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ノキア、エッジコンピューティングを活用した公共スペースでの低遅延ネットワークソリューションの実証実験をNTTの研究所と実施

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 ノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は2月23日、IoT時代に向けた低遅延通信とデータ前処理のメリットを実証するために、NTTネットワーク基盤技術研究所(以下、NTT)と共同でマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(以下、MEC)プラットフォームの実証実験を行なったと発表した。この実証実験は、包括的なIoTベースのソリューションのネットワーク基盤となり、パブリックセーフティ分野の事業展開における新たな収益源となることが期待される。
 低遅延はMECを利用した分析処理、特にパブリックセーフティにおける顔認証セキュリティアプリケーションにメリットをもたらす。公共スペースにおける監視カメラを使った視覚的な身元確認の重要性が増す中で、待機時間の長さが大きな課題となっている。さらに、顔認証プロセスで生成される膨大なデータも、効率的なセキュリティ管理における課題だ。
 ノキアとNTTは互いのテクノロジーを活用し、こうした課題に取り組んでいる。NTTが提案する低遅延通信パケット処理技術、通常帯域利用技術、遅延を考慮したデータ補正などの技術と、ノキアのMEC製品等を組み合わせることで次のような成果を上げているという。

監視カメラでの顔識別時間を短縮

 従来クラウド上に配置される顔認証ソフトウェアをキャリアネットワークのエッジに配置することで、監視カメラから受信した顔データをすばやく識別できるようになり、認証時間が飛躍的に短くなった。

集中型クラウドにおけるデータプロセスのオーバーヘッドを解消

 MECベースのソリューションでは、顔認証ビデオ分析をキャリアネットワークのエッジで実行する。そのため、ビデオカメラのトラフィックを大幅に削減でき、集中型クラウドに大量のデータを流す必要がなくなる。

 ノキアソリューションズ&ネットワークス 代表取締役社長、ジェイ・ウォン(Jae Won)氏は「ノキアのMECプラットフォームは、今日の市場において唯一モバイルエッジでLTEパケットを処理できる製品だ。このトライアルは、パブリックセーフティ分野に様々なメリットをもたらす5Gの低遅延相互通信を実現するうえで重要なステップとなる。NTT様と協力してIoT及びMECベースのセキュリティソリューションを開発し、公共の場のユーザのさらなる安全を確保していきたいと思う。このテクノロジーは、モバイル・ワールド・コングレス2017の会場で、NTT様と共に紹介する予定だ」とコメントを出している。

※ノキアは、MECに関するETSI ISG(Industry Specification Group)の創設メンバー。このグループは30のメンバーで構成され、無線アクセスネットワーク内のIT機能とクラウドコンピューティング機能を支えるオープン環境の標準化と発展に努めている。ノキアはMEC通じて、オープンアーキテクチャと標準インターフェースを備えた、差別化されたサービスや新しいアプリケーションの開発を促進していくという。