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光スペクトラムアナライザ「AQ6360」を開発・発売【横河計測】

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生産ライン向けの性能を備え、小型化を実現

 横河計測は3月6日、分散分光方式の光スペクトラムアナライザの新ラインアップとして、1200nmから1650nmの光通信波長帯に対応した、生産ライン向けの光スペクトラムアナライザ「AQ6360」を開発し、販売を開始した。「AQ6360」は、生産ラインでの試験、検査に求められる性能を小型のボディに搭載しており、光通信用半導体レーザや光トランシーバ(送受信機)、光アンプなどの生産ラインでの使用に最適だ。

開発の背景

 情報技術の活用が進み、通信ネットワークサービスの拡大が継続するなかで、光通信網や基地局、データセンタ向けの光伝送装置やこれらに搭載する光デバイスの需要が増加している。データセンタ間の通信も電気通信から光通信への移行が進んでおり、光トランシーバの需要が急速に拡大している。
 光トランシーバの需要増加を背景に、光トランシーバを生産するユーザからは、生産ラインでの測定ニーズに対応する低価格で使いやすい光スペクトラムアナライザを求める声が高まっている。「AQ6360」は、これらの要望に応える新製品となる。

新製品の特長

生産ラインでの試験・検査に必要な性能を備え、低価格を実現
 光通信用半導体レーザや光トランシーバ生産時の試験・検査に求められる性能に特化し、既存の高性能機種より価格を約3割低減した。主な仕様は次の通り。
波長分解能:0.1~2nm
測定感度:+20~-80dBm
ダイナミックレンジ:55dB

入力する光ファイバの種類に依存しない安定した測定が可能
 入力部内部に光ファイバを使用しない、同社独自のフリースペース構造を採用した。これにより、シングルモードファイバ、マルチモードファイバのいずれからも光信号を入力することができ、光ファイバの種類に依存しない安定した測定が可能だ。

高速な測定が可能
 現行製品である「AQ6370D」の約2倍のスピードでの測定を実現した。

小型で省スペースに貢献
 幅426mm×奥行459mm×高さ177mm、重量約15.5kgの小型化を実現した。既存製品より高さ、重さともに約2割低減した。

主な市場

 光通信向けレーザ、光トランシーバ、光通信用光アンプなどの生産ラインにおける光スペクトルの測定。

光スペクトラムアナライザ分野の同社の取り組み

 同社は、2006年に「AQ6370」を市場投入したのを皮切りに、高速測定が可能で高性能な分散分光方式の光スペクトラムアナライザ「AQ6370シリーズ」を拡充してきた。光通信波長、可視光波長、近赤外域、中赤外域など、さまざまな波長に対応した機種を揃え、光関連デバイスや機器の開発において広く活用されている。新製品「AQ6360」は、「AQ6370シリーズ」の使いやすさと信頼性を継承しつつ、生産ラインでの試験、検査に適した性能とし、導入しやすい価格とサイズを実現した製品だ。同社は「今後も、ユーザのニーズを反映した、世界トップクラスのシェアを誇る光スペクトラムアナライザを、研究・開発から生産ラインまでの幅広い用途に向け提案していく」という。