Broadcomが、世界初の102.4Tbpsスイッチを実現したTomahawk 6の量産出荷を開始。スケールアウトおよびスケールアップAIネットワーク向けに卓越したパフォーマンスを提供
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Broadcomは3月12日(カリフォルニア州パロアルト)、Tomahawk 6ファミリー スイッチシリーズの量産出荷を開始したことを発表した。
同社は「この規模のチップとしては前例のない速さで、Tomahawk 6は初期サンプルから量産展開へと移行した」としている。
Broadcomのコアスイッチンググループ担当SVP 兼 ゼネラルマネージャーであるAsad Khamisy氏は「BroadcomがTomahawk 6を初期サンプルから3四半期以内に量産化できたことは、大規模イノベーションの証だ」とし、「Tomahawk 6は、前世代のTomahawk 5の2倍のスループットを実現し、AIインフラストラクチャ設計における真のブレークスルーとなる。当社の卓越した実行力により、お客様の高度なネットワークニーズに応える信頼できるテクノロジーパートナーとしての地位を確立している」とコメントを出している。
トレーニングと推論に使用されるスケールアウトおよびスケールアップAIネットワーク向けに高度に最適化されたTomahawk 6は、高度なロードバランシングと輻輳管理機能を提供し、ネットワーク利用率の最大化とジョブ完了時間の短縮を実現する。Tomahawk 6は、100Gおよび200G SerDesをサポートし、卓越した柔軟性を提供する。また、100万個以上のXPUを搭載したAIクラスタのニーズを満たすように設計された、業界で最も包括的なAIルーティング機能と相互接続オプションを提供する。
Dell’ Oro Groupのヴァイスプレジデント 兼 アナリストであるSameh Boujelbene氏は「Tomahawk 6の出荷開始により、Broadcomはロードマップを現実世界での展開へと着実に進めている」とし、「このプラットフォームは、スイッチ層数を減らし、光回路の複雑さを軽減することで、大規模かつ低遅延なファブリックを実現するという業界のニーズに応える。Tomahawk 6は、これまでにない高密度でスケールアウトとスケールアップの両方のAIアーキテクチャをサポートすることで、通信事業者に高速かつ効率的なXPUクラスタ構築のための実用的な道筋を提供する」とコメントを出している。
LightCountingのアナリストであるBob Wheeler氏は「Broadcomは、たゆまぬ努力によって、データセンタ スイッチングにおいて世代を超えて常に市場をリードしてきた」とし、「AIスケールアウト ネットワークにおいて、Tomahawk 6はわずか2層のスイッチ層で128,000個のXPUネットワークを実現する。層数が少ないということは、低遅延、負荷分散と輻輳制御のシンプル化、そして光回路の削減を意味する。AIスケールアップネットワークでは、1台のTomahawk 6で512個のXPUを接続でき、シングルホップの全対全接続を実現する」とコメントを出している。
Tomahawk 6の革新性はチップにとどまらず、Broadcomのクラス最高レベルのSerDesおよび光通信エコシステムによって実現される、システムレベルでの電力効率とコスト削減に大きく貢献する。業界をリードするSerDesにより、パッシブ銅インターコネクトで最長の伝送距離を実現し、高効率、低遅延、最高の信頼性、そして最低の総所有コストを実現するシステム設計を可能にする。
Broadcom は「Tomahawkファミリーには、1チップ上に512個の200G SerDesまたは1024個の100G SerDesを搭載できる画期的なオプションが用意されており、お客様は銅線伝送距離を延長し、ネイティブ100G/200Gインターフェースを備えたXPUと光通信を効率的に活用したAIクラスタを構築できる」と説明している。
編集部備考
■AIデータセンタの規模が拡大するにつれ、ネットワーク機器の設計思想にも変化が生まれている。従来のデータセンタネットワークでは、スイッチASIC、SerDes、光モジュールといった各コンポーネントが比較的独立した水平分業(ベスト・オブ・ブリード)として発展してきた。しかしAIクラスタのネットワークでは、3.2T世代(1レーン200G/400G)という「物理限界」に突入したことで、これらを一体的に設計する「統合設計アーキテクチャ」のアプローチが強まりつつある。
Broadcomの最新スイッチASICであるTomahawk 6は、その象徴的な存在であり、スイッチASIC、SerDes、光DSPといった電子系コンポーネントが、同一ベンダの技術ロードマップの中で統合されている。例えばスイッチチップ(Tomahawk)から出た信号を自社のDSPで受け光に変換するという工程において、「電気→光」の流れを自社製品で完結できるため、AIクラスタで重視される信号品質や消費電力を左右するパラメータを、スイッチから光モジュールまでの信号経路全体で最適化できる。
AIクラスタでは数万から数十万規模のGPUを接続するネットワークが構築されるため、光インターコネクトの効率はシステム全体の性能や電力消費に直接影響する。こうした背景から、ネットワーク機器の設計は個別コンポーネントの最適化から、Tomahawk 6のようなシステム全体を見据えた統合設計へと移行しつつある。
また、Tomahawk 6では、3.2T世代を想定した200G SerDesだけでなく、100G SerDesへの対応も示すことで、既設アセット(GPUやスイッチ)との互換性も確保している。これは、AIクラスタを一気にすべて最新世代に置き換えるのは、コスト的にも供給網的にも難しいためだ。1台のスイッチで「最新の1.6T/3.2Tバックボーン」と「既存の800Gサーバ」の両方を収容できることで、投資効率が上がる。例えば、光モジュールやGPUはコストが下がるのを待って順次200G/400Gへ移行するという「段階的なアップグレード」が可能になる。また、短距離や低消費電力が求められる場所にはあえて100G SerDesを使い、超高速が必要なバックボーンには200G/400Gを使うといった「電力ポートフォリオの最適化」が1チップで完結する。
これはスイッチ性能の向上というより、AIデータセンタ全体のネットワークアーキテクチャを意識した設計と見ることができる。
こうしてTomahawk 6の特徴を整理すると、ニュース本文でBroadcomのKhamisy氏が「Tomahawk 6を初期サンプルから3四半期以内に量産化できたことは、大規模イノベーションの証だ」と述べた点にも頷ける。Tomahawk 6の一般供給は、ただのスイッチの世代交代以上の意味を持つ。
もっとも、AIデータセンタはGPU、サーバ、ネットワーク機器、光インターコネクトなど多数の装置で構成される巨大なシステムであり、周辺技術とのエコシステムを形成することが重要になる。
そうした中で、スイッチASIC、SerDes、光DSPといった電子系コンポーネントを統合的に設計するTomahawk 6のアプローチは、高速受光素子やレーザ光源などの光デバイス技術やトランシーバ量産を含むパートナーエコシステムと組み合わせることで、高性能かつコスト効率の高いAIインフラの構築を促進することが期待できる。こうしたオープンな技術スタックは、GPUとネットワークを強く統合したアーキテクチャとは異なる設計思想として、AIデータセンタのネットワーク構築に新たな選択肢を提示することになりそうだ。
(OPTCOM編集部)







