事業者の設備投資や事業戦略そのものを変える可能性を秘めている。

(OPTCOM編集部)