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NTT、インテル、ソニーがコミュニケーションの未来を目指して国際的なフォーラム「Innovative Optical and Wireless Network (IOWN) Global Forum」を設立

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 NTT、インテル、ソニーは10月31日、新たな業界フォーラムであるInnovative Optical and Wireless Network (IOWN) Global Forumを設立すると発表した。
 人々の生活や人と技術の関係を劇的に変え、あらゆるものがつながるスマートな世界を実現するためには、情報処理、コミュニケーション、ネットワーク基盤の大きな転換が求められている。今回発表されたフォーラムの目的は、これからの時代のデータや情報処理に対する要求に応えるために、以下に示す分野等における新規技術、フレームワーク、技術仕様、リファレンスデザインの開発を通じ、シリコンフォトニクスを含むオールフォトニクス・ネットワーク、エッジコンピューティング、無線分散コンピューティングから構成される新たなコミュニケーション基盤の実現を促進することにあるという。

 先進的な光電融合技術を活用したフォトニクス関連研究開発:消費電力の大幅な削減や低遅延での通信、伝送容量の劇的な拡大を目的とした、フォトニクスデバイスやフォトニクスネットワーク機器、およびエンドツーエンドアーキテクチャなどに関する研究開発。

 分散コンピューティング関連研究開発:AIや演算機能の強化に寄与し、ネットワークにおいて動的な情報処理をするためにますます重要な技術になると期待される分散コンピューティングの実現を目的とした研究開発。

 スマートな世界をつくるユースケース・ベストプラクティスとそれを実現する研究開発:現実世界におけるモノ・ヒトのやり取りをサイバー空間上で自由自在に再現・試行させる新たな演算の枠組みであるデジタルツインコンピューティングや、ヒトの行動や社会のモデル化、大規模シミュレーション、次世代の超高臨場UI/UXデバイス技術などの研究開発。

 次世代のコミュニケーションは、遠隔診療、防災、教育、自動運転、金融、エンタテインメント、スポーツ、製造など、さまざまな分野にわたって社会や生活を変えていく可能性を秘めている。IOWNの狙いは、こうした変化によってもたらされるメリットをより多くの人が享受できる次世代コミュニケーション基盤を提供することにあるという。
 同フォーラムでは、テクノロジー企業や通信事業者を含め幅広い分野からフォーラムへの参加者を募集している。また、業界におけるリーダーシップ、およびIOWNの軸となる技術分野で優れた専門性を有するNTT、インテル、ソニーの3社は、IOWN Global Forumの運営を共同で開始するための設立時のボードメンバーを選定する予定だ。
 IOWN Global Forumは米国が本拠地となる。関心のある企業、団体は加入申し込みが可能だ。IOWNおよびメンバーシップに関する詳細はこちら(http://www.iowngf.org)。

各社からのコメント

 日本電信電話 代表取締役社長の澤田純氏は「NTTは、早くからフォトニクス技術に着目して、長年にわたって研究開発を行っており、シリコンフォトニクスや光電融合技術等の分野において最先端の研究成果を上げてきた。これらの技術をベースとして次世代の技術革新に注力することにより、消費電力の増大などをはじめとする様々な社会的課題の解決をめざしている。NTTは、世界トップクラスの研究開発力で革新的なフォトニクス技術を導入し、人々が意識することなく『ナチュラル(自然)』に技術の恩恵を受けることができる社会の実現に向けて取り組んでいく。今回のフォーラムを通じて、パートナーの方々と連携することで、そのようなスマートな世界の実現に向けて取り組んでいくことを楽しみにしている」とコメントを出している。

 インテル コーポレーション 最高経営責任者(CEO)のロバート・スワン氏は「デジタル・トランスフォーメーションとこれに起因するデータ量の増加は、ハイパースケール・データセンタが中軸となる最初のクラウド・コンピューティング時代の趨勢を変えるインフラストラクチャの構築を推進する。私たちは、現在ITを今までとはまったく異なる新しい方法で利用している。そこでは、データの移動、保存、処理を、より速く、より安全に行うことが求められるだけでなく、その処理がサービス利用者に近い場所で行われることも時として求められる。超高速ネットワーキングと広がりを見せる高性能コンピューティングの組み合わせから生まれる“いつでもどこでもスマートサービスを提供できるエッジインフラストラクチャー”は、グローバルなエコシステム全体で共有される根本から新しい考え方によってのみ実現できる。IOWNの協力基盤は、その実現に向けた第一歩であり、この壮大なビジョンは、産業界を越えたグローバル・リーダーの協力があって初めて達成される。インテルは、テクノロジーの未来の仕組み作りに貢献するこの業界全体の取り組みに対して、NTTおよびソニーと力を合わせていくことを光栄に思っている」とコメントを出している。

 ソニー 社長 兼 CEOの吉田憲一郎氏は「当社は、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』というPurpose(存在意義)の下、クリエイターが技術の力でそのビジョンを形にし、優れたコンテンツを世界中のファンに届けることをサポートしています。大容量、低遅延、低消費電力、柔軟性を兼ね備えたIOWNには、クリエイターとユーザ、人と人をつなぎ、リアリティの高いエンタテインメントをリアルタイムに伝送できるという大きな可能性がある。当社がNTT、インテルとともにフォーラムの設立に向けた一歩を踏み出せたことは光栄であり、今後、さまざまなパートナーの皆様と新たな価値創造に取り組んでいけることを期待している」とコメントを出している。