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プライベートLTE(sXGP)システムを開発【NEC】

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 NECは7月22日、1.9GHz周波数帯を使用した自営通信用TD-LTE規格であるsXGPに対応したプライベートLTEシステムを開発したと発表した。

 プライベートLTEは、LTE方式を用いた、企業などが自ら運用する自社専用のローカル無線通信ネットワーク。プライベートLTEを活用することで、病院や工場・倉庫などで、特定のユーザや用途向けに独自のLTEネットワークを構築することが可能だ。NECは「長年培った通信事業者向けモバイルネットワーク技術と企業向けネットワークのノウハウを生かして製品化を進め、2020年初頭に商用出荷を開始する予定だ」としている。
今回NECが開発したシステムは、sXGP対応アクセスポイント(AP)及びAPコントローラから構成されている。主な特長は以下の通り。

免許不要で、無線干渉が少なく、セキュアなネットワークの構築が可能

 sXGPは免許不要である1.9GHz帯の周波数帯を用いており、外来ノイズ等による無線干渉の影響が少なく、安定した通信が可能だ。また、秘匿性の高いLTE方式のSIM認証を採用しており、セキュアな自営モバイルネットワークの構築が可能となる。

アクセスポイントの設置・運用が容易

)sXGP対応アクセスポイント
(約232(W)×232(D)×40(H)mm、突起部を除く)

利用環境に応じて天井/壁掛けの2通りの設置ができる。PoE対応によりEthernet経由で給電ができ、電源がない場所でも設置が可能だ。また、APコントローラにより複数のsXGP対応アクセスポイントの集中管理が可能となるため、管理工数と運用コストが削減できる。

UNIVERGEシリーズ等との組合せによる多様な業務への対応

 同システムは、コミュニケーションサーバUNIVERGE SV9500CTや同SV9300CT、同Aspire WXと組み合わせることで、モバイル環境(UNIVERGE ST500による内線通話など)や業務システムにも活用でき、sXGP対応スマートフォンなどを利用した機動性に優れたワークスタイルを実現できる。

 sXGPは、免許不要でありながら、外来ノイズが少ない周波数帯(1.9GHz)を用いているため無線干渉が少なく、秘匿性の高いLTEのSIM認証、及び外部にデータを出さないクローズドなネットワーク構成により、セキュアなローカル無線通信ネットワークの構築が可能だ。
 このため、自動化、ICT化が進む病院や工場・倉庫などでは、秘匿性の高いsXGPネットワークが適している。また、災害にも強く、公衆回線の通信が断絶しても、単独で動作するためBCP対策としても親和性が高く安全だ。

病院や工場・倉庫等でのsXGPユースケース。NECは「病院向けには、sXGPで無線化した内線システムとナースコールシステムを連動させた病院向けソリューションの提供に向け、ナースコールベンダとの取り組みを進めている。工場・倉庫においては、構内のネットワークを無線化することにより、工場設備のレイアウトフリー化、倉庫内でAGVによる運搬自動化などを実現し、スマート工場化、スマート倉庫化に寄与する」としている。

 NECは、上記ユースケースを含め、sXGPのトータルソリューションの提供に向けた取り組みを進めている。なお、スマートフォンについては、シャープとsXGP対応に向けた技術協議を行っているという。
 NECは「2020年度までの3カ年の中期経営計画“2020中期経営計画”のもと、ネットワークの強みを活かした新たな領域におけるサービス事業を推進している。本システムの提供により、ネットワークを柔軟に活用し、人・モノが生み出すデータを産業の枠を超え賢くつなぐ “NEC Smart Connectivity”の提供を加速し、新たな社会価値を創造していく」としている。