EricssonとMTN Group Fintechが、モバイルマネー プラットフォームを近代化し「Ambition 2030」戦略を支援
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EricssonとMTN Group Fintechは8月21日、エスワティニ、ガーナ、ルワンダ、ウガンダを含むアフリカ主要市場において、モバイルマネー(MoMo)プラットフォームの進化型移行を完了したと発表した。
これらの導入実績に基づき、EricssonとMTN Group Fintechは、カメルーンでの進行中のプロジェクトを皮切りに、ベナン、コンゴ共和国、ザンビアを同様の変革の軌道に乗せるための協議を積極的に進め、他の市場でも同様の進化型移行イニシアチブを推進している。さらに、一部の事業会社(OpCo)はパブリッククラウドへの移行を検討している。Ericsson Fintech Platformを基盤とするこれらのプロジェクトは、MTN MoMoを従来の仮想化環境から、標準化されたクラウドネイティブ アーキテクチャへと移行させる。
EricssonとMTN Group Fintechは「これにより、プラットフォームのパフォーマンスと運用効率が向上するとともに、MTN Grouの『Ambition 2030』戦略とアフリカ全土におけるデジタル金融サービスの拡大を支える拡張性の高い基盤が構築される」と説明している。
アフリカ全土でデジタル金融サービスの需要が拡大し続ける中、モバイルマネー プラットフォームには、サービス可用性を維持しながら増加する取引量を処理できる、強靭で拡張性の高いインフラストラクチャが求められている。クラウドネイティブ アーキテクチャへの移行後、MTNはCPU処理オーバーヘッドとデータベース負荷を最大86%削減することに成功した。この導入により、MTN MoMoが将来の成長に対応できる高可用性プラットフォームが構築され、消費者、加盟店、エコシステムパートナーに一貫したエクスペリエンスを提供できるようになった。
アップグレードされたプラットフォームは、運用をシンプル化し、パフォーマンスを強化する。インフラストラクチャのオーバーヘッドを削減し、APIの応答性を向上させることで、開発者、加盟店、エコシステムパートナーの統合を迅速化する。これにより、Ambition 2030に沿ったデジタル金融サービスの拡大に必要な拡張性の高い基盤が確立される。現在までに、この導入は移行済みの市場全体で測定可能な改善をもたらしており、アプリケーションとデータベースのリソース使用率の削減、API応答時間の最大80%短縮などが含まれる。
MTN Group FintechのActing CTIO (暫定 最高技術・情報責任者)であるArtemij Demidczyk氏は「MoMo Evolved移行は、アフリカを代表するデジタル金融プラットフォームを構築するという当社のビジョンを推進するものだ。クラウドネイティブ基盤を通じて、パフォーマンスの向上、回復力の強化、そして市場全体の消費者、加盟店、パートナーへの革新的なデジタル金融サービスの提供加速を実現している」とコメントを出している。
Ericssonの西・南部アフリカ担当 モバイルマネー&事業開発責任者であるHossam Kandeel氏は「モバイル金融サービスインフラの近代化は、デジタル金融エコシステムの継続的な成長を支える上で不可欠だ。Ericsson Fintech Platformを通じて、MTN Group Fintechがクラウドネイティブ基盤を構築し、運用効率の向上、プラットフォーム パフォーマンスの強化、そして将来のイノベーションと金融包摂を支えるために必要な拡張性を実現できるよう支援した」とコメントを出している。
EricssonとMTN Group Fintechは、10年以上にわたり、アフリカ大陸におけるモバイル金融サービスの発展のために協力関係を築いてきた。この長年にわたる協力関係を基盤として、Ericsson Fintech Platformは、デジタル金融サービスの拡大、開発者やエコシステムパートナーとの連携強化、そしてMTNのフィンテック事業の継続的な成長を支援するための基盤を提供する。
編集部備考
通信事業者は「通信基盤」から「デジタルサービス基盤」へ
今回の発表で注目したいのは、MTN Groupがモバイルマネー(MoMo)を通信サービスの付加機能としてだけではなく、自社の成長を支えるデジタルサービス事業として位置付け、その基盤そのものを大規模に刷新している点だ。今回、エスワティニ、ガーナ、ルワンダ、ウガンダでクラウドネイティブ・アーキテクチャへの移行を完了し、今後はカメルーンをはじめ、ベナン、コンゴ共和国、ザンビアなどへの展開も視野に入れている。
もちろん、背景にはアフリカで拡大するデジタル金融サービスへの需要がある。取引量が増え続ける中で、金融サービスを安定して提供するには、通信ネットワークと同様に、その上で動くアプリケーションやデータベースなどのIT基盤にも高い可用性と拡張性が求められる。今回の基盤刷新は、こうした需要に対応するための「通信インフラ」を強化する取り組みといえる。
重要なのは、通信事業者の事業領域が「通信サービス」から「通信を起点としたデジタルサービス」へ広がっていることだ。通信事業者は、ネットワークだけでなく、膨大な顧客基盤や販売チャネル、認証、決済、運用ノウハウなどを持っている。これらを組み合わせれば、金融に限らず、認証、IoT、データ、AIなど、様々なデジタルサービスを展開するための基盤になり得る。
これは、通信事業者が通信インフラそのものを提供する企業から、その上で動くサービスやエコシステムまで支える「デジタルサービス基盤事業者」へ変化していることを示す動きとも考えられる。通信の価値がネットワーク単体ではなく、そのネットワークと顧客接点、サービス、運用ノウハウを組み合わせることで生まれる時代になれば、通信事業者の競争領域もまた、従来より広いものになっていくだろう。
クラウドネイティブ化の価値は「安くすること」だけでなく「速く変えること」
今回の基盤刷新では、CPU処理負荷とデータベース負荷を最大86%削減し、API応答時間も最大80%高速化するなど、クラウドネイティブ化による具体的な性能改善が示されている。こうした数字だけを見ると、今回の取り組みはシステム運用の効率化やコスト削減を目的としたIT基盤の刷新に見える。しかし、その先にある価値にも注目する必要がある。
今回の発表では、APIの応答性向上によって、開発者、加盟店、エコシステムパートナーとの連携を高速化できることも強調されている。つまり、基盤の性能が向上したことで、既存サービスを効率よく動かせるようになっただけではなく、新しいサービスや外部との連携を生み出しやすくなっている。
ここには、これからのデジタルサービス基盤に求められる価値の変化が表れている。従来のIT基盤では、安定して大量の処理をこなし、障害なくサービスを提供できることが重要だった。しかし、デジタルサービスの競争が激しくなるほど、それだけでは十分ではない。市場や顧客ニーズの変化に合わせて新しい機能やサービスを追加し、外部の企業や開発者を巻き込みながらエコシステムを拡大できることが、競争力を左右するからだ。
この意味で、クラウドネイティブ化の本当の価値は「既存システムを安く運用すること」だけではなく、「新しいサービスをより速く生み出せる状態を作ること」にあるのではないか。MTNが複数の国で共通の基盤を展開しようとしていることも、その可能性を示している。
そして、この考え方は金融サービスに限らない。通信事業者が今後、AIやIoT、認証など通信以外の領域へ事業を広げるほど、重要になるのは設備を保有していることそのものだけではなく、その設備やデータ、サービスを組み合わせて新しい価値をどれだけ速く生み出せるかという能力になるだろう。今回のMoMo基盤の刷新は、通信事業者にとってクラウドネイティブ化が「ITの効率化」から「事業の変化速度を高めるための基盤」へと意味を広げつつあることを示す一例といえる。
(OPTCOM編集部)



