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NEC、東京大学、NTT、早稲田大学がIoT機器からクラウド環境への通信量を大幅に削減する実証実験を開始

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 NEC、国立大学法人 東京大学 大学院情報学環中尾研究室(以下、東京大学)、NTT、早稲田大学は1月23日、IoT共通基盤を共同で開発し、IoT機器と共通基盤間における重要通信保護に関する実証実験を2018年12月中旬から中国地方で開始していたことを発表した。
 具体的には、水位・降雨センサから集めた情報に基づいて河川氾濫を予測する。データの緊急度・重要度に応じてIoTゲートウェイとクラウド環境との間でデータ処理アプリケーションの機能を移動させることで、ネットワークに流れる通信量を削減できることを実証するという。これらは中国地方に設置した各種センサおよびIoTゲートウェイとYRP横須賀リサーチパークに設置したクラウド環境、情報通信研究機構(NICT)が運用する大規模センサ・クラウド基盤テストベット(JOSE)を活用して、2018年12月中旬から2019年2月中旬までに実証を行い、技術の有効性を評価する。
 四者はこれまで効率よく最適・動的にネットワークを活用可能なIoT共通基盤技術、および、その具体的アプリケーションの検討を行ってきた。現時点での試算では、約90%の通信量を削減できる見込みだという。今回の実証実験は、本基盤の効果検証の1つであり、総務省の委託研究「IoT 共通基盤技術の確立・実証」プロジェクトの成果となる。
 四者は今後について「本研究開発に2019年3月まで取り組み、需要の高まるIoTを活用したソリューションやサービスの開発に貢献する」としている。

実証実験のイメージ

実験に用いるアプリケーション

 この実証実験では、水位・降雨センサなどのデータをもとに学習機能を用いて河川水位の予測モデルを作成し、予測機能が本モデルを用いて河川の氾濫予測を行うアプリケーションを活用する。平常時にはこれらの機能をクラウド上で実行し、緊急時には、災害発生が予測される地域(重点地区)から詳細なデータの収集に必要な通信帯域を確保するため、非重点地域における予測機能をIoTゲートウェイに移動させて通信するデータ量を削減する。これにより、小規模な設備でも河川監視ができるようになり、2級河川等へも展開が可能になることが期待できる。
 さらに、得られた予測結果をコンテンツ指向ネットワーク(ICN)技術を用いてユーザに配信するという。

各機関の担当概要

NEC
 IoTアプリケーションを、サービス品質要件を充足するように、クラウドや IoTゲートウェイに配備する IoT システム制御技術の研究開発。

東京大学
 IoT データの種類毎にIoT トラフィックを重要度別に分類し、互いの干渉が起こらないように制御するネットワークスライス技術の研究開発。

NTT
 防災・減災に必要となる河川の水位の予測を、各種のセンサ情報からリアルタイムに行う河川水位予測技術の研究開発。

早稲田大学
 IoTセンサや外部ネットワークと相互接続したIoTゲートウェイからのデータやコンテンツ映像を分散配置したエッジでキャッシュし、クライアントやデータセンタの要求に従ってリアルタイムにアクセスすることを可能とするコンテンツ指向ネットワーク(ICN)技術の研究開発。