Nokiaが、データセンタ向けPONベースのアウトオブバンド管理ソリューションを発表。省スペース、省電力、コスト削減を実現
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Nokiaは3月16日(エスポー)、データセンタOOBM(アウトオブバンド管理)のポートフォリオ拡充として「Aurelis for Data Centers」を発表した。
この新しい専用設計のPONベースのファイバソリューションは、AIおよびクラウドプロバイダに対し、重要なOOBM機能をシンプルかつ効果的に構築する方法を提供する。アクティブスイッチの数を90%削減することで、スペース効率が向上し、消費電力を50%以上削減、運用作業を80%シンプル化する。
Nokiaは「従来のOOBMアーキテクチャは、ラックごとに専用のスイッチを必要とするため、不必要な複雑さを増し、電力と冷却の要求も増大する。データセンタの規模拡大に伴い、運用をシンプル化しコストを削減する新たな方法を見つけることが不可欠となっている」としている。
Nokiaのデータセンタ向けAurelisソリューションは、よりシンプルで高効率かつコスト効率に優れたOOBMアーキテクチャを提供する。99.9999%の高可用性を備えたPON光スイッチにより、単一プラットフォームから数千のエンドポイントを接続・管理でき、スイッチ台数と消費電力を大幅に削減する。
ゼロタッチプロビジョニングに対応しており、導入は容易で、プラグアンドプレイ型の光モデムを備え、リモート管理が可能だ。さらに、AIを活用した予防的なトラブルシューティングと運用の自動化により、人手による作業を削減し、現地対応の最小化にも寄与する。
Nokiaのブロードバンドネットワーク担当ゼネラルマネージャーであるGeert Heyninck氏は「AI需要が鈍化する気配が見られない中、データセンタはPON技術を活用してコストとスペースの節約に注目している。PONは効率性と信頼性を重視して設計されており、データセンタのアウトオブバンド管理に最適な技術だ。Aurelisはすでに700以上のミッションクリティカルなエンタープライズネットワークに展開されており、データセンタのレジリエンス性と効率向上を支援するのに最適だ」とコメントを出している。
650 Groupのアナリスト 兼 共同創業者であるChris DePuy氏は「クラウドおよびAIワークロードをサポートするためにデータセンタが拡張されるにつれ、運用上の複雑さとリスクが増大している。PONベースのOOBMは、よりシンプルで環境に優しい光ファイバーベースのアーキテクチャへの業界全体のシフトを反映している。データセンタにとって、PONのポイント・ツー・マルチポイント アーキテクチャは、スペース、電力、コストの大幅な削減を実現する。
NokiaのAurelisソリューションには、以下の製品が含まれる。
Aurelis MF-2光スイッチ(OLT):ポイント・ツー・マルチポイント アーキテクチャで数千台のデバイスを接続する中央スイッチ。
Aurelis光モデム(ONT):光ファイバを終端し、信号をイーサネットポートに変換するステートレスデバイス。 ONTはリモート管理が可能で、省スペース化のため通常はラック上部に設置される。
Aurelis Command Center(CC):データセンタ コントローラおよび自動化システムとの連携を前提とした、インテントベースの機能を備えた成熟した管理ソリューションだ。
編集部備考
■NokiaのPON技術をLAN領域に適用し効率化を実現したオプティカルLAN(POL:Passive Optical LAN)は、比較的新しい技術ながら、既に700社以上の顧客を獲得し、導入数も年々拡大している。
POLは、中継機器を用いず、電源不要のスプリッタによって光信号を分岐するPONの特性を活かしてLANを構成する。このため、消費電力の削減、機器設置スペースの縮小、さらには保守対象をOLTに集約できるといった利点を持つ。また、銅線に比べて細径な光ファイバを用いることで、建物内配線の省スペース化にも寄与する。(当サイト内関連記事)
こうしたPOLの特性を、データセンタのアウトオブバンド管理(OOBM)に適用した「Aurelis for Data Centers」は、極めて合理的なアプローチと言える。
従来のOOBMでは、ラックごとに専用のスイッチを割り当て、スイッチと銅線ケーブルで接続する構成が一般的だ。この方式はシンプルである一方、サーバ台数の増加に比例してスイッチポート数や配線、消費電力が線形に増大するという構造を持つ。
とりわけ近年のAIデータセンタでは、数万〜数十万台規模のサーバが前提となり、こうした「1対1接続」の積み上げは、配線の輻輳や電力消費、ラック内スペースの逼迫といった物理的制約として顕在化しつつある。本来、OOBMは高帯域を必要としない管理用ネットワークであるにもかかわらず、イーサネットベースの構成では規模拡張とともに複雑化が進むので、スケーラビリティの観点から懸念される。
一方、POLでは単一のPONポートからスプリッタを用いて多数のエンドポイントへ分岐できるため、管理用スイッチの大幅な削減が可能となる。加えて、省電力性や配線のシンプル化といった特長は、高密度化が進むデータセンタ環境と極めて親和性が高い。この点で、帯域ではなく“接続数の効率”を重視するPONの設計思想は、OOBMという用途と本質的に整合している。
今回のソリューションは革新的な用途でありつつも、システム面ではNokiaのノウハウという信頼性が有る。POLの採用が拡大する中、これを次世代エンタープライズネットワークとして再定義した「Aurelis Optical LAN」が発表されたのは2025年5月だ。これは、Wi-Fiやプリンタを含むオフィス内のあらゆるエンドポイントに対し、高信頼・高性能なバックボーンを提供することを目的としていた。(当サイト内関連記事)
これに対し、今回の「Aurelis for Data Centers」は、AIおよびクラウド向けに増大するサーバ群の「管理・復旧系ネットワーク」に特化し、PONによる効率化を図る点に特徴がある。オフィス内を想定したシステムをOOBMへと適用するにあたり、様々な調整が有ったと想定できるが、POLで証明済みの「高可用性(99.9999%)」を1秒の停止も許されないサーバ管理に転用したことや、天井裏や床下の配線という共通の課題への対策といった本質的な部分は、これまでのノウハウが十分に活かされるだろう。
AIデータセンタの拡大に伴い、管理対象となるサーバ台数は急速に増加している。こうした環境では、従来のイーサネットベースのOOBMは、配線の輻輳や電力消費といった物理的制約が顕在化しつつある。
その中で、高信頼性と省電力性を両立し、かつ物理構成を大幅にシンプル化できるPON技術は、データセンタ運用における有力な選択肢の一つとして存在感を高めていく可能性がある。








