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日立とELESがスロベニアでのスマートグリッド・コミュニティ事業の推進で合意

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みずほ銀行もビジネスモデル実証の委託先として参画

 日立製作所(以下、日立)とスロベニア共和国(以下、スロベニア)における唯一の国営送電事業者であるELES, d.o.o.(以下、ELES)は11月25日、スロベニアにおけるスマートグリッド・スマートコミュニティ事業を共同で推進することに合意した。日立とELESは、2016年11月からの3年間、中小規模の配電会社向けにクラウド型統合配電管理システムを構築し、サービス型ビジネスを推進していくとともに、今後、欧州地域への展開を検討していく。
 同事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)がELESと行う「スロベニア共和国におけるクラウド型統合配電管理システム構築に関する実証事業」について、日立が委託先として選定され、その事業を推進するためELESと協定付属書を締結するもの。また、みずほ銀行は、同時にNEDOから本事業のビジネスモデル実証の委託先として選定されており、連携して進めていく。
スロベニアは、1991年6月に旧ユーゴスラビア共和国から独立、2004年にEUに加盟した。現在、スロベニアでは、2020年までに最終エネルギー消費量の25%を再生可能エネルギーとする導入目標と、エネルギー効率を20%改善するとする省エネルギー目標を掲げている。また、今年11月4日に発効した地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を批准しており、今後は再生可能エネルギーが大量に導入されることが想定されていることから、より高度な配電系統の管理技術が求められている。
 さらに、スロベニアは、製造業が盛んで、EU加盟後は域内有数の高い成長率と豊かな生活水準を誇り、電力需要が増加している。しかし、配電会社の設備は老朽化が進みつつあり、設備更新に向けた投資費用の増加が予想されている。
同事業は、日本とスロベニアの共同事業として、NEDOとスロベニア政府が日立やみずほ銀行などに委託して2014年12月から2016年9月まで行った実証前調査の結果を踏まえ、スロベニアの国営送電事業者であるELESや配電会社、現地企業を加えた体制で進めていく。具体的には、日本の配電管理システムにおける電圧調整機能や事故復旧機能などの高度な配電管理技術とICTを活用し、中小規模の配電会社向けにクラウド型統合配電管理システムをサービス型ビジネスとして提供する。これにより、中小規模が多い配電会社の多額の設備投資費用を抑えるとともに、再生可能エネルギー導入が進む欧州で、配電網の電圧や電流などを可視化する機能に加え事故復旧機能、電圧調整機能により停電時間の短縮を図り、配電会社の高品質な電力提供に寄与する。
 なお、11月25日には、スロベニアの首都リュブリャナにおいて、ミロ・ツェラル首相をはじめ関係者出席のもと調印式が開催された。

適用イメージ図

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