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インテルの技術が楽天の革新的な完全仮想化によるエンド・ツー・エンドのクラウド・ネイティブ・モバイル・ネットワークをサポート

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 インテル コーポレーションは2月13日、インターネット・サービスのリーダーである楽天が準備を進める新しいクラウド・ネイティブ・ネットワークに対してインテルの技術を提供すると発表した(日本語抄訳は2月14日公開)。このネットワークは、Radio Access Network(RAN)からコア・ネットワークまでが完全仮想化され、供用開始時より革新的な5Gシステム・アーキテクチャを採用する。また、ネットワークとサービスのそれぞれでエンド・ツー・エンドの自動化を提供する点もこのネットワークの大きな特長だ。このネットワークは、数百万人に及ぶ日本の加入者へのサービス提供に向け、構築が進められている。

 インテル コーポレーション 上席副社長のサンドラ・リベラ(Sandra Rivera)氏は「ECおよびフィンテック市場のリーダーである楽天は、現在、インテル Xeon スケーラブル・プロセッサ上で稼動し、アクセラレーションにインテル FPGAを採用したモバイル・ネットワークをゼロから構築している。このエンド・ツー・エンドのクラウド・ネイティブな自動化ネットワークは、革新的なアプローチで進められており、この俊敏なSDN(software-defined network)により、楽天はモバイル・サービスを迅速に拡充できるようになる」とコメントを出している。

重要とされる理由

 インテル Xeon プロセッサおよびインテル FPGAベースのアクセラレータを使用したこのアーキテクチャにより、楽天は、機動性と柔軟性の向上を図るだけでなく、日本国外への規模の拡大や、より低コストでの消費者へのサービス提供が可能になる。インテルは「今年10月に予定されている商用サービスの開始は、日本の通信業界のみならず、世界各地の通信業界にとっても創造的破壊になるこの革新的なアーキテクチャの活用により実現する」としている。

これまでのテスト内容

 この新しい完全仮想化ネットワークにとって初となるエンド・ツー・エンドのフィールド・テストが、2月3日に東京郊外で実施された。ロービング・テストでは、データネットワークを成功裏に使用し、楽天のモバイル・メッセージング・プラットフォームであるViber上で音声およびビデオ通話を行うことができた。インテルは「テスト段階で得られたデータとパフォーマンス指標を見直すことで、ネットワークの着実な立ち上げを確かなものにする」としている。

 楽天モバイルネットワーク 最高技術責任者(CTO)のタレック・アミン(Tareq Amin)氏は「データセンタからコア・ネットワーク、RANまで、高性能なインテル Xeon プロセッサが当社のネットワーク・バックボーンを支えている。この完全なエンド・ツー・エンドの仮想化ネットワークは、私たちが依存している専用のハードウェアやレガシーインフラからの脱却に役立つと確信している。これは、顧客にとっても勝利だ。私たちは、クラウドのような新しい業務効率を実現し、お客様にそのコスト削減効果をお届けする」とコメントを出している。

ネットワークの仕組み

 楽天のモバイル・ネットワークは、Altiostarの無線アクセス技術とCiscoのコア・ネットワーク・ソフトウェアをサポートし、インテル Xeon プロセッサー・ベースのQuanta製のサーバ上で動作する仮想化無線アクセス・ネットワークを使用した、RANからコア・ネットワークまで完全に仮想化されたネットワークだ。

 楽天はまた、ネットワークの拡張に対し、インテルとともにマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)の導入を図り、サーバのようなデバイスをネットワーク・エッジに近づけている。ネットワーク・エッジへの配置により、アプリケーションやリッチなメディア・コンテンツの処理がより高速に行われ、待機時間もほぼなくなる。

 楽天は、この新しいネットワークによって、これまでにない新しい通信、豊富なデータを利用したサービスを提供する意向で、EC、フィンテック、デジタル・コンテンツ、通信という事業領域における既存ユーザにも有益だ。