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Nokiaが、AI時代ネットワーク向けアプリケーション最適化光ソリューション群を発表

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 Nokiaは3月16日(エスポー)、AIスーパーサイクルによってもたらされる前例のない規模とアプリケーションの多様性というニーズに対応するために設計された、一連の新しい光ネットワークイノベーションを発表した。

 Nokiaは「AIトラフィックとデータセンタ相互接続(DCI)の要件は加速し続けており、従来世代からの漸進的な改善のみに基づくアプローチの実用的限界を超えている。アプリケーションの多様化に伴い、ネットワーク事業者は、様々なパフォーマンス、到達距離、効率性の要件に合わせて最適化されたソリューションをますます必要としている。Nokiaの最新イノベーションは、光伝送製品の設計・開発方法に根本的な変革をもたらし、アプリケーションに最適化された接続性を提供することで、パフォーマンスを最大化すると同時に、コスト、スペース、消費電力を大幅に削減し、ネットワーク運用をシンプル化する」と説明している。

 これらのイノベーションには、新しいコヒーレント光ソリューション群と、コンパクトなマルチファイバ()最適化インラインアンプが含まれる。Nokiaの幹部は、OFCカンファレンスに登壇し、AI時代における光ネットワークに関する同社の最新ビジョンを発表する。

※編集部注:マルチファイバは、ノード間で複数のファイバペアを並列に使用して通信容量を増やす構成を指す。

 Nokiaのネットワークインフラストラクチャ担当プレジデントであるDavid Heard氏は「業界は重要な転換期を迎えており、規模、信頼性、イノベーションにおいて全く新しい次元が求められている。Nokiaは、比類のないグローバル規模、高度な垂直統合、そして顧客との共創モデルを活用することで、インテリジェンスを繋ぐ。その結果、最高の経済性、低消費電力、そしてAIを活用した効率性を実現し、AI時代の接続性をさらに進化させる信頼性の高いソリューションを提供する。

アプリケーションに最適化された新しいコヒーレント光ソリューション スイート

 Nokiaの発表の中核となるのは、AI時代のネットワーク向けコヒーレント光ソリューション構築における新たなアプローチだ。アプリケーションごとに個別のソリューションを開発するのではなく、Nokiaはビルディングブロックベースの開発手法を導入する。これにより、幅広い光伝送ユースケースにおいて、テクノロジーを容易に組み立て、統合することが可能になる。これらのビルディングブロックには、4つの新しいデジタル信号プロセッサと、インジウムリン(InP)とシリコンフォトニクス(SPH)の両方を用いて構築された複数の光フロントエンドが含まれる。このアプローチにより、既存および新規のネットワークアプリケーションの両方に対応するよう最適化された、包括的なコヒーレント光伝送ソリューション群が実現する。コスト、スペース、電力効率が向上し、総所有コスト(TCO)を最大70%削減できる。
 新しいソリューションには下記が含まれる。

・ IP over DWDMによるDCIおよびスケールアクロス用途に最適化された、1.6T対応コヒーレントプラガブル

・薄型トランスポンダへの実装に最適化され、長距離含む地上網から海底ケーブルまで幅広いネットワーク用途に対応する、2.4T対応コヒーレントプラガブル

・低消費電力に最適化され、キャンパスおよびエンタープライズなど短距離用途に対応する、3.2T対応コヒーレント・ライトソリューション

・CPO、LPO、NPOベースのスイッチとの連携に最適化された新クラスの両面実装プラガブルで、キャンパス、メトロ、リージョナルDCIおよびスケールアクロス用途をサポート

・数百のコヒーレントコンポーネントを単一の装置に統合し、運用をシンプル化した新クラスのフルバンド・トランスポンダで、キャンパスからメトロ、リージョナル、長距離、海底に至るまで、ハイパースケールの容量需要に対応

・ファイバ資源が制約となる環境において、あらゆる距離でファイバ容量を最大化するよう最適化された、2.4Tおよび3.2Tの組み込み型トランスポンダ

 新しいコヒーレント光ソリューションファミリーは、2027年半ばにサンプル出荷を開始し、2027年後半に一般提供を開始される予定だ。

マルチレール・インラインアンプ

 Nokiaは「帯域幅の需要が単一の光ファイバペアで提供できる容量をますます超える中、ネットワーク事業者は容量拡張のためにマルチファイバ アーキテクチャを採用している。マルチファイバ ネットワーク拡張における主要な制約は、80キロメートルを超えるネットワーク スパンに必要なインラインアンプ ユニットの物理的な設置スペースの制限だ」と指摘する。

 この課題に対処するため、Nokiaは拡張性の高いマルチファイバ展開向けに設計された新しいマルチレール・インラインアンプを発表した。このソリューションは、既存のソリューションと比較してインラインアンプの密度を40倍に向上させ、1つのラックに160ペアの光ファイバを収容できる。これにより、既存のネットワークフットプリント内で容量とサービスを拡張しながら、コストと運用上の複雑さを軽減することが可能になる。

