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AirtiesがAprecommを買収し、ISP向けAIドリブン型接続エクスペリエンス管理ソリューションのポートフォリオを拡充

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 Airtiesは7月9日(パリ)、直感的で自己修復型のネットワークおよび顧客エクスペリエンスソリューションを提供する大手プロバイダであるAprecommを買収する正式契約を締結したことを発表した。

 Airtiesは「この買収により、当社は成長著しい地域におけるブロードバンド事業者へのサービス提供を加速させ、製品ポートフォリオ、研究開発、そしてAprecommのAI専門知識における相乗効果を活用し、世界中のISPへのサービスをさらに強化する」と説明している。

 買収金額の詳細は非公開。

 2016年に設立され、インドのベンガルールに本社を置くAprecommは、ISP向けの直感的で自己修復型のWi-Fiおよびブロードバンドネットワークソリューションで高い評価を得ている。 Aprecommは、AIを活用したソフトウェアサービスを通じてISPの接続性を向上させ、リアルタイムのインサイトと最適化を提供することで、運用コストの削減と顧客満足度の向上を実現する。現在、Aprecommは世界中の50社以上のISPにサービスを提供し、700万以上の家庭および事業所を管理している。
 Airtiesは本契約に基づき、Aprecommは買収完了後、Airtiesの子会社として運営される。Aprecommは今後も、顧客と事業展開市場に合わせたソリューションを提供し続ける」としている。

 AirtiesのCEO 兼 共同創業者であるMetin Taskin氏は「Aprecommはインドや東南アジアといった成長市場において非常に有利な立場にある。これにより、アジア太平洋地域および南米への事業拡大をさらに加速させるための比類のない基盤が構築された。これらの2つの市場では、インテリジェントな接続性に対する需要が驚異的なスピードで高まっている」とし、「さらに、今回の買収は、コネクテッドホーム向けエージェント型AIプラットフォームへの移行をISPに支援するという当社のビジョンに合致している。ネットワークが自律的に予測、適応、行動することで、最高のブロードバンド接続体験を提供し、解約率を低下させ、ISPの新たな収益源を創出する」とコメントを出している。

 AprecommのCEO 兼 共同創業者であるPramod Gummaraj氏は「接続体験の向上における業界のパイオニアでありリーダーであるAirtiesに加わることは、Aprecommが創業当初から掲げてきたビジョンの強力な裏付けとなる」とし、「Aprecommは、すべてのサービスプロバイダがよりインテリジェントで信頼性の高いブロードバンド体験を提供できるべきだという信念のもとに設立された。今回の統合により、そのビジョンをさらに発展させ、世界中のより多くの市場に影響力を拡大するためのより広範なプラットフォームが得られる」とコメントを出している。

 AprecommのCTO 兼 共同創業者であるGuharajan Sivakumar氏は「今回の統合により、Airtiesのグローバルな事業展開とAprecommのAIネイティブプラットフォームが融合する。エッジAI、クラウドネイティブアーキテクチャ、そしてベンダに依存しない設計により、世界中のサービスプロバイダに、よりスマートで拡張性の高い接続体験を提供するための強固な基盤が構築された」とコメントを出している。

 今回の買収により、世界中のISPにとって補完的な市場開拓能力がもたらされる。Aprecommのソフトウェアスイートは、サービスプロバイダが直感的で自己修復型のネットワークと、家庭内ブロードバンド体験の向上を実現することを可能にする。Aprecommの製品ポートフォリオは、新興市場におけるISPの経済性やARPUプロファイルに対応するために特化して構築されており、同時に消費者の家庭内接続におけるコアな改善も実現している。一方、世界有数のティア1事業者の多くは、Airtiesの実績あるAI搭載接続体験管理プラットフォームを活用し、パフォーマンスの最適化、解約率の低減、コスト削減、顧客満足度の向上、新たな収益源の開拓、そしてより強固な顧客関係の構築を実現している。 Airties Home、Airties Pro、Airties Multiを含むAirtiesの包括的な製品スイートは、光ファイバ、ケーブル/DSL、固定無線アクセス(FWA)といったネットワーク全体にわたるティア1事業者のニーズに応えるために必要なパフォーマンス、機能、拡張性、柔軟性を提供するように設計されている。AirtiesとAprecommのブランド名で異なるサービスを提供することで、Airtiesは顧客のニーズや市場動向に合わせてソリューションをカスタマイズし、幅広いニーズに対応できるようになる。

