Ericsson、AT&T、MediaTekが、北米初の拡張モビリティ機能のフィールドトライアルを完了
期間限定無料公開 有料期間限定無料公開
Ericssonは7月7日、AT&TおよびMediaTekと協力しEricssonのRAN技術を基盤とするAT&Tネットワーク上で、LTM (L1/L2 Triggered Mobility) をサポートするEricsson Low-Latency Mobilityの北米初のフィールドトライアルを完了したと発表した。
Ericssonの5G Advanced Critical IoTサブスクリプションに含まれるEricsson Low-Latency Mobilityの機能セットは、通信中断時間を短縮し、より高速で信頼性の高いハンドオーバーを実現することで、移動中の人や機器にスムーズな接続を提供する。
Ericssonは「試験では、LTMは従来のLayer 3モビリティと比較して、セル切り替え時のデータ中断を最大25%削減した」と説明している。
LTMはハンドオーバーの中断時間を短縮することで、拡張現実(XR/VR)や時間制約のある通信、没入型ビデオ会議、クラウドアプリケーションなど、新たなリアルタイムアプリケーションやユースケースをサポートする。人々と企業にとって、ほぼシームレスなモビリティは、XRやクラウドアプリケーション、没入型ビデオ会議、ミッションクリティカルな業務に不可欠だ。セル切り替え時の中断を減らすことで、ユーザの不満、離脱、ネガティブなユーザ感情、安全リスク、交通渋滞、生産停止、機器停止を防ぐことができる。
LTMはハンドオーバーの中断を減らし、モビリティの決定性を向上させることで、AIドリブン型アプリケーションに必要なネットワーク基盤も強化する。リアルタイムXRシーン再構築、エッジ支援型知覚、産業オートメーション、コネクテッドカー分析など、多くの新たなAIワークロードは、デバイスの移動に伴う継続的なデータ交換、低ジッタ、予測可能なレイテンシに依存している。LTMは、デバイス、エッジ、クラウド間のモビリティによる中断を最小限に抑えることで、これらのAIを活用したエクスペリエンスが大規模かつ確実に動作することを保証する。
Ericssonは「この共同作業は、EricssonがRANベンダとして参加した実地試験に及んだ。Ericssonは、3GPPにおけるLTMの開発と標準化において主要な貢献者であり推進役を務めてきた。LTMは、デバイスの接続全体を通してより安定したユーザ データレートを実現する技術として広く認識されており、サービス全体におけるハンドオーバー失敗率の低減にも貢献する可能性を秘めている」と説明している。
Ericssonのネットワーク戦略・製品管理責任者であるMårten Lerner氏は「今回のマイルストーンは、5G Advancedが拡張現実や物理AIに必要な真にシームレスな接続性を実現し、より優れたユーザ エクスペリエンスを提供できることを示している」とし、「AT&TおよびMediaTekと共に、よりスムーズなモビリティが、移動中も常に接続性を必要とする人々や産業に対し、より応答性が高く信頼性の高いサービスを提供するためにどのように役立つかを実証している」とコメントを出している。
AT&TのRANテクノロジー担当ヴァイスプレジデントであるRob Soni氏は「AT&TにおけるEricssonおよびMediaTekとの共同研究とフィールドトライアルを通じて、LTMが移動時という最も重要な場面でモビリティパフォーマンスを向上させることが実証された。これにより、お客様はクラウドアプリケーションや没入型ビデオ会議において、より安定した接続を体験できるだけでなく、次世代XRへの対応も可能になる。このレベルのモビリティの安定性は、ユーザやデバイスがネットワーク上を移動する際にリアルタイムのエッジおよびクラウド処理を必要とするAI対応サービスの基盤にもなる」とコメントを出している。
MediaTekのワイヤレス通信システムおよびパートナーシップ担当ゼネラルマネージャーであるHC Hwang博士は「今回の協業は、1/Layer 2 Triggered Mobilityが、デバイス接続全体を通して、より高速で信頼性の高いハンドオーバーと安定したデータレートを実現する上でいかに役立つかを証明している。これらの機能は、クリティカルIoTやXR/VRといった高度なコンシューマーエクスペリエンスに不可欠だ」とコメントを出している。
編集部備考
■6Gという次世代インフラ投資を待つことなく、既存の5G設備を活かしながらモビリティ性能を大きく改善できるLTMは、事業者にとって5G Advancedへの投資価値を高める技術として重要になる。例えば、ハンドオーバーの中断時間を短縮するという利点は、特にセル半径が小さくハンドオーバーが頻発する高周波数帯では、その恩恵は大きく、超高速・大容量通信に向けた設備投資の価値をより高める技術として期待される。
また、モバイル技術の新たな活用として工場内の移動型ロボット(AGV)、XR(拡張現実)を活用した遠隔医療や作業支援が広まっているが、こうした領域の中でも厳しいリアルタイム性が求められるシーンでは、従来の5Gではハンドオーバーに伴う通信中断がネックとなり、制約となっていた。そうした領域に対しLTMを用いることで、これまで品質面が課題となっていた高付加価値サービスの提供を後押しし、高単価なB2B向けネットワークの展開にもつながる可能性がある。
LTMを巡る今年の動きを見ると、日本では世界初の商用環境フィールド実証実験(当サイト内参考記事)、測定器ベンダによる評価基盤の整備(当サイト内参考記事)、そして今回の北米Tier1キャリアでのフィールド試験と、取り組みは段階的に発展している。
どれほど期待されている技術でも、標準仕様が策定されただけでは市場に浸透しない。LTMのハンドオーバー性能そのものは、理論上では分かっている。では、「実環境で本当に期待どおり動くのか」、「異なるベンダ間で動くのか」、「商用ネットワークでも成立するのか」、「異なる環境でも再現性は有るのか」を確認しているのが、今年のこれまでの流れだ。通信事業者、ベンダがそれぞれ役割を担いながら実証するという「未知を減らすプロセス」を積み重ねることで、初めて商用導入への現実味が増していく。今回の発表は、LTMそのものの性能だけでなく、実装フェーズへ移行し始めたエコシステムの前進も示している。
(OPTCOM編集部)



