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ICT 利活用による働き方改革でホワイトカラーの労働時間を月間21時間削減可能に【情報通信総合研究所】

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ICT 利活用による労働時間削減には制度改革や社内の雰囲気づくりが重要

 情報通信総合研究所(ICR)は、ICTを活用することによって生み出されている多面的な価値を明らかにするため、アンケート調査を元にした推計を行っている。ICRは1月17日、ホワイトカラー職種の就業者が ICT(情報アクセス環境、テレワーク等)を活用することによってどの程度労働時間が変化するのかを推計した結果を発表した。

ICTを活用することによる労働時間の変化

 官民を挙げて「働き方改革」を推進する中、長時間労働の是正、労働生産性の向上、柔軟な働き方がしやすい環境整備等に取り組む企業が増えている。そこで情報通信総合研究所では、ICT を活用することによるホワイトカラー職種の「社外から社内情報等へのアクセス」や「時間・場所に制限されない働き方」によってどの程度労働時間が変化しているのかを推計した。その結果、高度に ICT を利活用している(遠隔会議システムの導入等)企業で且つ働き方改革(在宅勤務制度の導入等)に積極的に取り組んでいる企業では、ICT 利活用によって約3割(29.0%)の従業員が月間20.9時間も労働時間削減効果を得ていることが分かったという。

ICT を活用することによる労働時間の削減効果

 ICRは「なお、働き方改革関連の ICT 利活用施策を実施していない企業では労働時間が削減できた従業員の割合は 0.9%に過ぎず、労働時間の削減には ICT は不可欠だと言えるだろう。また、“ICT 高度利活用企業”全体では労働時間が削減できた従業員は16.1%と“ICT 高度利活用且つ積極的な働き方改革実施企業”の 29.0%よりも低い。このことから、ICT の高度な利活用を行うだけではなく、更にそれらの活用を後押しするような働き方改革関連の施策を積極的に行うことで、ICT による労働力削減効果をより高められることが示唆される」としている。
 ICT 利活用で労働時間の削減が特に期待できる取組は「遠隔会議システムの導入」「リモートアクセス・仮想デスクトップ環境を構築」等が挙げられる。また、ICT による労働時間削減効果を高めることが期待できる働き方改革の取組としては「在宅勤務制度の導入」「従業員の意識改革やマネジメント研修の実施」等がある。ICRは「高度に ICT を利活用している企業で且つ働き方改革に積極的に取り組んでいる企業の従業員はホワイトカラー全体の約 11%に過ぎず、ICTによる労働時間削減効果を日本のホワイトカラー職種に広げていく余地は大いにあると言えるだろう。また、ICTを活用した“社外から社内情報等へのアクセス”や“時間・場所に制限されない働き方”によって仕事をする時間が減らない人に対して、その要因を尋ねた結果をみると、約3割の人が“制度的に早く帰れないから”、“社内の雰囲気で早く帰れないから”と回答している。ICT を活用して労働時間を削減するためには、柔軟な働き方を可能とする制度の導入が大切であるが、形式的な導入だけではなく、社員の意識改革や社内の雰囲気づくりも大切であると言える」としている。

仕事をする時間が減らない要因(単純集計)