 本買収は慣例的な完了条件を満たすことを前提としており、2026年後半に完了する予定だ。

編集部備考

■エンドユーザの接続体験(QoE)を管理・最適化する技術の強化は、グローバル全体の潮流であり、そのレンジはラストワンマイルのさらに先である加入者宅内も視野に入っている。もっとも、市場が成熟しているブロードバンド先進国と、急速にインフラが普及しているブロードバンド新興国とでは、これらの技術を導入する目的や直面している課題が異なるケースも多い。

 北米や欧州などのブロードバンド先進国は、高速ブロードバンドが広く普及した成熟市場となる。ここでの改善点として注目される、「ネットが遅い」「動画が止まる」など加入者の通信品質に関する体感上の課題の多くは、宅内Wi-Fiに起因する。そこで、サポートコスト(コールセンターの人件費やルータの交換費用)を削減するため、AIによる自動復旧(セルフヒーリング)や遠隔診断が重要視されている。特にティア1事業者を中心に、他社への乗り換えを防ぎ(解約率低下)、スマートホームなどの付加価値サービスでARPU(ユーザ平均単価)を維持・向上させるためにQoE管理の強化が取り組まれている。

 一方、インド、東南アジア、南米などのブロードバンド新興国市場は、現在進行形でブロードバンドインフラが急速に拡大している急成長市場だ。ここではブロードバンド先進国に比べて、まだARPUの向上を図る段階ではないことや、設備投資制約から、高価な高性能CPEを一律に提供しにくいという課題がある。そのため、高価なハードウェアへ依存するのではなく、AIによる通信最適化や運用自動化を組み合わせることで、限られた設備投資でもQoEを高めるアプローチが重要視されている。

 今回のニュースにおける買収側であるAirtiesは、すでにブロードバンド先進国でのポジションを確立している。そこで、今後も急速な成長が見込まれるブロードバンド新興国を開拓するにあたり、低コストで宅内Wi-FiのQoEを改善できるAprecommの技術とインド・東南アジアの顧客基盤を手に入れることで、ひいては世界中のあらゆる価格帯の通信事業者に対応できる体制を整えつつあると見ることができる。

■上記では、QoEの利点を地域という観点で纏めたが、厳密には通信事業者の課題は、同じ地域でも立場によって様々だ。そこでQoE管理の技術は、課題に対する事業戦略の幅を広げるツールとなる。加入者宅内の電波状況を把握することで、ユーザが不満を抱く前に対処できる。
 例えば、快適なWi-Fi環境をプレミアムプランとして提供したり、スマートホームや宅内セキュリティといった回線以外の付加価値サービスにより、ARPUの向上を図ることができる。遠隔で宅内の状況を高い精度で把握できれば、電話口での迅速な解決や、AIによる自己修復(セルフヒーリング)が可能になり、運用コスト(OPEX)の低減が期待できる。どのエリアの、どの時間帯に、どのような通信のボトルネックが発生しているかをデータとして蓄積することで、増強が必要な場所にピンポイントで投資することに繋がる。

 高速ブロードバンドが普及した現在、QoEは通信品質そのものではなく、通信事業者が自社の強みをどのような体験価値へ転換するかという、重要な競争軸へと変わりつつある。同じQoE管理技術でも、解約率低減を重視する事業者もあれば、運用効率を重視する事業者、限られた設備投資で品質向上を目指す事業者もある。重要なのは競合他社への対策だけではなく、自社の加入者が何を求め、自社はどのような価値を提供すべきかを見極めることだ。QoEは、その答えをデータに基づいて導き出すための基盤になりつつある。

(OPTCOM編集部)