 Nokiaの新しいマルチレール光回線システムは、2026年後半に提供開始予定だ。

 Cignal AIのトランスポートハードウェア担当リードアナリストであるKyle Hollasch氏は「AIは光ネットワークを根本的に変革しており、接続性に対する要求はかつてないほど高まっている。ハイパースケーラー、サービスプロバイダ、そして企業はそれぞれネットワークインフラに多額の投資を行っているが、導入モデルや性能要件はそれぞれ異なり、画一的なアプローチでは効率的に対応できない。Nokiaは、光エンジン開発における革新的なビルディングブロック方式と垂直統合型の製造能力により、AIスーパーサイクルによってもたらされる幅広い電力、性能、そして経済性に関する要求に応えることができる」とコメントを出している。

 Nokiaの光ネットワーク担当SVP 兼 ゼネラルマネージャーであるRon Johnson氏は「業界は、AIとクラウドサービスの比類なき需要によって、大きな転換期を迎えている。業界最高水準の垂直統合と自社製造能力を持つNokiaは、お客様がネットワークを効率的に拡張しながら、電力、スペース、そしてビットあたりのコストを削減できるよう支援する独自のポジションにある」とコメントを出している。

編集部備考

 AIワークロードの進化は、通信トラフィックの増加を促すと同時に、電力効率の最適化という制約をネットワークにもたらしている。Nokiaが発表したコヒーレント光ソリューション スイートは、この相反する要求に対し、距離と用途ごとに最適化された複数の選択肢を提示するものとなる。
 今回、「IP over DWDMによるDCIおよびスケールアクロスに最適化された1.6T」「長距離含む地上網から海底ケーブルまで幅広いネットワーク用途に対応するカバーする2.4T」「キャンパスおよびエンタープライズなど短距離用途に対応する3.2T」を含む複数のラインアップが示され、さらにこれらを2027年に展開するロードマップが提示された。

 興味深いのは、各領域の進化が2027年にフォーカスして展開される点だ。これは、AI時代が従来の通信インフラの進化とは異なる性質を持つことを感じさせる。従来は、ある領域の帯域需要が増加すれば、その影響が隣接領域にも波及して増強されるという連続的な進化をしてきた。データセンタ内部、メトロ、長距離、海底ケーブルといった各領域は、それぞれ異なる制約と要件を持ち、同一のペースでは進化しなかったからだ。
 しかしAI時代においては、この連続性が崩れつつある。AIワークロード進化による通信トラフィック増加は、全ての領域で同時期に要求されるためだ。
 例えば、AIワークロードに近いAIデータセンタの帯域増が地上や海底の長距離ネットワークに波及する場合、その背景には通信量の増加だけではなく、AI特有の構造的要因が存在する。分散学習においては、離れた複数データセンタ間で大規模モデルの同期が必要となり、長距離ネットワークにはこの同期を前提とした遅延に強いテラビット級のデータ転送が求められる。また推論においても、世界中のユーザが遠隔のAIデータセンタにアクセスする際、1フローあたりのトラフィック量が大きいことから、長距離ネットワークに低遅延かつ大容量の通信が求められる。
 結果として、AI時代においてはどこかの領域がボトルネックになることは以前よりも深刻となり、ネットワーク全体において「各領域の最適化」が求められる。今回提示された2.4T対応のコヒーレントは、長距離やメトロといった広域網の領域において、この要請に応える現実的な解となる。

 この2.4T対応のコヒーレントプラガブルが2027年後半に一般運用というロードマップが示されたことは、投資判断にも影響を与える。この時期にデータセンタ内部で1.6TbEクラスのスイッチングが普及した場合でも、広域網側がボトルネックとならない見通しが立つことで、インフラ全体としての投資リスクは低減されるからだ。
 例えば、
・データセンタ内部の高速化と広域網側の進化タイミングを同期させやすくなる
・プラガブルの高度化により、広域網のアップグレードが加速する
・マルチコアファイバなど将来技術を広域網に導入するタイミングの見通しが立てやすくなる
・競合ベンダや海底ケーブルプロジェクトにとっても前提条件となる
といった影響が想定される。

 この観点で今回のコヒーレント製品ロードマップを見ると、リリース計画だけではなく、ネットワーク全体の進化タイミングを想定する「未来の時間軸の指標」としての意味を持つ。実際に各領域が一斉に進化というのは難しいかもしれないが、少なくとも技術障壁によるボトルネックの発生は緩和されることが期待できる。
 かつてコヒーレント技術は、長距離伝送の限界を押し広げる革新として登場し、通信インフラを支えてきた。そしてAI時代において、その役割はさらに拡張し、データセンタの爆発的な計算能力を、広域網と結び付けることで、システム全体として成立させるための基盤へと進化している。
 AIの進展は計算能力だけでは完結しない。その背後で、膨大なデータを適切な距離とタイミングで輸送するネットワークの存在が不可欠となる。コヒーレント技術の進化は、その制約を押し広げることで、AIインフラ全体の持続的な成長を支える役割を担っていくことになるだろう。

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