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NTTドコモ・ALSOKが会津若松市で実施した5Gを活用した地域見守りの実証試験に貢献【NEC】

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 NECは3月27日、NTTドコモ・綜合警備保障株式会社(ALSOK)が会津若松市で実施した5Gを活用した地域見守りの実証試験に、5G向け基地局システム及び遠隔業務支援システムの提供を通して貢献したことを発表した。

試験のイメージ

 この試験は2月4日~6日に会津若松市の鶴ヶ城公園で実施され、5G基地局1台と5G移動端末2台で構成された試験システムを用いて5Gによる伝送を行った。具体的には、鶴ヶ城の天守閣に設置した高精細カメラで撮影した映像を、5G基地局から公園内に設けた監視センター(5G移動端末(1))に伝送・分析することで、徘徊する高齢者・迷子・体調不良の人などを迅速に検知する仕組みを検証した。

 この試験では、うずくまる高齢者を検知し、監視センター員が公園内を巡回中の警備員に連絡、警備員は身に着けたスマートグラス(5G移動端末(2))に表示された映像・文字や音声による指示をもとに、高齢者がいる場所へ迅速に駆けつけることができた。
 また、スマートグラスの映像を5Gを介して監視センターに伝送し、顔認証※で本人確認を実施することで駆けつけ後の的確な対処に繋がったという。
※NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核技術であり、世界No.1の認証精度を誇る顔認証AIエンジン「NeoFace」を活用。

 NECは「人口減少が進む地域などでは、緊急時に通報できる人が周囲に少ないことが課題となっている。5GやAIを活用することで高精細映像をリアルタイムに伝送・分析することが可能となり、安全・安心な見守りを実現する」としている。

実験の様子

 NECが今回提供した4.5GHz帯対応の超多素子AAS基地局システムは、ビーム(指向性)形成の精度向上を実現するデジタル制御方式を採用している。このデジタル制御により超多素子AAS1台から同時に複数方向にビームを形成することが可能で、今回の実証実験のように、異なる位置・方向に存在する複数の移動端末に対して、同じ周波数かつ同じ時刻の無線リソースを同時に使用し、ビームによる空間多重を行うことにより、高速・大容量通信を高効率に実現する。
 また、遠隔業務支援システムは、スマートグラスやAR(拡張現実)を活用することで、現場作業者と支援者が映像と音声を共有し、リアルタイムでの遠隔の業務を支援するもの。またPCやタブレットとは異なり、スマートグラスを身に着けた現場作業者は、本来の業務を止めることなくハンズフリーでのコミュニケーションを実現できる。
 NECは「今後も5Gを活用した新たなサービスやビジネスの創出を目指し、通信事業者やパートナーとの共創にも取り組んでいく」としている。

 この試験は、NTTドコモが実施主体となり総務省から請け負った平成30年度5G総合実証試験「屋外において平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」として実施された。