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国内初、災害対応向け「ヘリコプター基地局」を活用した通信手段確保の実証実験に成功

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 KDDI、KDDI総合研究所、新潟県魚沼市、富士通は、災害時における携帯電話のご利用が困難なエリアでの通信手段確保と迅速な救助活動に貢献することを目的として、2019年10月23日から11月6日に新潟県魚沼市銀山平において、国内で初めて、小型携帯電話基地局を搭載したヘリコプター (以下、ヘリコプター基地局) を用いて通信エリア外にある携帯電話の位置推定とヘリ基地局によりエリア化された範囲内での通話やSMSを行う実証実験を実施し、成功したと発表した。
 同実証実験は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 第2期「国家レジリエンス (防災・減災) の強化」として2018年度から受託し、実施したもの。

ヘリコプター基地局

 ヘリコプター基地局は、ヘリコプターに小型・軽量化した携帯電話基地局を載せて上空から電波を発射し、携帯電話エリア外の一部をエリア化するもの。災害時に陸上や海上から携帯電話サービスの提供が困難な状況においても、上空からの電波によりエリア化された範囲内において一時的に携帯電話による通信 (通話・SMS) を利用することができる。
 加えて、ヘリコプター基地局の移動管理機能により、携帯電話から発信される電波を補捉することでヘリコプター基地局がカバーするエリア内の携帯電話の在圏状況や位置推定が可能になる。
 これにより、災害時において被災者の特定が困難な状況であっても、携帯電話の位置推定と、それをもとにした通信エリアの構築を実現することができ、国や自治体からの救助要請などに迅速に対応することが可能になる。
 KDDIとKDDI総合研究所は「本実証実験で得られた知見をもとに、今後、国や自治体と連携しながら災害時における救助活動への活用を目指していく」としている。

実証実験の模様 (左: 電波発射による在圏情報表示画面、右: 消防隊による救助訓練)

実証実験概要

ヘリコプター基地局の特長

  • 無線設備およびモバイルコア設備を小型化・軽量化し、人がバッグを担いでヘリコプターへの搭乗が可能。バッグを含めた総重量は約7kg。
  • モバイルコア設備は、移動管理機能、ユーザデータ転送機能、ロケーションサーバー、呼処理システムなどを有し、山間部など車載型基地局車が到達できない地域においても、ヘリコプター基地局単独で携帯電話のエリアを構成し、通話、SMSの提供、携帯電話の位置 (GPS) 情報の取得が可能。エリア化可能な範囲は約1.6~2.0km。

ヘリコプターに搭載する小型携帯電話基地局

実施内容

実施場所新潟県魚沼市銀山平 (中荒沢付近)

 以下 (1) ~ (4) について実験を行い、あわせて、魚沼市消防署と遭難救助訓練を実施し、遭難者捜索を迅速に行うことができることを確認した。

      (1)携帯電話基地局の電波の与干渉調査
      (2)携帯電話の通信 (通話・SMS) の可否確認
      (3)通信可能エリアの調査
      (4)4G LTEによる携帯電話からの電波検出による携帯電話の位置推定精度

実証実験イメージ図

各社の役割
KDDI:
ヘリコプター基地局の企画・実用化検討
KDDI総合研究所:モバイルコア設備の小型・軽量化、実証実験の推進、実用化検討
魚沼市:実証実験場所の提供、ヘリコプター基地局を活用した遭難救助訓練の実施
富士通:携帯電話基地局の小型・軽量化、実証実験の支援